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イエレン米FRB議長の議会証言要旨

[ワシントン 21日 ロイター] - イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、上院銀行委員会で半期に一度の証言を行った。証言原稿と質疑応答での発言内容は以下の通り。

<英EU離脱問題で立場表明せず、独特の不透明性>

態度を明確にすることはしない。活発な議論が行われており、その点において私が提言することはしない。英国民が決定することだ。

私はただ、決定により経済的な影響が生じる可能性があり、米景気見通しに関連するという点を申し上げている。

不透明感が存在するが、類似するものがない独自のイベントだ。

どのような影響が生じるのか知ることは困難だ。もちろん不確実性は国内外で常に存在している。われわれはどのような経済的影響が及ぶかを注視し、その判断に基づいて行動する用意がある。

<米景気後退の可能性>

米経済が景気後退(リセッション)に陥る可能性については、非常に低いと考えられる。米経済は良好に推移しており、労働市場における最近の減速を注視しているとはいえ、経済は今後も成長を続けると予想される。消費支出や経済の伸びは力強く回復していることがこれまでに認められ、過去数カ月間の労働市場のぜい弱性も、それ以前にみられた成長減速への反応だとすれば、成長が足元持ち直しているもようであることも踏まえ、個人的に引き続きかなり楽観的に捉えている。過去のリセッションに関するいかなる条件も現時点では当てはまらないことから、経済がリセッション入りする可能性は低いとおもうし、もちろんそうした状況を想定していない。

<FF金利>

連邦公開市場委員会(FOMC)は、フェデラルファンド(FF)金利が緩やかに引き上げられるなか、経済活動は緩やかなペースで拡大を続け、労働市場関連指標は一段と強含むと予想している。

FF金利の引き上げを慎重に進めることにより、経済成長が緩やかなペースに戻りつつあるのか、労働市場が一段と力強さを増すのか、インフレ率がわれわれの目標である2%に向け進展を見せ続けるのかといったことを検証し続けながら、経済成長に対する支援を維持することができる。

<英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票について>

英国が国民投票でEU離脱を決めれば、大きな経済的な影響が及ぶ可能性がある。

このため、連邦公開市場委員会(FOMC)は世界経済と金融情勢、およびこれらが国内経済活動、労働市場、インフレ動向に与える影響を緊密に注視している。

<労働市場>

労働市場の改善ペースはこのところ減速したように見え、われわれが取っている金融政策の調整に対する慎重なアプローチが適切であることが示唆されている。

<賃金と雇用の伸び>

賃金の伸びがようやく加速している暫定的な兆しが一部で出ている。だがわれわれは最近の雇用の伸び減速が、予想通り一時的なものか見極めるため、労働市場の動向を注視する。

<インフレ率>

インフレ率は2%の目標を下回り続けているが、米連邦公開市場委員会(FOMC)は中期的に目標水準に回帰すると想定している。

インフレを下押ししていた一時的な影響が薄れ、労働市場も一段と力強さを増すのに伴い、委員会はインフレ率が中期的に2%の水準に戻ると見込んでいる。しかしながら、今後の政策決定を検討するうえで、インフレ率の目標に向けた実際の進展、および予想される進展の両方を引き続き注視していく。

<経済成長指標>

入手可能な各指標は、第2・四半期の国内総生産(GDP)成長が顕著に加速したことを示す。特に最近数カ月間、消費支出の勢いが加速した。実質可処分所得の底堅い伸びや、家計の富増大に伴う効果が持続し下支えした。所得増や非常に低水準の住宅ローンを追い風に、住宅も徐々に回復し続けた。

成長に好ましい基調的な諸条件のほか、家計支出が最近加速したことで、向こう数年間にわたって、労働市場や景気がより広範に一段の改善を示すと楽観している。

最新の労働市場指標や、さえない投資ペースは、内需低迷の可能性という1つの下向きリスクの存在を示す。

さらに、米景気のより長期的な見通しに楽観しているものの、ここ数年間みられる生産性の鈍い伸びが将来にわたって続くという、著名な一部エコノミストらが指摘する可能性を排除できない。

<中国>

中国は、輸出主導型の成長から脱却し内需や消費の拡大に向けた経済のリバランスに取り組むなか、引き続き多大な困難に直面している。

*以下は質疑応答での発言要旨。

<ブレグジットの影響>

英国が欧州連合(EU)離脱を決めた場合の先行き不透明性に対し、市場はリスクオフ心理で対応すると見ている。金融市場に影響が及び、安全資産への資金逃避の動きが出て、ドルやその他のいわゆる安全通貨の上昇につながる可能性もある。

