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大々的に報じられる「大企業の景況感改善」と、殆ど報じられない「個人の景況感悪化」

3日、日銀は国内の景況感を示す2つの業況判断DIを発表した。

まずは注目の「日銀短観」。こちらは「景況感 半年ぶりプラス 日銀9月短観大企業製造業 震災から生産回復」という大見出しと共に、企業の景況感を示す業況判断DIが、大企業製造業で前回6月調査から11ポイント改善の+2となり「V字型回復の途上にあるとの結果を示した形」と、大企業の景況感が大きく改善したことが大々的に報じられている。

一方、「日銀短観」と同じ3日に同じく日銀が発表した9月の「生活意識に関するアンケート調査」。この調査では、家計の収入が減り暮らし向きが悪くなったと考える人が増えたことで、個人の景況感を示す判断DIが▲62.4と、6月の前回調査から2.9ポイント悪化し、2009年12月以来の低水準となったことが示された。しかし、こちらは「日銀短観」とは対照的に殆ど報じられていない。

「生活意識に関するアンケート調査」のDIは、2006年3月以降22期連続してマイナスを記録しており、こちらは「日銀短観」とは正反対に「全く回復の兆しが見られない形」となっている。

日銀は、「生活意識に関するアンケート調査」は「日銀短観」のような統計指標としての調査とは異なり、生活者の意識や行動を大まかに聴取する一種の世論調査だとしており、「日銀短観」と「生活意識に関するアンケート調査」を直接比較するのは適切ではないかもしれない。しかし、「日銀短観」の大企業業況判断 DIと、「生活意識に関するアンケート調査」による業況判断DIの格差(= 大企業業況判断DI−個人業況判断DI:この差が大きいほど大企業中心の回復と言える)は64.4と、2008年9月以来の高水準となっている。

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政府・日銀もマスコミも、大企業の景況感が回復していることは大々的に報じるが、個人の景況感が2006年3月以降22期、5年以上も連続してマイナスを記録していることは伝えようとしない。日本経済が「V字回復」にあるというのは、あくまで大企業に限った話であり、個人の生活は全く回復していないというのが日本経済の実態である。

現在野田政権が推し進めている「責任ある政策」とは、業況感が回復している大企業には「法人税減税」を実施し、全く景況感の回復の兆しが見えない個人に対しては「所得税増税、消費税増税、たばこ税増税」を課すという俄かには信じ難いものである。さらに信じられないことは、マスコミがこうした政府の政策を支持していることだ。「景況感回復の兆しも見えない」個人に「増税」を課すことで景気が上向くような事があれば、それは「経済理論」を根底から覆す大事件である。

マスコミは「大企業と個人の業況感格差」を殆ど報じていないが、政府の「大企業優遇、個人軽視」の姿勢は有権者に見透かされているようで、野田内閣発足1ヶ月を受けて実施された報道各社の世論調査で、野田内閣の支持率は早くも下落傾向を見せ始めた。

野田内閣の支持率は、日本経済新聞社の世論調査で58%と就任直後の前回調査から9ポイント下がったのを筆頭に、共同通信社の調査では8.2ポイント下がって54.6%、毎日新聞社の調査で6ポイント下落の50%と、軒並み低下となった。

内閣支持率の低下と共に注目されるのは、「増税反対」の世論が強かったこと。共同通信社の調査で被災地復興をまかなう総額11兆2000億円の臨時増税に関しては「賛成」46.2%、反対50.5%と、「復興増税」自体に世論はまだ理解を示していることが示されたものの、所得税や法人税を増税することについては、毎日新聞の調査で「反対」が58%に上り「賛成」39%を上回った他、日経の調査でも「賛成」39%、「反対」52%と、「反対」が「賛成」を大きく上回る結果となった。こうした世論調査の結果は、「大企業優遇、個人軽視」に向かう政府に対する警鐘である。

大企業と個人の間の「業況感格差」が拡大しつつある中での所得税や消費税増税による財政再建は、日本経済にトドメを刺しかねない極めて危険な政策である。「財政原理主義者」は都合の悪い情報を隠そうとするが、新興国ですら情報が自由に飛び交う時代に、日本で情報操作を続けることは不可能である。

「日銀短観」によって大企業の景況感が回復していることが示されたことを大々的に報じている日本経済新聞の一面の直ぐ横では、「ギリシャ財政再建遅れ 今年、赤字削減目標届かず」という見出しで、「今年のギリシャの財政赤字はGDP比で8.5%と、当初目標のGDP比7.5%を1ポイント上回り、未達が確実になった」ことが報じられている。その理由は「11年の成長率が予想を下回り5.5%のマイナスとなるため」。このことは、少なくともギリシャでは、「財政再建原理主義者」の教義である「増税を含む緊縮財政で財政再建を実現する」ことは出来なかったことを示すものである。

今、世界の多くの国は「日本化」を恐れているが、日本が危惧すべきことは「財政再建原理主義」台頭による「ギリシャ化」である。

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