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「天王山」迎える英独立党-反EU結実するか

 【シッティングボーン(英国)】英独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージュ党首にとって、欧州連合(EU)残留の是非を問う23日の国民投票は、反EU運動が実を結ぶかどうか試されるものとなる。移民排斥を訴えるUKIPの姿勢は、残留か離脱かの議論に拍車を掛けている。

 ファラージュ氏は、1999年から欧州議員を務めているものの、EUを激しく批判してきた。UKIPにすれば、国民投票はその存在意義を問うものとなるかもしれない。国民が離脱を決めれば、同党は大きな目標の一つを達成する一方、残留を選択すれば同党の影響力が危機にさらされかねない。

 EU離脱運動の公式団体「ボート・リーブ」がファラージュ氏の主張に倣い、議論の焦点を「経済への影響」から「移民」にシフトさせたことで、離脱を支持する声が高まった。しかしボート・リーブは、有権者がファラージュ氏の極端な立場を嫌って離脱派に背を向けるのではないかと恐れ、同氏とは一定の距離を置いている。

 ファラージュ氏はビール好きの愛煙家で、卒直な物言いをすることから、「庶民派」のイメージが定着している。しかし同時に、彼の反EU運動は憎悪に駆り立てられたものだとして、反発する人々もいる。

 ファラージュ氏は22日、国民投票を前にした最後の演説後、記者団に対し、英国民が離脱を選べば、UKIPは離脱プロセスにおいて英政府とEUの交渉に圧力をかけ続けるという重要な役割を果たすことになると語った。同氏は、「政府が離脱を撤回する動きを見せないよう、直接的な脅威を与えるために、UKIPは存続する必要がある」と強調した。

 2015年の総選挙では、UKIPはグローバリゼーションや既成政党に対する有権者の幻滅を追い風にして支持を集め、総投票数の12.6%に当たる390万票を獲得した。

 ファラージュ氏は英国がEUに残留すれば、移民による性犯罪が増えると示唆し、一部地域から怒りを買ったことがある。UKIPは人種差別主義だとの指摘を一蹴したうえで同氏は、自身が目指すポイント制をベースにした移民システムは英国の需要に応じて技能を持った労働者の入国を認めるものであり、マイノリティーに入国の道を開くことになると述べた。 

ポスターに批判も

 ファラージュ氏は最近、中東からと見られる難民が列をなしている写真に「限界点―EUはわれわれを裏切った」と書かれたポスターを配布し、激しい非難を浴びた。この広告は、EU残留を訴えてきたジョー・コックス議員がナショナリストとみられる暴漢に殺害されたちょうどその日の朝公開されたことから、大いに物議を醸すことになった。

 離脱派リーダーの一人である前ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏は、21日ラジオ・インタビューで、UKIPのポスターについて「まったく不快だ」と述べた。残留を訴えているデービッド・キャメロン首相は、シリアなどからの難民は英国にはほとんど流入していないと指摘し、人々を不安に陥れるものだと批判した。

 これに対しファラージュ氏は、ポスター公開のタイミングが悪かったとしたうえで、ポスターはEUの移民政策の破綻を浮き彫りにしたものだとして、その正当性を主張した。同氏は最近、ロンドン南東部ケント州シッティングボーンを遊説中にウォール・ストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、「主権は重要な論点であり、その中に国境管理があるのは明らかだ。ポスターは力強いメッセージだ」と述べた。

 UKIPのこのポスターが有権者の動向に影響を及ぼしたかどうかは分からない。投票日が近づくにつれ、多くの世論調査で残留支持派が盛り返しているが、その動きは16日のポスター公開前から始まっていた。

 ファラージュ氏は、6月初めに欧州議会で演説した際、これが欧州議会での最後の演説になるだろうと述べた。議員の一部からは拍手が湧き起こった。

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