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「デマ」時代の民主主義

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では、どうすればよいのか、ということについて答えはない。SNSでの「デマ」であれば、その「デマ」を否定する言説が多数現れ、それによって「デマ」が一部の人達に共有されるにとどまる、という現象も起きる。しかし、それがマスメディアを通じて拡散され、否定することが「デマ」を信じる人たちに拒否されるようになると、その先に「デマ」を否定する言説を展開する余地は無くなっていく。今回のEU離脱派のように、国民投票の直後に「デマ」であることを認めるというのは一つの方法であろうが、それは結果が出た後であり、ほとんど意味はない。つまり、現代は民主主義、とりわけ国民投票やアメリカ大統領選のような直接民主主義に近い仕組みにおいて、「デマ」が勝つ時代であり、その「デマ」を意図的に利用する政治家が存在する限り、政治が混乱する、という時代なのだ、という自覚を持つことがまずは大事だと考える。

つまり、「デマ」は元から断つことが大事なことであり、いったん「デマ」が出回ると、それを否定することは難しい。故に、政治家が「デマ」を活用しようとする誘惑をいかに断って行くか、ということが第一にやらなければいけないことである。政治家個人の倫理の問題でもあるが、同時に政治家を監視し、チェックするメディアの役目でもあるだろう。

またメディアの役目としては、もう一つ、そうした「デマ」を拡散しない、という役割もあるだろう。EU離脱派を支持したのはタブロイド紙が多かったが、これらのメディアが「デマ」を拡散することは昔からだったとはいえ、そうしたタブロイド紙による「デマ」の拡散を抑制する仕組み(それがどのようなものになるのかはわからないが…。)も考えていかなければならないだろう。

さらに、こうした「デマ」はSNSによって拡散されていく。既に述べたようにSNSで拡散されるデマは場合によっては抑制することは可能であるが、常にうまくいくとは限らない。そのため、SNSを利用する人たちが、そうした「デマ」を拡散しないことを意識していくしかない。しかし、これも容易な話ではない。

つまり、現代の政治、なかんずく直接民主主義的な環境においては、こうした「デマ」がはびこり、「悪貨が良貨を駆逐する」ような状況にある、ということは避けられないことなのであろう。しかし、避けられないからといって民主主義そのものを否定することはできないし、民主主義を否定すれば状況はさらに悪化するであろう。であるからこそ、現代の政治においては、より一層、個々人の意識、「デマ」に対する抑制的な態度が求められるようになっている。そうしたことをどのように実現するのか、ということは永遠の課題ではあるが、少なくとも、まずは現状をきちんと認識し、「デマ」がはびこる民主主義の時代に入ったことを前提に、これからの民主主義を考えていく必要があるのではないかと思うのである。

今回はEU離脱派やトランプ現象を踏まえて議論をしてみたが、良く考えれば日本でも、「最低でも県外」といった、実現性の薄い主張をして政権を取った政党があったことを思い出す。そして実現性の薄い主張が実現せず、残念な思いをしたことの記憶も新しい。「デマ」時代の民主主義は米英だけの話ではなく、日本でもすぐそこにある問題なのである。

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