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理由なき辞任

「小物大臣」の言動は、最後まで資質に欠くものであった。「去ることについて心残りはない」という言葉を残し、辞任の理由についてはは「個人的な理由」ということで明確にしなかった。閣僚が「個人的理由」で勝手に辞められると思っているところがこの人物の政治家としての資質の無さを端的に表している。

政治家にとって「言葉」は極めて重要な要素だが、この方の「言葉」は最後まで心のこもらないものであった。御本人は「被災者のことは人一倍寄り添っているつもりだったが…」と被災者への思いの深さを演出していたが、辞任会見で発した「去ることについて心残りはない」という「言葉」からは、それが本意ではないことは明白である。さらに「私は被災された皆さんから離れないので、これからは松本龍、一兵卒として、復興に努力したい」との発言も、気持ちを逆なでされた被災者にとっては「ストーカー宣言」でしかない迷惑なもの。

「小物大臣」が直ぐにその任を辞したという事実は、復興に向けては貴重な一歩である。しかし、菅首相は「辞表を受理」するのではなく、「罷免」すべきであった。辞表をただ受理するだけにとどまったところに、首相のリーダーとしての能力の限界が現れているようである。漫然と「辞表を受理」するだけに留めてしまったことで、6日から正常化する予定の延長国会で、首相の任命責任追求に貴重な時間が割かれることは必至の情勢となった。

「理由なき辞任」ではあったが、周辺には「被災地の人に嫌われたらやっていけない」と語っていたという報道もある。確かに復興相は「被災地の人に嫌われたらやっていけない」。しかし、これは国会議員・政治家とて同じこと。「有権者に嫌われたらやっていけない」はずである。
今回の復興相の言動は、被災者だけでなく、殆どの国民の信頼を失うものであった。「被災地の人に嫌われたらやっていけない」復興相を辞任するだけでなく、「有権者に嫌われたらやっていけない」国会議員も辞めて頂きたかったというのが多くの国民の本心ではないか。
各社の世論調査で支持率が20%前後に低迷し、「有権者に嫌われている」ことが明白な首相が、姑息な手段で延命を図る政界では、致し方ないことなのだろうか。今回の「理由なき辞任」は、震災復興と共に、政界復興も必要不可欠であることを示唆する出来事であった。

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