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【黒田総裁、慶大生と語る】

日銀の黒田総裁が慶應義塾大学で「デフレからの脱却に向けて:理論と実践」と題した講演を行いました。縁あって主催の経済学部から招待されたので、最前列で聞くことができました。

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総裁は5人の学生から質問を受けました。みんなよく勉強していて、緊張することなくはきはきと質問して、自分が若かったころはできなかったろうなぁ、と思いました。

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ただ、普通の記者会見や経済界との懇談と同じ内容で、「黒田さんはどんな学生だったのですか?」とか「今から振り返って、やっておくべきことは何でしたか?」といった、学生でないと聞けないようなことも一つくらい聞いて欲しかった!思わぬいい答えがあったように思います(^_^)

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質疑応答部分だけざっくりまとめました(ざっくりです)。最後の2つは質問も回答も英語でした。

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■2年という物価目標の期間の明示したのはなぜか?原油安など日銀がコントロールできない原因で達成できない場合、信頼を著しく損なうリスクもあるのでは?(経済学部の男性)

□2013年4月に量的質的緩和策を導入した際に、だけでるだけ早期に2%を達成したいと言ったのは、長いデフレから脱却するには強いコミットメントが必要だと考えたから。

英語ではas soon as possibleではなくat the earliest possible timeとして、早くやるんだ!ということを示した。

そしてデフレでないという状況まできたが、2%という目標には道半ば。それでも、プラスの効果は十分にあったのではないか思う。

当時は、より強いコミットメント、5年先なのか10年先なのか、ある程度、頭にないとできない。消費税引き上げ後の駆け込みの反動が長引いた、石油価格が75%下落し、ヘッドラインは0%近辺、生鮮食品とエネルギーを除いても1%ぐらい。

2年程度で実現できなかったが、こうした強いコミットメントはやはり必要だったのではないかと今でも思っている。できるだけ早期に実現しようというコミットメントは変えるつもりもないし、必要もないと考えている。



■日米の中央銀行の市場との対話の違いについて。FRBはコミュニケーションで市場に織り込ませる一方で、日銀はサプライズを利用するが、なぜ市場に織り込ませないのか?(経済学部男性)

□テーラールールに表れているように、中央銀行としての政策反応関数を明示することによって政策効果はむしろ深まる。日銀でもできるだけ早期に2%の目標を実現するために、必要があれば追加的な措置をとることを申し上げてきた。2014年10月に量的質的金融緩和を拡大し、2016年1月にマイナス金利付き質的量的金融緩和を導入した。

現在のFRBの、政策反応関数ははっきり示していて、data-dependantだと言っているデータの出方しだい、それにデータのの評価で変わってくるということで、何年の何月に何をすると言うことを言うことは誰もしていない。アメリカの場合は織り込ませて、日銀の場合はサプライズを狙ってやっているということではない



 ■量的質的緩和政策によって富裕層の資産は高まっているかもしれないが、一般労働者の賃金は増えておらず、格差は拡大していると指摘されている。量的質的金融緩和と格差拡大についてどう考えるか?(商学部女性)

  □ご存じのようにFRBのイエレン議長も拡大拡大について懸念を感じているという。量的質的金融緩和で何を狙っているかと言えば、あくまで企業収益、雇用賃金の増加をともないながら物価上昇を作り出すことだ。失業率が3%と完全雇用状態に近づいている。雇用者所得は順調に伸びている。

一般的に非伝統的金融緩和で資産価格が上昇して、分配が不平等になるのではないかという議論はよく聞かれるが、好循環となっている。

今の段階で日本で格差が拡大しているわけではないが、我々としてもどのように所得分配が上がっていくのかよく見ていく必要がある。

■なぜマイナス金利政策を導入したのか?それまでの金融緩和は不十分だったのか?(留学生、男性)

□マイナス金利政策は非伝統的で新しい政策である。日本の金融市場や銀行は当初、この新しい政策フレームワークにどう対応するべきか幾分戸惑っていた(somewhat uncertain as to how to deal with this new policy framework)。今や理解されている。



■ハイパーインフレーションのリスクをどう考えるか?(留学生、男性)

□非伝統的な金融政策は、まぁ非伝統的なんですよ!当初、経済や物価に対する影響について当惑している向きもあった(Some were uneasy on the impact of unconventional monetary policies on the economy and inflation rate)。

世界を見渡しても、非伝統的な金融政策を導入して数年たつにもかかわらず、物価高(high inflation)は見られない。懸念は重要ではない、あるいは決定的ではないのだ(the concerns are not relevent or crucial)。

中央銀行としてはもちろん物価高(excess, higher, hyper inflation)は回避しなければならない。そして、物価高を回避するためのツールは十分にある(we have enough policy tools to avoid excess, hyper inflation)。

要約すると、中央銀行としては常に物価高に慎重であり、警戒しなくてはならないが、現段階ではその兆候は見られない(currently, we have not seen any tendency)。どんな場合も、必要に応じてインフレを抑え込む政策ツールは十分に持ち合わせている(In any case, we have enough tools, measures to contain inflation if necessary)。

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