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フジテレビはなぜ凋落したのか

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フジテレビはなぜ凋落したのか (新潮新書)


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フジテレビはなぜ凋落したのか(新潮新書)

内容(「BOOK」データベースより)

視聴率の暴落、初の営業赤字、世論の反発…かつての“王者”に一体何が起きたのか―。一九八〇年代に黄金期をもたらした組織改革は、お台場への社屋移転等によって効力を失い、番組から斬新さは失われた。さらに日本テレビの猛追、「韓流びいき」批判も加わり、フジテレビは王座から滑り落ちた。情報番組のプロデューサー等を務めた元社員が、自らの経験や関係者への取材をもとに、巨大メディア企業の栄枯盛衰を描く。

 もとフジテレビの社員(番組制作者)であり、現在は九州の大学で教鞭をとっている著者による「フジテレビの栄光と凋落」。

 著者は「フジテレビと揉めて辞めたわけではなくて、今でもシンパシーは感じている」と仰っており、あくまでも「栄光の時代を過ごした一社員の目」で、フジテレビの歴史を辿っています。

 現状での問題点を挙げていく、というよりは、フジテレビの歴史を振り返ることによって、「王座」にいた時代と今は、何が違っているのかを浮き彫りにしようとしているのです。

 関係者に話を聞いた、ということで、数々の証言も散りばめられてはいるのですが、取材相手についての詳細はほとんど触れられておらず、「身内」であることのメリットとデメリット、みたいなものを感じる内容でした。

 「身内」だけに、「視聴率三冠」が長く続いた時代の高揚した雰囲気が伝わってきますし、逆に「あんまり厳しいことも書けないんだろうな」というのを、読んでいて感じるんですよね。

 もうダメだ、と言われはじめてからけっこう時間が経つのですが、結局のところ、「テレビ」というメディアは相変わらず巨大なものですし、「ネットメディアの現状での限界」も感じられます。

 そんななかで、フジテレビは「ひとり負け」しているようにさえ見えるのです。

 あらためて言うまでもないが、かつてフジテレビは「王者」として君臨した。1980年代に画期的なバラエティー番組を立て続けに世に送り出したことえブレイクしたフジテレビは、長らく放送業界のリーディング・カンパニーとして時代を先導してきた。

 ところが、あの元気なフジテレビは、今や見る影もない。視聴率、営業成績ともに、かつてないほどの惨敗を喫し、社内の雰囲気もギスギスしていると聞く。

 それは数字にもはっきりと表われている。

 フジテレビは、2011年に視聴率三冠王(全日:6時〜24時、ゴールデンタイム:19時〜22時、プライムタイム:19時〜23時、全三部門で年間平均視聴率が1位)の座を日本テレビに明け渡すと、2012〜2014年にはテレビ朝日にも抜かれ、無冠のまま後退.巻き返しをはかるべく2015年4月に実施した異例の番組大改編も、一桁台の視聴率を連発するなど空振りに終わった。

 また、2015年4月〜9月期の中間決算では開局以来初めて営業利益(フジテレビ単体)が10億円の赤字となった。

 栄華を極めていたはずのフジテレビは、なぜこんなに低迷しているのか?

 1981年、開局当初の「母と子のフジテレビ」に取って代わって、「楽しくなければテレビじゃない」がキャッチフレーズとなった。

 お祭り好きで、元気で陽気――。

 そのような”ラテン系”テレビ局のイメージが、社内だけでなく世間でも認知されるようになった始まりはここにある。

 その後この言葉は、キャッチフレーズを超えた会社の「最高規範」「憲法」あるいは「呪文」のように働き、社員の意識や番組制作を方向づけていった。

 「楽しくなければテレビじゃない」

 このキャッチフレーズは、フジテレビにとっての「憲法」のようなものだと著者は仰っています。

 1970年代に行き詰まっていたフジテレビは、1980年代、若き鹿内春雄さんを中心に改革をすすめ、当時の常識を打ち壊す自由闊達さや視聴者と同じ目線での番組づくりで、頂点を極めました。

 その後、日本テレビの躍進で、一時王座を明け渡したものの、2000年代の半ばから再び視聴率三冠に君臨してきたのです。

 ところが、2010年くらいから、フジテレビは迷走をはじめてしまい、2016年の夏の時点では、まだ明るい兆しはみえてきていません。

 これを読んでいると、「歴史は繰り返す」という印象を受けるのも確かで、フジテレビもずっと「視聴率王」だったわけではなく、マンネリや組織の固定、経営効率化のために関係者に「格差」をつくってしまう、などの影響で、制作者たちのモチベーションが低下してしまった時代もあったのです。

 だから、いまのフジテレビの凋落も、長い歴史のバイオリズムのひとつ、みたいなものなのかな、とも思うんですよ。

 ただ、この新書で紹介されていた、「ここ数十年間のプライムタイム(午後7時〜10時)や全日(24時間)の視聴率の推移、をみていると、数字が斬減してきているのがわかります。

 テレビ局どうしの陣取り合戦や「フジテレビ」が槍玉にあげられがちではありますが、実際、テレビというメディアそのものが、だんだん、視聴者に観られなくなってきているのも事実なんですよね。

 僕のような「フジテレビの全盛期(1980年代〜90年代)にテレビバラエティを観てきた人間は、つい、「昔のフジテレビは良かったのに」と思ってしまいがちなのです。

 でも、これを読んでいて痛感するのは、同じことをいまのフジテレビの中心にいる人たちも考えているのだ、ということなんですよね。

 それで、「あの頃のフジテレビを取り戻そう」としている。

 ところが、いまの若い視聴者が求めているのは『ひょうきん族』の楽屋オチ的な要素を多分に含んだ笑いではないのです。

 若者たちは、自分とテレビ局の社員との「格差」に敏感だし、享楽的に生きようと思えるほど、未来を信頼してもいない。

 この新書のなかで、「おニャン子クラブ」について、著者はこう書いています。

 彼女たちが歌っていた「セーラー服を脱がさないで」という曲は、現在の放送倫理基準に照らすと、限りなくアウトに近くクレームが寄せられてもおかしくないが、当時はノリノリのムードの中で普通に放送されていた。そういう時代だったのだ。

 僕も「今のテレビは、あまりにも息苦しいのではないか」って、考えてしまいがちなんですよ。

「昔はもっと、視聴者も『おおらか』だったのに」と。

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