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焦点:日銀内に多い追加緩和に慎重な声、円高/株安視野に詰めの判断 

[東京 13日 ロイター] - 日銀が15、16日に開く次回の金融政策決定会合では、下振れ傾向の物価動向に加え、世界的な低成長への懸念や英国の欧州連合(EU)離脱問題でリスクオフの色彩が濃くなっている現状を中心に、議論が展開される見通しだ。今のところ2017年度中の物価2%達成の経路から大きく外れていないとの見方が大勢で、追加緩和に慎重な声が多い。ただ、足元で円高/株安が進行しており、最終的な判断はギリギリまで詰める。

<弱い物価上昇の力>

会合では、今年に入って鈍さが目立つ物価の基調の先行きと、その根底にある先進国を中心にした世界的な低成長の原因などが議論される見通し。

政策運営の目安である消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は、3月、4月と連続で前年比マイナス0.3%となっており、日銀が17年度中の達成を目指す2%の実現は、民間エコノミストの間では不可能との見方が多い。

原油などエネルギーの影響を除いた日銀版コアコアCPIはプラス圏にあるが、4月は前年比0.9%と1%を割り込んだ。

伝統的に日銀が物価の長期的な基調判断で注目している刈り込み平均値(極端に値上がり・値下がりした品目を除いた物価の中心的な動き)は前年比プラス0.3%と、プラス幅や緩やかに縮小する動きを見せている。

また、米、独、日本の長期金利がいずれも低下傾向を示しており、その背景に先進国の「低生産性」と成長力の鈍化が作用し、この世界的な低成長の動きが、日本経済にも波及して、物価の足取りを鈍くさせていると分析する声もある。

<マイナス金利付きQQE、効果見極めの声>

こうした中で、日銀内では1月に導入したマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)政策の効果発現を見極めたいとの声が多い。

前回4月の決定会合時と比べ、大幅に落ち込んでいる国内経済のデータがないうえ、1━3月の国内総生産(GDP)は2次速報で若干上方修正されている。輸出や消費に力強さがないものの、雇用や設備投資がしっかりしている状態が継続しているためだ。

日銀はマイナス金利政策の導入で名目金利が大きく低下し、その効果が実体経済や物価にこれから着実に波及していくとみている。

また、安倍晋三首相が来年4月に予定していた消費増税の延期を表明し、個人消費にプラスになるとの見方もあり、17年度にかけて需給ギャップや期待インフレ率の改善が期待できるとの見立てだ。

原油価格(ドバイ産)が1バレル50ドル前後と4月末の30ドル台後半から大きく上昇しており、その点も先行きの物価支援材料となる。

<週明けに進んだ株安/円高>

だが、不安な材料も足元で急速に広がりつつある。週明け13日の東京市場では、日経平均<.N225>が前週末比582円18銭安の1万6019円18銭まで下落。ドル/円<JPY=EBS>は105円後半までドル安/円高が進んだ。

23日に予定されているEU離脱の是非を問う英国民投票で、離脱が多数になるとの思惑から、リスクオフ心理が台頭。投票結果を待たずに株安と円高が進んでいる。

こうした市場動向が、企業や個人の心理を悪化させるようなことになれば、物価目標2%の達成は決定的に影響を受けることになり、追加緩和を日銀が決断する可能性も残されている。

日銀は、これまでの政策の累積的効果の波及と、足元でのリスクオフ心理の高まりを見極めつつ、慎重に政策判断を決めるとみられる。

(竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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