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- 2016年06月22日 06:43
「参院選後には“熱狂なき国民投票”の可能性も…」西田亮介氏に聞く参院選と改憲の行方
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BLOGOS編集部
民進党は参院選のポスターに「まず、2/3をとらせないこと」というキャッチフレーズを打ち出し、メディアでも、にわかにこの数字がクローズアップされ始めているが、改憲は今度どのような形で進むことが予想されるのだろうか。東京工業大学准教授の西田亮介氏に、今後予想される改憲への流れと、その先に予想される「国民投票」について話を聞いた。【大谷広太、永田正行】
■まず着手するのは96条?

民進党
西田:自民党は結党当初から「自主憲法制定」を党是に掲げてきたものの、様々な派閥を抱えていたことから、憲法改正には着手できない状況が続いていました。しかし、安倍総裁のもとで自民党内の体制が強化され、改憲への態度をより強固なものにしてきているように見えます。
また、これまで改憲勢力が衆参両院で3分の2の議席を獲得したことはほとんどありませんでした。しかし、今回の参院選では自民・公明両党に加え、おおさか維新、日本のこころを大切にする党などで77議席が確保できれば、発議が可能になるわけですから、当然、憲法改正論議が現実味を帯びてくるわけです。
選挙戦において、自民党が「あくまでも経済政策が争点だ」と主張することに対して、野党やメディアは、「もっと前面に憲法改正を押し出して正々堂々とやるべきだ」と批判しますが、世論調査の結果を踏まえると、憲法改正を争点にしても、有権者があまり関心を持たないという状況もあるでしょう。
もちろん自民党としても避けている部分があるはずです。ただ、本当にやりたいことはさておき、経済政策や待機児童、給付型奨学金などの社会保障政策といった、有権者が敏感にかつ肯定的に反応しやすいものを主張の前面に押し出すというのは、ここ最近の自民党の"勝ちパターン"となっています。

共同通信社
西田:まず、憲法の根幹に関わる部分や前文については触らないと思います、日本国憲法の本質部分は変更しないという公明党との合意も困難になりますし、なにより9条などはさすがにその象徴性が国民もよく知っているはずです。日本国憲法の改正は一度失敗すると次いつ改正の条件が整うかまったく予想できません。このような認識を前提にすると、憲法改正に相当の意欲を見せてきた安倍自民党をはじめとする改憲を主張する人たちが最初に取り掛かるのは、一時トーンダウンしてはいましたが、やはり96条の内容、すなわち下記の条文だと考えられます。
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。この変更を訴えるのではないかと思います。
現行の条文では、改正の発議には両院の総議員の3分の2が必要ですが、これを過半数にしようというもので、自民党が示している憲法改正草案にも盛り込まれています。むしろそれ以外の条文の改正は、現時点では難しいと思います。
今年は日本国憲法公布から70年、来年は施行から70年です。さらに2018年は明治維新から150年、2019年は大日本帝国憲法公布から130年という節目の年にあたります。安倍総理の自民党総裁の任期は2019年までであることを考えると、この間に最初の憲法改正を行いたいと考えていると推測されます。それによって憲法改正を訴え続けた祖父・岸信介元総理の意志を継承するとともに、彼を名実ともに超えたいと考えているのではないでしょうか。

BLOGOS編集部
西田:両党は選挙の際にお互いの力を必要としていますし、公明党は政権与党内でのブレーキ役と言われてはいますが、現在では押し切られたようにみえる状況も増えています。9条改正はさすがに難しいでしょうが、96条のような、あまりイデオロギッシュではないようにみえる条文の改正でないものについては協力の可能性は十分にあるでしょう。



