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英EU離脱決定。ヨーロッパの暗黒時代がはじまる

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 24日金曜日、イギリスで行われていたEU残留か離脱を決める国民投票で離脱がほぼ確実とのニュースが届くと、津波はすぐに日本の株式市場を襲った。日経平均株価は一時前日比1374円も下落した。オプション市場ではボラティリティが跳ね上がった。安全資産とされる円が買われ、ドル円相場は一時7円も円高に動き、過去最大の変動幅を記録した。イギリスの通貨ポンドは暴落し、1985年以来の水準に戻ってしまった。
 キャメロン首相は、議会でうるさくなってきたEU離脱派を黙らせるために、この国民投票を実施し、残留派の圧勝を示すことを目論んでいたが、まったくの裏目に出てしまった。そして、EU離脱支持が勝利を確定させると、すぐに辞任を表明した。

●【英国民投票】通貨ポンド下落 1985年以来の水準に
http://www.bbc.com/japanese/36615094

●キャメロン首相辞意表明 EU離脱支持の勝利で
http://www.bbc.com/japanese/36614513

 これほどまでに相場が動いたのは、国民投票前には、EU残留がコンセンサスになっていたからだ。しかし、各種世論調査などでは、残留派と離脱派は拮抗していた。金融機関で働くようなホワイトカラーや高学歴のエコノミストたちのほとんどが残留派であったために、ある種の願望により間違った予測が強化され、残留をマーケットは過剰に織り込んでいた。そこで不意を突かれたために、これほどまでの変動幅となった。
 後付けになるが、事前の世論調査などでは、残留派がそれほどリードしていなかったにもかかわらず、マーケットはほぼ残留を織り込んでいた時点で、少なくとも、残留にベットするようなポジションは、予測が当たってもほとんど利益が出ず、外れれば大きな損失になるために、決して取るべきではなかった。

 さて、すでに多くの識者や報道機関が、今回のBrexitショックについて、さまざまな解説を述べている。目ぼしいものをいくつか紹介しよう。

●英国民投票 離脱派が勝った8つの理由
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-36628343
いかにデイビッド・キャメロン首相が求心力を失い、イギリス独立党(UKIP)が「イギリスの主権を取り戻す」という漠然としたもので老人たちの共感を呼んだかがまとめられている。

●大英帝国分裂か、EU崩壊は杞憂、唐鎌大輔氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisuke-karakama-idJPKCN0ZA1JA?sp=true
残留派が優勢だったスコットランドは独立の住民投票を再度行う方針を明らかにしている。北アイルランドも同様。今回の国民投票は、若者と老人という世代間の隔絶だけでなく、地域の対立も煽るものになった。

●英国のEU離脱は極めて合理的な判断だった、ロジャー・ブートル
http://toyokeizai.net/articles/-/124401
一方で、経済的には大きな打撃を受けないという見方もある。

●アベノミクス終焉で日本はかなり厳しくなる 英EU離脱後の日本経済を予測、藤野英人
http://toyokeizai.net/articles/-/117933
オーソドックスなこれまで、そして、これからの日本経済の見方。

●感情が「離脱」を決断した英国のEU国民投票 不確実ドミノが倒れ始めた、木村正人
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20160624-00059217/
アメリカ人の大半がニューヨークがどこにあるのか知らないように、イギリス人の多くがEUが何か知らない。そうした、庶民たちの感情がいかに動いたのか。

●「移民・難民の大量受け入れに反発して英国がEU離脱した」のウソ、Naoko Hashimoto
https://www.facebook.com/naoko.hashimoto.186/posts/10153467969791652
移民や難民がイギリス人の社会福祉の財源を奪っている、ということが統計的には間違っていることがわかる。

●イギリスがEU離脱した理由、めいろま
https://wirelesswire.jp/2016/06/54327/
偏見と事実誤認に満ち溢れた記事だが、こうしたわかりやすいストーリーを離脱派の多くの人が信じていたという点に関しては有用な記事だ。

●Brexitというパンドラの箱、クローデン葉子
https://blog.ladolcevita.jp/2016/06/25/pandoras_box_called_brexit/
高学歴層の多くが残留派だった。

 このように、今後、イギリスがどうなっていくのか、多くの見方が錯綜している。EUのメンバーだったとはいえ、島国で、なおかつ独自の通貨を持っているイギリスは、経済において、それほど大きな変化はないという見方もある。
 しかし、ひとつだけ確かなことは、今回の2択の国民投票は、国民をまっぷたつに分断してしまったということだ。世代間、そして、地域間での価値観の違いも浮き彫りにした。分断されたイギリス国民は、かつては愛し合っていた夫婦が離婚を巡って法廷で争い合うように、あるいは、同じ夢に向かって寝食を忘れて働いていたベンチャー企業の創業メンバーたちが利益の分配を巡って争い合うように、互いに足を引っ張り合うことになるだろう。
 また、ドイツやフランスなどのEUの主要メンバーは、このような自分勝手な離脱に対して、ペナルティーを与える強いインセンティブを持つことになる。いずれにしても、政治的にはひどい混乱、そして、停滞が予想される。株価や為替相場が、すでにそうした未来を暗示している。
 このようにリスクが大きくなったイギリスに、長期的な投資をしたり、本社機能を移すような企業は減っていくだろう。今後のイギリス経済の停滞は、必定のように思えるが、果たしてどうなるだろうか。

 6月最終週は、Brexit(=イギリスのEU離脱を表す造語)のインパクトをさらに織り込みにいく週になろう。FRBの利上げは当分なくなったと見てよく、これも円高要因のひとつだ。週末には、日銀の幹部たちは何らかの緊急的な緩和策について議論しており、週明け早々に、急激な円高や株安を食い止めるための追加緩和を発表するかもしれない。財務省の介入があれば、為替相場は一時的には、円安に振れる。引き続き、株式市場も為替市場も、ボラティリティの高い週になりそうだ。
 今週のメルマガには、今後のイギリス、そして、ヨーロッパ経済の行方を詳細に論じたいと思う。

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