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「国民軽視の官僚・大企業主導型社会」を目指す大新聞による洗脳報道

「経済界や金融市場に広がっていた政治への失望が、期待に転じつつある。主要企業の経営者の8割近くが新政権に期待感を示し、市場関係者の多くが『政策の安定感』を指摘する」という記述で始まる3日付日本経済新聞に掲載された「衆知集め空転に終止符」というコラムは、歪んだ思想に洗脳された日本を代表する新聞社の要職にある人物が、都合の良い方向に世論を誘導しようとする危険性を認識させる、驚くべきものであった。

「市場関係者の多くが『政策の安定感』を指摘する」と言い切る根拠は何処にあるのだろうか。金融市場の反応をみても、野田新代表選出を受けて株式市場で株価は頭打ちとなり、為替市場でもドルが底堅い動きの中でも歴史的円高傾向は依然として続いている。また、安住氏が財務相に任命されたことを受けて、2日の株式市場は午後には下げ幅を広げており、とても「市場関係者の多くが『政策の安定感』を指摘」しているとは言えない状況にある。
筆者の周りでも、「菅内閣退陣」という事実以上に新政権を好感する人は殆ど見当たらない。日本経済新聞の紙面にも「手腕は未知数」という文言が散見されるが、現時点で期待も否定もしないというのが市場関係者の多くの本音のはずである。

大新聞が、小学生がすぐ「みんな」というのと同レベルの不確かのことをことさら強調するのは、偏った思想を正当化する意思があるためである。

「新政権が取り組むべき経済政策の課題は、はっきりしている。(中略)そして社会保障と税の一体改革を核に財政再建に道筋をつけ、法人税率引き下げや環太平洋経済連携協定(TPP)への参加などを通じて日本経済の成長力を回復して行くことだ」と、「財政再建原理主義者」「大企業利益至上主義者」として議論をその方向へ誘導をしている。

財政再建が重要であることは論を待たないが、財政再建は「結果」であって「目的」ではない。「目的」はあくまで「日本経済の成長」であり、「日本社会の安定」であることを無視して議論をしてはならない。

2日付日本経済新聞の国際面には「赤字削減目標 ギリシャ『達成困難』南欧諸国 緊縮策に手詰まり感」という見出しで、次の様な記事が掲載されている。

「ギリシャ政府は2日、今年の財政赤字目標が達成困難になったと発表した。景気後退が予想以上に深刻なためという。…(中略)ギリシャのベニゼロス財務相は、…(中略)今年のGDPの落ち込み幅は予想の3.5%を上回り5%まで拡大するという。地元メディアなどは今年の赤字はGDP比で8%台になりそうだと伝えている。」

「緊縮策が国民の政権離れを招くリスクも高まっている。スペインでは財政規律の憲法規定に反対するデモが頻発。8月に政府が455億ユーロの赤字削減策を発表したイタリアでは緊縮策への不満が噴出し、労働組合などが6日に大規模ストを予定。政府は赤字削減の見直しを迫られている。ポルトガルでも労組が抗議行動を準備するなど、相次いで打ち出される緊縮策が政権を弱体化させる懸念も強まっている。」

このような事実から言えることは、現在の国際社会の状況では、「緊縮財政は予想以上の景気悪化を招くことで、財政をさらに悪化させるだけでなく、社会不安も高める危険な政策である」ということである。

2日の欧州市場ではイタリア10年債は財政改革実施を危ぶむ悲観論が広がったのを受けて、過去最長の10営業日連続の下落を記録、利回りは5.28%まで上昇した。 ギリシャ2年債利回りも47.29%まで上昇し過去最高となった。

この様な世界の動きを全く無視し、「社会保障と税の一体改革を核に財政再建に道筋をつける」ことを「新政権が取り組むべき経済政策の課題は、はっきりしている」と断言出来るのだろうか。世界の動きを全く参考にせずに、国内で緊縮財政の世論を構築しようとするその神経を疑わずにはいられない。

「法人税率引き下げや環太平洋経済連携協定(TPP)への参加などを通じて日本経済の成長力を回復して行くことだ」という主張も、限りなく大企業寄りのものである。現在の「需要不足社会」という経済状況下では「無条件の法人税減税」は「大企業への補助金」となりかねないものである。にも拘らず大企業寄りの政策を推進して行こうとする意思を表明しているのであるから「主要企業の経営者の8割近くが新政権に期待感」を示すのは当然である。

そして、日本経済新聞の本音は、このコラムの最後に現れている。このコラムは「政策運営の迷走を避けるには、政権交代から2年間にわたって遠ざけて来た経済界や官僚の声に真摯に耳を傾け、衆知を集めることが不可欠だ」と結んでいる。一般人の感覚であれば、「経済界」「官僚」と並んで、「国民」がここに加えられるのが当然のはずである。

こうしたところに、日本経済新聞の目指す社会が「官僚主導」「大企業主導」であることが現れている。日本経済新聞が「政策が日本経済の現実を見据え、言動がぶれないことを評価されている」とする野田新首相。しかし、新首相を高く評価している日本経済新聞は「国民軽視の官僚・大企業主導型社会」を目指していることを読者は見過ごしてはならない。

また、「日本経済の現実を見据え」とあるが、「世界経済の現実を見据え」れば、「財政再建原理主義」に基づく緊縮財政は、「予想以上の景気悪化を招くことで、財政をさらに悪化させるだけでなく、社会不安も高める危険な政策である」ということに気付くはずである。

「日本が一国財政主義でやっていけないのは明らか」と表明する野田新内閣。「国民軽視の官僚・大企業主導型社会」を目指す大新聞の世論操作や高い評価に惑わされることなく、「日本経済の現実」だけでなく、「世界経済の現実」も見据え、「日本経済の成長」と「日本社会の安定」を目指して貰いたいものである。

⇒【参考】野田新総理 〜 「企業に優しく、消費者に厳しい」政策で「需要不足社会」を乗り切れるのか

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