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党首討論/崩れた首相の言い分 対決点はっきり

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(写真)日本記者クラブ主催の党首討論、右から3人目は志位和夫委員長=21日、東京都千代田区

 参院選の公示日を前後して与野党党首による討論がテレビやインターネット番組、記者クラブ主催などで相次いで行われました。一連の党首討論では、「自民・公明・補完勢力」対「4野党と市民の共闘」の対決構図や、安倍暴走に正面から対決する日本共産党の立場、野党共闘の正当性などが浮き彫りとなりました。

何が争点か

“アベノミクス一本”通用せず

安倍暴走政治の全体が問われる

 参院選の争点について安倍晋三首相は「アベノミクスの前進か後退かを選択する選挙」だと述べました。

 安倍首相は3年前の参院選でも2年前の総選挙でも「アベノミクス一本」でたたかい、多数の議席を得ました。しかし、選挙後にやったのは、秘密保護法と安保法制=戦争法の強行という憲法を破壊する政治でした。

 志位氏は「こんなことを3度も繰り返させるわけにいかない」と強調。戦争法と安倍改憲、環太平洋連携協定(TPP)、沖縄米軍基地問題などをあげ、「民意にそむく『安倍暴走政治』の全体が問われる。その全体にノーの審判を下し、チェンジの意思を突きつける選挙にしていきたい」と表明しました。

アベノミクス

「成果」の数字 「過大広告」

三つのチェンジで暮らし応援こそ

 安倍首相が最大の争点にすえるアベノミクスの破綻が浮き彫りになりました。

 首相は「国・地方合わせて21兆円の税収増」と誇り、「この政策を前に進めるのか、4年前の低迷した時代に逆戻りするのか」と強調しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、安倍首相がいう「4年前の暗い時代」は、2008年の世界経済危機と11年の東日本大震災で税収が落ち込んだ時期だと指摘。「あのトヨタでさえ法人税を1円も納めていなかった時期です。そうした巨大な外的要因を全く考慮せず、数字だけを比較するやり方がフェアな政策論争といえるでしょうか」と指摘し、首相の偽りを明らかにしました。

 主催者側からも「21兆円は、志位さんがおっしゃったように、最も日本経済が谷底だった12年の数字」「アベノミクスが全ての果実を生みだしたという宣伝は過大広告。あまりにおとなげない」と批判が上がりました。

 志位氏はさらに「21兆円の中には(税率5%から8%への)8兆円の消費税増税分が入っている」と指摘。安倍首相も「確かに8兆円は消費税を上げた分」と認めました。

 首相が「有効求人倍率は24年ぶりの高水準。47都道府県全てで1倍超を達成した」という「雇用改善」についても、志位氏は「正社員の有効求人倍率は0・85倍。1倍を超えているのはたった8都県」と批判。その実態は不安定・低賃金の非正規雇用の増加だと明らかにしました。

 志位氏は「安倍首相はいろんな数字をあげるが、二つの大事な数字を言わない」と指摘しました。一つは実質賃金が5年連続マイナスとなり1990年の統計開始以降最悪になったこと、もう一つは日本経済の6割を占める個人消費が戦後初めて14、15年度と2年連続マイナスになったことです。

 志位氏は「(首相は)大企業がもうけを上げればいずれは家計に回ってくると言い続けてきたが、待てども待てども回ってこない」と批判。その上で(1)税金の集め方(2)税金の使い方(3)働き方―の「三つのチェンジ」を提案し、「アベノミクスはもうやめて、格差をただし、経済に民主主義を確立する」と表明しました。

 社民党の吉田忠智党首は「アベノミクスではなくボトムアップの経済政策を」、民進党の岡田克也代表も「経済政策の転換をしなければいけない」とアベノミクスの転換を求めました。

社会保障

消費税延期を口実に先送り

「三つの税逃れ」ただせば財源つくれる

 消費税10%増税延期を口実に公約した社会保障充実を先送りにする政府・与党と、「三つの税逃れ」をただして社会保障の充実を迫る日本共産党―。社会保障をめぐる対決構図も鮮明になりました。

 公約していた低年金者への給付金について安倍首相は、増税延期を理由に「今すぐできるという状況ではありません」と発言。年金受給資格の25年から10年への期間短縮も「前向きに検討していきたい」と述べるだけで実施を明言しません。公明党の山口那津男代表も「税収が得られたときと同じことが完全にできると今からいえない」と同調しました。

 志位氏は「失政の責任を認め、消費税10%への引き上げは先送り実施ではなく、きっぱり断念すべきだ」と主張。「社会保障財源を消費税に求めるやり方から決別して、『三つの税逃れ』をただそうと提唱している」として、法人税の実質負担率が中小企業より低い「大企業の税逃れ」、株取引など優遇税制による「富裕層の税逃れ」、「タックスヘイブン(租税回避地)を利用した税逃れ」―をただせば約20兆円の財源をつくり出せることを紹介しました。

 安倍首相は「志位さんは企業を目の敵にしている」とすり替えましたが、志位氏は「大企業に社会的責任を果たさせる、社会的負担を負わせるといっている。大企業をつぶすとか、目の敵にしているとか、レッテル貼りはやめていただきたい」と反論しました。

 志位氏は、消費税率を5%から8%に引き上げておいて、安倍政権が行ったのは1兆3200億円の社会保障費の「自然増」削減だと強調。年金給付削減や介護報酬引き下げ、医療費の窓口負担が増やされたとし「社会保障のためといって増税しておいて、国家的詐欺に等しいやり方だ」と批判しました。

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