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「法治国家」で広がる格差〜「東電の責任」と「国の責任」

清水社長の引責辞任に加え、役員経験者らが就任している顧問数の21人から13人への削減、そして社員給与の2割カットなど人件費を含む経費5,000億円削減、というリストラ策を発表した東京電力。東電清水社長辞任に対する政府の反応は、「退任してどういう立場になっても、今回被害に遭われた方への社会的責任をしっかり果たしていかなくてはいけない」とクギを刺す冷ややかなものであった。

一方の政府は、首相自ら「原発政策を国策として進めてきた政府にも大きな責任がある」と認めつつも「責任逃れで辞任するような事はしない」と引責辞任を否定。参院選公約である国会議員経費2割削減に向けた「衆院比例80」「参院で40程度」の議員定数削減方針を先送りした上、違憲状態にある「1票の格差」の是正も放置し、「節電啓発担当大臣」など不要の大臣ポストがあるにも拘わらず東日本大震災の復興に絡めて現在17の閣僚枠を最大3つ増やす内閣法改正案を衆院本会議で審議入りさせた。政府の方は、東電の責任追及等に注力し、今のところ自らの責任やリストラなど、全く眼中にないようである。

「一義的な責任」を負う東電と、国策として原発政策を進め「連帯責任」を負う立場にある政府との間の格差は予想以上に広がり、それと共に「政府の責任」が見え難くなりつつある。
原発の事業主体である東電が責任から逃れられることはあり得ないが、世間の注目を政府以外に向けさせることで「政府の責任」を曖昧にするような姑息な演出には疑問を感じずにはいられない。

責任問題に関して重要なことは、「感情論」ではなく、まずは「法」に則って進めることである。金融機関に対する「債権放棄要請」に代表される様に、東電以外に「金融機関」という「魔女」を作り出して国民感情を煽るようなやり方は、「法治国家」として最悪である。
金融機関の「債権放棄」自体は可能性のあるものであるが、金融機関に「債権放棄要請」をするのであれば、「法」に則って「株主責任」をまず問うというのが「法治国家」としてあるべき姿だということである。東電株や電力債は、年金基金などに多く保有されており、国民に対する直接的影響が大きいという指摘もあるが、それを避ける為に電力料金値上げや、各種の増税が為されるのでは本末転倒である。

対立し易い「国民感情」を整理する為に存在する「法」を軽視し、「国民感情」を煽って「超法規的措置」を押し付けて行くやり方は「法治国家」に相応しくないものである。政権維持を目的に、政府の責任を曖昧にする「魔女」を仕立て上げて行く姑息な方策を積み上げて行っても、「復興」というゴールに到達することはあり得ないことを、政府はもっと自覚すべきである。

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