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国内最高峰の資格試験で行われる「生産調整」

政府は、2013年に導入しようとしていた「企業財務会計士」制度の先送りを決定した。リーマン・ショック以降に深刻化した公認会計士試験合格者の「就職浪人」対策として、亀井静香前金融担の下で検討が始まった「企業財務会計士」制度は、約2年間の議論を経て振り出しに戻った。

大学生の就職難は大きく報道されているが、公認会計士試験合格者の就職難も深刻だ。公認会計士試験の2010年合格者約2,000人のうち700人が就職できず、浪人比率は過去最悪の4割。
2012 年以降の国際会計基準対応を迫られる中、35万人以上という米国と比較し日本の公認会計士数は約2万人と、絶対数が少ないという理由で国は公認会計士の数を増やして来たが、これが完全な見込み違いであったことが明白となった。これを受けて国は、11年の合格者枠を1,500人に減らす「生産調整」で公認会計士試験合格者の就職難をコントロールするという、方針の大転換を打ち出した。

しかし、憂慮すべき点は、就職難が公認会計士試験と双璧をなす司法試験合格者にも及んでいること。日弁連が司法修習生2,180人を対象に行ったアンケートで、弁護士登録を希望しながら法律事務所などへの就職先が決まっていないのは、修習生全体の4分の1に当たる562人に上ることが明らかになっている。司法試験合格者数に関して政府は、日弁連からの現状(2,100人強)からの削減要望にも拘わらず、年間3,000人まで引き上げる方針を維持しているが、これも公認会計士試験と同様に、「生産調整」を強いられることになるのかもしれない。

資格試験の最高峰と言われる司法試験と公認会計士試験の合格者の多くが就職難に喘ぐという現実は、「直ちに社会に悪影響を及ぼすものではない」ものの、人生を賭けて合格を目指す多数の若者の人生設計を狂わしかねない問題というだけでなく、若い人達から「努力すれば報われる」という価値観を奪いかねない重大な問題。こうしたリスクは、政府による場当たり的な「生産調整」で解決出来るものではない。
政府には、司法試験や公認会計士試験という国内最高峰の資格試験の合格者数の「過度な変動」は、日本の国際競争力の基礎となっている貴重な価値観をも失わせかねない深刻な問題である、という危機感を持って、「努力すれば報われる」という社会を維持する責任と義務がある。

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