- 2016年06月19日 07:27
巨大組体操つづける学校 自治体禁止でも実施、最高段数を記録、頂点から垂れ幕…
1/2■学校の対応わかれる
春の運動会シーズンが終わった。組体操事故への関心が高まるなか、各学校の対応は大きくわかれた。
巨大組体操はどうなったのか。「組体操のいま」を報告する。
昨年まで巨大組体操に取り組んできた学校は、今年度次の3通りのいずれかの対応をとっている。
1) 別の種目(ダンスなど)に変更する
2) 低い段数に変更する
3) ほぼ従来どおりに実施する。
1) と2) については、とくに自治体による規制の影響が大きい。運動会に先立って、名古屋市、愛知県、神戸市、岡山市などは段数を制限した。また、東京都や大阪市、福岡市はピラミッドとタワーの禁止[注1]、千葉県内の複数の自治体(柏市・松戸市など)は組体操そのものを廃止した。
■それでも巨大組体操をつづける学校
画像を見る今春に中学校で披露された9段のピラミッド
規制を設けた自治体では基本的に、昨年度までどれだけ巨大なものを組んでいても、今年度において各学校は、自治体の指示に従い、段数を制限したり、組体操を取り止めにしたりしている。
一方で規制を設けなかった自治体では、自主的に1) や2) の対応をとった学校もあれば、3) のような従来どおり巨大組体操にこだわりつづけた学校もある。
Twitterの検索ならびに複数の教育委員会への問い合わせにより、私が把握したところでは、「9段」のピラミッドを実施した中学校が1校あり、「8段」ピラミッドの中学校や高校が複数ある。さらには小学校でも「7段」ピラミッドが披露されている。
ピラミッドよりも危険性が高いと考えられるタワー(「ピラミッドよりタワーが危険」)も、依然として「4段」や「5段」という危険な組み方が実施されている。
■巨大組体操の頂点から垂れ幕
画像を見る「7段」ピラミッドの頂点から長い垂れ幕が下ろされている
「9段」ピラミッドの中学校では、たんに巨大であるだけではなく、頂点の生徒は、頂点から垂れ幕を下ろすという作業もこなした。じつは、昨年度「10段」ピラミッドが崩壊して6名の負傷者を出した中学校でも、頂点の生徒は垂れ幕を腰に付けてのぼっていた。
Twitter等の画像を調べていると、高さが高いことを利用して、頂点から垂れ幕を下ろして、より華やかさを演出しようという試みが目に留まる。ただでさえ高層化していてリスクが高いところに、さらに頂点の生徒が新たなパフォーマンスをおこない、組体操に華を添えようというのだ。
■最高段数に到達か 最大負荷は200kg超
画像を見る俵型4段。すでに2.1人分の最大負荷。指導者は荒木達雄教授(日体大)。画像を見る
立体型10段を横からみた場合の断面図(内田良『教育という病』(光文社新書)
この春の運動会で、私が驚いたのは、俵型のピラミッドで「7段」を記録した学校があったということだ。
俵型というのは旧来の組み方で、単純に組み手が四つんばいになって上に積み重なっていく方法である。この十年ほどで学校現場に拡がった立体型の組み方と比べると、奥行きがないため、不安定である。そして俵型「5段」の最大負荷(最下段中央で3.1人分)は立体型の「9段」に相当し、負荷量はかなり大きい(「ピラミッドとタワーはどこに向かうべき?」)。
俵型ピラミッドは立体型に比べて高層化が難しい。私がこれまで調べてきた限り、俵型で「6段」の実例は確認していたが、「7段」ははじめて知った。学校における俵型ピラミッドでは、最高到達点であると考えられる。
俵型の7段では、一人にかかる最大負荷は、3.81人分、おおよそ立体型ピラミッドの「10段」に相当する。中学3年生男子の場合、平均体重は54.0kg(文部科学省調査)であるから、最大負荷は205.7kgにまで達する[注2]。動画を見てみると、ピラミッドが崩れないよう、両横から複数の教員が生徒の身体を押し込めている様子が映っている。
- 学校リスク研究所 内田良
- 名古屋大学准教授,教育社会学。



