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文明論としての英国のEU離脱

 六月二十五日の朝刊見出しは「英国、EU離脱へ」である。
 また、この前日から、英国内でのEU離脱か残留かの開票作業で、離脱が多数を獲得しそうだとの情報が流れる中で、投資家のリスク回避で世界で株価が下落し初め、ユーロとポンドが売り込まれた。

 この英国のEU離脱は、英国の輸出や投資を減少させて英国の実質国内総生産(GDP)を5・6パーセント押し下げるとの国際通貨基金(IMF)の試算が出されていた。
 しかし、それでも、英国民の多数はEU離脱を選んだ。
 従って、この結果を経済的観点のみでみるのではなく、大きくは、文明論的に、現在世界で経済金融を中心にして進行している「グローバリゼーション」に対する「ナショナリズム」の反撃だと捉えるべきであろう。
 
 それともう一つ、欧州連合EUが「一つの欧州」を目指しているとして、何か新しい欧州がEUによって誕生しつつあるように思いがちだが、そうではないのだ。
 もともとこの地域は、ゲルマンの各部族が移動を繰り返して住み分けた地で、それがローマ帝国の版図としてローマカトリックの教義によって一つに統一されていた地である。
 そして、十六世紀初頭、英国(イングランド)の王ヘンリー八世が、自分の離婚と再婚が、ローマ教皇が掲げる(押し付ける)教会法によって許されないとされるや、イングランド国教会を結成してローマ(一つの欧州)から離脱した。
 さらに近代に入って民族自決のなかで今の各国が誕生してきた。
 これが欧州である。
 
 従って、私は、この度のイギリスの「EUから主権を取り戻す」という分離派の主張を聞いていてしきりにあの髭のヘンリー八世を思い出していた。
 彼は、自分の離婚と結婚の自由の為に、「ローマ教皇から主権を取り戻した」のである。
 この度のEUからの離脱決定も、このヘンリー八世の決断と同じだと言えば、イギリス人も苦笑するであろうが、ともかく、イギリス人を苦笑させずに言えば、大陸から一線を画すイギリスの伝統的性向(名誉ある孤立)の現れとみることができる。

 さて、このイギリスの決定の背景にナショナリズムがあるとすれば、この決定は、現在の地球を覆う潜在的風潮の顕在化であり、世界に影響を及ぼし、我が国とも無関係ではない。
 さらに従来の枠組みに囚われず、それをつぶしてでもアメリカの利益を追求するという大統領候補のトランプ氏を支持するアメリカ国民の動向とも通底しているし、さらに大陸と一線を画して台湾国民の台湾を創造するという民進党の蔡英文総統出現の背景とも通じる。
 このように観るならば、わが日本も、自らの独自性・個性(アイデンティティー)を明確に自覚して世界の大勢に対処しなければならないのであって、自主憲法の制定は死活的に重要と言わねばならない。
 従って今、「日本のこころを大切にすること」は我が国家の存立の為なのである。
 そもそも、日本という我が国家を大切にするのではなく、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した」(憲法前文)などというバカバカしい空論をまじめに唱えている事態ではないのである。

 以上、本朝、イギリスのEU離脱決定に際して思い浮かんだことである。
 世界的な株価や為替の変動については、中国を直撃してそのリスクを拡大するものと予測されるが、日本の潜在力はそれを乗り切るものと確信している。
 
 さらに、何が起こるかわからないのであるから、中国の断末魔は、北朝鮮を瓦解させるかもしれない。
 そのとき、我が国は、如何にして拉致被害者を救出するのか腹を固めなければならない。  

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