考えられる影響について過度に強調したくないが、われわれは影響について認識しており、金融政策をめぐる今後の決定を行うにあたり、こうした影響を注視し検証する。

(英国のEU離脱に起因する米景気後退の)公算は小さいと考えているが、実際に何が起こるかまったく分からないため、非常に注意深く見守る必要がある。

<労働市場の状況をめぐる指標の低下について>

勢いが衰えたことを示している。証言の中でも言及した最近の雇用統計についても同様のことが言える。

過去数カ月間の数多くの指標で、疑いなく、労働市場は悪化はしていないものの改善ペースの勢いが失われたことが示された。このことは言及した通り、重要な考えだ。

われわれはこうしたことは反転すると信じ、予想している。ただ、われわれは慎重なアプローチをとっており、金利を一段と引き上げる前に予想が実現されていることを確認するために、非常に注意深く見守っている。

<米国債デフォルト>

米国債が債務不履行(デフォルト)に陥れば、米国にとっても世界経済にとっても、その影響は非常に深刻なものになるとおもう。米国債は世界の金融システム上、最も安全かつ最も流動性の高いベンチマーク証券であって、金融市場において重大な役割を果たしているため、米国債がデフォルトすれば、確実ではないにせよ、米金利は間違いなく長期的な悪影響を被り、最低でも米家計や企業の借り入れコストはかなり高まる可能性がある。

<プエルトリコ救済>

われわれの権限は極めて限られている。米連邦準備理事会(FRB)がプエルトリコに対し融資を行なうのは適切ではない。

われわれが地方債を購入する権限は極めて限定的だ。仮にその権限で基準を満たした債券を買い入れるとしても、プエルトリコの役に立つとは思わない。その上、緊急融資を行なう能力も有していない。

これは議会が対処する問題であり、FRBが対応することは適切ではない。

<サイバーセキュリティー>

サイバーセキュリティーに関しては、金融機関が守るべき基準が整備されており、その基準は各機関の重要性や複雑性によって異なる。したがってわれわれはこの問題を非常に重大な脅威であると認識している。われわれはサイバーセキュリティーの脅威に対する金融機関の対処能力をしっかりと監督している。

<財政政策、世界的な低金利について>

金利が非常な低水準にある米国を含む世界の多くの先進国では、金融政策と中央銀行が負担を担っていると一般的に言われている。世界の多くの国で、多額の債務や赤字に対する懸念から、財政政策は補助的な役割を果たしていない。

米国では多くのことが成し遂げられてきたと考えている。ただ、経済に対するマイナスの衝撃が発生した場合、金利が非常な低水準にあることをはじめ、これまでに試され効果を示してきた伝統的な措置を利用して対応する余地は限られている。

財政政策がより拡張的であれば、中立金利の水準はより高いはずだ。

<マイナス金利>

マイナス金利を追求する法的な根拠は存在していると考えている。ただ、われわれはこうしたことを検討していないことを強調しておきたい。

過去に検証した際、こうしたタイプのアプローチには大幅な欠点があると判断したことを踏まえ、われわれは積極的に検討していない。

われわれは金融緩和を提供する必要はないとみているが、必要あったとしても選択肢ではない。

<フォワードガイダンスへの依存低下>

(金融)危機を受け、危機がどれほど深刻だったのか、われわれがFF金利をどの程度の期間(低水準に)維持すると考えているのか、市場参加者の理解を助けるため、われわれはフォワードガイダンスを利用した。

(現在は)われわれはフォワードガイダンスに大きく依存していない。

<ブレグジット>

英国が欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を決めた場合、その後の時期は不透明になるとおもわれ、非常に予測困難ではあるが、金融状況や米経済見通しに悪影響をもたらすような金融市場の変動期を迎える可能性がある。確証はまったくないが、これはわれわれが注視していく事柄である。

<金利の道筋>

連邦公開市場委員会(FOMC)は、フェデラルファンド(FF)金利がかなりの期間、より長期的に主流であると考えられる水準を下回る水準にとどまると予想している。

海外からの経済・金融情勢に起因する米経済活動に対する足かせ、家計形成の抑制、生産性の伸びの低迷などを含む向かい風は、経済が潜在力に近い水準で推移するために必要な金利が歴史的な基準に照らし合わせて低いことを示しているからである。

<低金利に起因する脅威の高まりはない>

現時点で低金利による金融安定に対する脅威が高まっているとは言わない。現時点で脅威が高まっているとは思わない。ただ影響が出る可能性はあるため、注視する必要がある。

*内容を追加して再送します。

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