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EU離脱という高度に政治的な判断を国民投票に委ねた結果

直前の世論調査では残留派がリードという報道がなされていたため、英国民は無難な選択をするのだろうと思っていたら、なんと離脱派が勝ってしまった。世界経済は大混乱に陥り、少なくとも短期的には悪影響のほうが目立つことになるだろう。


上図は縦軸に離脱に投票した割合、横軸に投票者数をとった散布図である。赤は離脱が多く、青は残留が多いことを示している。イングランドでは首都であるGreater Londonのみが残留を支持し、その他は軒並み離脱支持だ。左に行くほど極端に上下による傾向がある事を見ると、狭い地域ごと離脱/残留に振れる空気が醸成されたということだろうか。

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上図はTelegraphのEU referendum results and maps: Full breakdown and find out how your area votedからの引用であり、投票行動をマッピングしたものだ。イングランドはほぼ全土に渡り赤く染まっており、EUからの移民流入が多くその影響を実感する地域ほど忌避感が深刻だったということだろう。医療や福祉などの社会サービスにただ乗りされ、仕事も奪われるとなれば我慢も限界だったに違いない。

どのような人が離脱に投票したか

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YouGovは投票前に年齢別/学歴別のEU離脱支持の調査結果を公表している(YouGov | Introducing the YouGov Referendum Model)。ひとつ目は年齢別の傾向だ。常に高い離脱支持を保つイギリス独立党(UKIP)を除いて、保守党(Con)、スコットランド国民党/プライド・カムリ(SNP/PC)、労働党(Lab)、自由民主党(LD)はすべて同じ傾向をもち、高い年齢層ほど離脱に賛成であることが分かる。古き良き時代を覚える高齢者が、EUを離脱して偉大なる大英帝国に戻ることを夢見たのだろうか。

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ふたつ目は学歴レベルごとの支持割合だ。学歴レベルが0~4+まで分割されているが、イギリス独立党を除いて高学歴ほど残留支持の割合が高く、低学歴ほど離脱支持の割合が高い。低学歴な人ほど、流入する移民に仕事を奪われる/給与水準が下がるといった脅威を実感しているということがあるのだろう。

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最後はFinancial Timesが調査した各種属性との残留/離脱の支持割合だ(How battle over Brexit crosses traditional party lines — FT.com)。残留を強く支持する人としては、高級紙Guardian読者、緑の党支持者、自由民主党支持者、スコットランド国民党支持者、労働党支持者、18-29歳の若年層だ。一方、離脱を強く支持する人としてはイギリス労働党支持者、タブロイド中級紙のDaily Express読者、Daily Mail読者、大衆紙The Sun読者、高卒、60歳以上などが並ぶ。やはり移民問題の影響を多く受ける層が離脱を支持している事が見て取れる。

彼らには離脱を支持するだけの理由があったのだ。そして彼らの意思を反映した国民投票の結果は尊重されねばならない。

政治判断と国民投票

残念ながら彼らの期待に反し、このまま行けば英国は世界を巻き込んで長い不況に入ることだろう。難民の流入は止められるだろうが、英国にとってメリットがデメリットを上回るかどうかは予断を許さない。

そもそもなぜこのような国際的に影響の大きい判断が国民投票に委ねられることになったのか。残留派のキャメロン首相は本来ならば国民投票を実施する必要は無かったはずだ。必要の無い国民投票をあえて実施し、後戻りのできない選択をさせてしまった責任は重い。
キャメロン氏は国民投票を巡るテレビ討論会で、一般市民から「残留を訴えるならなぜ国民投票を実施するのか」と疑問を投げ掛けられたが、その狙いは、与党保守党内にくすぶるEU懐疑勢力を世論の力で一気に封じ込め、自らの基盤を固めることだった。

2014年のスコットランド独立を巡る住民投票を容認し、独立反対を勝ち取った経験を踏まえて、もう一度同じような手に出たといえる。しかし、大英帝国の歴史を背景とする独立意識、EUが英国経済の発展を阻害し、EU官僚が決める規則に縛られているという国民の不満は、キャメロン氏の想像を超えていた。

【英EU離脱】世論見誤った責任重く…辞意表明のキャメロン氏 将来に禍根 - 産経ニュース
長期的な視点による判断や少数派への配慮が必要になる事柄に対し、国民投票によって国民に直接判断を仰ぐ方法が良いとは限らない。今回も結果が判明した後に「EUから離脱すると何が起こる?」というGoogle検索が増えた事を見ると、多くの英国民が結果に慌てたことが推測される。

その結果はこれから我々が目のあたりにすることになるだろう。

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