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益城町長に復興の現状などを聞く

がれき処理や倒壊家屋の解体急ぐ
息の長い「民」の支援活動を期待


熊本地震発生から2カ月余。全世帯数の30%を超す4760棟が全半壊するなど最も甚大な被害が出た熊本県益城町の西村博則町長に6月16日、多忙な合間を縫って現状の問題点や「民」の活動に対する期待、将来の課題などを聞きました。

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町長室で復興への決意を語る西村町長。壁には「必ず朝は来る」、「絆」などの寄せ書き


人口約3万4千人の益城町では今もなお2千人を超す被災者が避難所で生活、応急危険度判定で「危険」、「要注意」とされた住居に寝泊まりする被災者も目立っています。これに対し西村町長は「まずは、がれきの処理や倒壊家屋の解体を急ぐ必要があるが専門業者や資材が大幅に不足している」とする一方、「今後、時間の経過とともにさまざまなニーズが出てくる」と民の協力に強い期待を示しています。

さらに「震度7が2回という予想し得ない地震に最初は戸惑った」とするとともに、災害発生直後の避難場所を確保するためにも、「公共施設は外壁だけでなく天井の照明なども耐震対策を徹底しておく必要があった」、「大災害発生時に避難所など多用途に活用できる大型の公園があったらよかった」など、今後の防災対策にも有益な指摘をされています。(主な一問一答は以下の通り)

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まず住むところの確保から第一歩を

―― 相次ぐ余震もあって復旧作業が難航しているようにも見えますが、現状をどう見ておられますか?

「人命を第一に避難所や食料、水の確保に取り組み、罹災証明書の発行も始まりました。今は仮設住宅や(民間から借り上げる)みなし仮設住宅の建設・確保を急いでいます。新たな一歩を踏み出してもらうためにも、まず住むところが定まらないと何事も前に進まないからです」

―― 町では、約1200戸の仮設住宅が必要と試算されているようですが、一方で壊れた建物の多くが応急危険度判定で「危険」、「要注意」と判定され、一般のボランティアが片付け作業に参加するのは難しいと聞いています。どう進めますか?

「県は解体作業の終了目標を2年後に置いていますが、復興を進めるためには“ちょっと時間が掛かりすぎかな”とも感じています。ただ、一言で解体といっても壊れた家の中には貴重品や写真などが残されており、家族の立ち合いで分別作業を進める必要があります。このあたりを、しっかりやっておかないと、かえって時間が掛かることにもなりかねません。従って専門業者や建設業協会に大きなグループを組んでもらって公費で解体を進める方向で調整を急いでいます」

―― がれき処理や家屋の解体を急ぐ上で必要な専門業者や建築資材の不足が深刻だと聞いていますが?

「ボランティアの方々の力でがれき処理が進んだ地域もあり、大変ありがたく思っていますが、やはり専門家の力は欠かせず、人手不足は深刻です。地震発生から2カ月経ち、劣化したブルーシートの張り替えが必要になっていますが全然足りません。屋根瓦など建築資材の確保はもっと大変です。結局は公的支援、民間のマンパワーをお借りしながら、可能な限り全体を前に進めたいと思っています」

―― これまで「民」の支援活動は避難所の運営支援や物資の仕分け、被災家屋の片付けが中心だったと思いますが、今後は如何でしょうか?

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長いスパンでご支援を

「この2カ月間は緊急支援が中心でした。これからは福祉や介護など、民間の協力を、お願いしなければならない問題がたくさん出てきます。仮設住宅ひとつとっても、その運営や健康づくり、互いのコミュニケーション、孤独死対策などキリがありません。大災害を経験された自治体の知恵も借りながら長いスパンでご支援願いたいと思います」

―― その上で熊本地震災害をあらためて振り返り、どんな感想をお持ちですか?

「震度7の揺れが2回、その後も大きな揺れを含め震度1以上が1700回を超す前例のない地震に誰もが戸惑い、“もう一度来るのではないか”という不安から逃れられないでいます。その結果、多くの被災者が今も車中泊やテント生活を続けています。それと、大津波ですべてが流失した東日本大震災と違って今回は、家屋被害も全壊、大規模半壊から一部損壊まで幅があり、もっと地盤の強い他地区への移住を望む人から、あくまで住み慣れた現在地での生活を希望する人まで幅があります。町の人たちの心をどう汲み取っていくか、難しい問題だと感じています」

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倒壊建物の解体、がれき処理が先決

―― 大震災を経験されて、今後の災害や防災に教訓となるようなことがあれば、おうかがいしたいと思います。

「一つは地震発生後の結束です。町職員を含め誰もが被災したのですが、自分より全体のために頑張っています。区長会や消防団の皆さんも然りです。消防団の活動では48人が倒壊した家屋の中から救出されました。2つ目は、災害発生時の避難場所確保を念頭に公共施設の耐震化の徹底、さらに大型の災害公園を備えておけばよかった、という反省です。体育館など町の施設は外壁などの耐震構造に問題はありませんでしたが、天井の照明施設の耐震が弱く落下するなど、肝心な時に避難施設に使えませんでした。さらに災害公園も普段は町民の憩いの場など、いくらでも使い道はあり、事前に備えておけば避難施設、テントや仮設住宅の設置場所として活用できました。この2点を徹底するだけでも、地震発生時の対応の幅は随分、広がったと思います」

―― 最後に、今後の復興に向けた決意を。

「大地震に直面して、何気ない日常がいかに貴重であったか、誰もが痛感しています。長い時間が掛かると思いますが、“個人の復興があって町の復興がある”を基本精神に新しい街づくりを進めたいと思います。町だけでなく個々人も、例えばコメ作りが当面難しいということであれば大豆などの栽培に切り替えるといった工夫も必要と思います。不幸な災害をテコに新しい街づくりを進め、震災前より安心・安全な町を目指したい。それが応援してくれる多くの人への恩返しにもなると考えています。引き続き幅広い支援をお願いします」

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