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反対売買を伴う売買と、反対売買を伴わない売買

G7各国は、日本の要請に応え円高阻止の協調介入に合意した。G7各国による協調介入は約10年半ぶり。協調介入を受けて円は79円付近から81円台後半まで下落、急激な円高に一旦は歯止めを掛けた格好となった。日銀に続いて、欧州市場では英、独、仏各国及びECBが円売り介入を実施、ニューヨーク市場でもFRBが円売り介入に加わった様だ。

欧州及びニューヨーク市場の為替の動きから推測するに、G7各国の介入は、円相場の過度な変動を抑えることに主眼を置いたもので、円の「押下げ介入」ではない模様だ。プラザ合意やルーブル合意に代表される様に、1980年代には為替レートを一定の水準に誘導することを目的に行われることが珍しくなかった協調介入も、21世紀に入ってからは為替市場における過度な変動を抑えることを目的にしたものに変化して来ている。それと共に、協調介入によって直ちに市場のトレンドが変化することも少なくなって来ている。

それでも、ここ数年、具体的な合意に至らず、決裂を避けた曖昧な合意を繰り返して来たG7各国(G8も含む)が、円高阻止の協調介入という具体的な政策で合意に至ったことは、とても重要な出来事。中東・北アフリカ地域での政治的混乱や、日本を襲った100年に一度といわれる地震による混乱、ユーロが抱える崩壊危機など、国際社会は主要国の協調体制抜きでは克服出来ない問題を多数抱えているからだ。

協調介入で直ちに為替市場のトレンドが円安に変わることは期待薄である。ただ、昨日シドニー市場で76円台前半まで瞬間的に一気に円高が進んだことで、為替市場にマグマのように溜まっていたドル売/円買エネルギーは一旦放出されている。為替市場に内包されて来たドル売/円買エネルギーが昨日の円急騰でかなり減少したこと、G7が円売り協調介入で合意したこと等を考え併せると、為替市場は徐々に落ち着きを取り戻すことになりそうだ。

市場には協調介入の継続性に対して懐疑的な見方も少なからずあることに加え、年度末という季節要因もあることから、G7各国の介入が「押下げ介入」でないことが明らかになった場合、為替市場で再度円買圧力が高まる可能性は十分にある。しかし、為替市場に内包されたドル売/円高エネルギーが一旦放出された今、円高圧力を高める主役は「投機筋」である。「投機筋」によって演出される円高は、それ程怖いものではない。何故ならば、「投機筋」によるドル売/円買は、比較的短い期間内に利益確定を目的とした反対売買(ドル買/円売)を伴うからだ。投資家のとってで恐ろしいのは、反対売買を伴う「投機筋」の売買ではなく、昨日見られた仕組債の繰上償還に伴うドル売/円買の様に、反対売買を伴わない売買である。

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