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その番組本当に必要ですか?

6日の東京株式市場で、東京電力の株価は大商いの中乱高下となった。午前中一時前日比19%安の292円と、前日に付けた上場来安値362円を大きく更新した後、後場には急速に値を戻し、一時9.4%高の396円まで上昇。結局前日比6.9%安の337円で引けた。売買高は3億312万株と、前日の2億 994万株を更に44%上回り過去最高となった。売買代金は979億円で、売買高、売買代金ともに東証1部で1位。日本を代表するディフェンシ銘柄であった東京電力株は、原発事故をきっかけに「マネーゲーム」の主役となった。

売買高が膨らんだのは、補償額の規模によって、東京電力の国営化や破綻など様々なシナリオが考えられ、投資家の思惑が交錯し易いことが原因。様々なシナリオの中で、現時点で最も可能性が高いと考えられているものは、水俣病の原因企業となったチッソと同様に、事業から得られる利益を全て被害者の補償にまわすために、形だけは残すというもの。
チッソは、 1956年に確認された水俣病に関わる膨大な補償損失で1,000億円を超える債務超過に陥ったが、国などの支援措置で存続し続け、今年の4月1日に補償部門のチッソと事業会社のJNCに分離されたばかりである。確実な電力料金が見込める東京電力は、チッソ型で存続させるのに適した企業でもある。

原発事故をきっかけに東京電力のチッソ化が噂される中、皇太子ご夫妻は6日午後、東日本大震災の避難所として使われている東京都調布市の味の素スタジアムを訪れ、被災した人たちを見舞った。病気療養中の雅子妃の公的な外出は昨年10月以来半年ぶりのことだそうだ。宮内庁によると、今回の慰問は「ご夫妻の強いお気持ちと体調を勘案した」とのこと。

皇太子夫妻が「強いお気持ち」を持った理由の一つとして、雅子妃の祖父の存在があったのかもしれない。雅子妃の母方の祖父は、チッソの元社長(水俣病発生時には社長ではなかったが問題解決には当った)である。考え過ぎかもしれないが、こうした祖父に持つ雅子妃が「強いお気持ち」で被災者を見舞う姿からは、不思議な運命を感じずにはいられなかった。

電力需要がピークを迎える夏に向け、日本経団連は、産業界が自主的に取り組む「節電計画」作りを進めている。例えば自動車業界は、トヨタは日月曜日、日産は火水曜日、ホンダは木金曜日……というように、各社の工場を曜日ごとに「輪番」で稼働する案を軸に検討を進めていると伝えられている。ただ「東電エリアに生産設備がほとんどないトヨタやマツダがどうやって付き合うのか」という調整すべき課題は大きいようである。

製造業での「輪番操業」は、その平等性の調整が極めて難しい。これに対してテレビ局などは「輪番操業」に向いている業種である。NHKを除く民放各局が、月曜日は日本テレビとテレビ東京、火曜日はTBSとフジテレビ、水曜日はフジテレビと日本テレビ…という感じで放送日を決めれば直ぐにでも実行可能である。震災に伴う企業のCM自粛もあり、大量にACジャパンの広告を流している位なのだから、テレビ局の経済的損失もさして大きくない可能性が高い。それに、何と言っても日本経済、社会に与える影響は、製造業の「輪番操業」に比較して極めて低い。テレビ局は連日節電を訴えているが、自ら率先して範を示すべき時に来ている。

テレビ局は連日「それ本当に必要ですか?」というACジャパンの広告を流しているが、テレビ局は自らにもこのメッセージを問いかけてみる必要がある。被災地に配慮した過剰な自粛ムードは、被災地及び日本の復興の妨げになるものであるが、各局が同じ様なタレントを使い、似たような番組を見る度に、「その番組本当に必要ですか?」と感じるのは筆者だけであろうか。

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