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イギリスのEU離脱について

 国民国家を国際社会の主体としたウェストファリア体制を超える壮大な挑戦が、欧州連合、EUでしたが、イギリスの初の離脱により、世界史レベルでの経済、政治、主権、ナショナリズム、移民、そして、安全保障や日本への影響が、様々な角度から生じています。

 まず、離脱が決まった24日の日経平均株価の終値は、前日比1286円33銭安の1万4952円02銭で、下げ幅は約16年2か月ぶりの歴代8位。円相場も一時、99円台と2年7か月ぶりの高騰となりました。

 同日の米ダウ工業株30種平均も、2011年8月以来の下げ幅で、歴代10位以内に入る大きさでした。

 24日一日だけで、世界の株式時価総額の約330兆円の消失(全体の約5%に相当)と見られております。 

 世界経済でも第5位を占めるイギリスのEU離脱は、理性や経済合理性や戦争のない欧州を作りたいという崇高な理念より、年間30万人ものイギリスへの移民が、職を奪っているとの不安や、既存の既得権益者への富の偏りを打破したいという民衆の不満やナショナリズムが、国民投票で示された帰結であると見ています。

 そして今回の、EU離脱の結果は、加盟国内での「反EU」勢力を勢いづかせるきっかけになりました。

 まず、巨大になりすぎたEUの官僚機構と過剰な規制が、加盟国の民意を反映していないというフラストレーション。

 そして、厳しい緊縮財政と分担金を課すEUに懐疑的な加盟国内世論が勢いづき、例えば、今月オランダの世論調査によると、国民投票でEU加盟の是非を問う回答が、54%に達しています。

 英国保守党のボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、「EUから英国に主権を取り戻そう!」というフレーズと、「英国が第一、一番」という論調で、離脱派の世論拡張に取り組んでいましたが、そのスタイルは、アメリカのトランプ候補とも通じる内容であり、欧州だけに見られる現象ではありません。

 私の印象では、移民、難民問題と、各国の既得権益、支配階級に対する、民衆の不平不満のマグマが蓄積され、顕在化しているプロセスであるように感じます。

 そして、欧州の弱体化は、自由と民主主義、そして、法の支配による世界秩序の維持という西側諸国の安全保障体制にも影響が懸念されます。

 世界には、覇権による現状変更を求める勢力も存在している以上、民主国家の発祥の地であり、米国との深い関係を持ち、G7、G20、NATOの主要国であり、国連の常任理事国であるイギリスの存在と役割は、極めて大きなものがあります。

  かつて、チャーチルは、「英国は欧州とともにあり、(WITH)、欧州との中にあるのではない(IN)」という、言葉を残したようです。

 今後離脱を進めるにあたり、独仏等の諸国が、関税や通商条約等の締結に当たって、厳しい条件と対応を突き付けて来ると想定されます。

 欧州展開の拠点をイギリスに定めている日系企業も多く、戦略の見直しも求められるでしょうが、今後もイギリスとEUの関係が、自由主義社会、グローバル経済、資本主義に伴う諸課題が存在するのは前提として、深い相互依存関係と信頼関係が再構築されることを望みますし、日本の果たすべき役割も大きなものがあると考えます。

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