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マイナス金利でも預金が増え、銀行に資金が滞る 都内中小企業の借入「変化なし」と「減少」が8割

サイトウ イサム[著] / 加藤 秀行[著]

 マイナス金利でも預金は有利な運用先の1つで、銀行にお金が集まっている。しかし、企業の資金需要は低く、貸し出しは増えていないようだ。

 東京商工リサーチは過去データと比較ができる銀行114行を対象に、2016年3月期単独決算ベースの預貸率を調べ、その結果を6月8日に発表した。預貸率は預金に対する貸出の割合を示した指標で、貸出の金額を預金の金額で割って算出したもの。預貸率が100%を下回った場合は融資額が預金額を下回っており、資金に余裕があることを示している。

 発表によると、銀行114行の2016年3月期単独決算ベースの預貸率は67.59%で、2015年3月期の67.74%を0.15ポイント下回った。過去の推移をみると2011年が68.59%、2012年が68.40%、2013年が68.00%、2014年が67.90%で、預貸率の低下傾向が続いている。

 銀行114行の2016年3月期の総預金残高は2015年3月期比2.9%増の755兆492億3,100万円、総貸出金残高は同2.7%増の510兆3,187億1,400万円だった。同社はマイナス金利の導入で短期金融市場の金利が低下し、相対的に利回りの高い預金に投資家の運用資金が集まったため、預金残高の伸びが貸出金残高の伸びを上回ったと指摘している。

 預金残高から貸出金残高を引いた「預貸ギャップ」をみると、2016年3月期は244兆7,305億1,700万円で、2015年3月期の236兆5,771億2,600万円を上回った。2008年3月期から調査を行っている預貸ギャップが、200兆円を上回ったのは2012年3月期の201兆7,380億5,400万円が初めてで、預金残高が貸出金残高を大きく上回る状況が現在も継続している。

 一方、東京都は5月1日から11日にかけて景況調査を実施し、その中で事業資金に関する質問を行った。調査対象は都内の中小企業3,875社で、1,459社から回答を得た。

 発表によると、主な取引金融機関の借入や返済に対する姿勢は「緩やか」から「厳しい」を引いたDI値で34.7となり、「緩やか」が「厳しい」を大きく上回った。また、主な取引金融機関からの借入金利の傾向を聞いたところ、「変化なし」が61.4%で前回調査より10.9ポイント減少する一方、「低下」は25.0%で同13.3ポイント増加した。今後3カ月間の資金需要が「増加する」から「減少する」を引いたDI値は3.8でプラスになったものの、前回調査より11.1ポイント低下。前年同時期と比較した金融機関からの借入金総額の状況も、「変化なし」が40.9%、「減少した」が40.2%となり、「増加した」は18.9%にとどまった。

 マイナス金利でも金融機関には預金が積み上がっており、金融機関の貸し出し余力は増えている。しかし、中小企業の資金需要は伸びておらず、お金がうまく循環していないようだ。

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