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争点隠し、争点ずらしは安倍政治の常套手段?

 安倍政権は前回の衆院選では「経済で結果を出す」と経済を争点に据え、集団的自衛権の容認の是非を中心とする国防・安保政策を争点から隠した。そして、選挙で議席を減らしたものの、辛勝するや(春の統一地方選を経て)集団的自衛権容認を核とする安保法制(政府の言う平和安全法制)を政権の最優先課題に一気に押し上げ、強行採決に持ち込んだ。

 今回、夏の参議院選においても、これまで憲法改正への意欲を示してきたにも関わらず、ここへきて経済政策、アベノミクスの継続の是非を争点として前面に押し出し、議論が尽くされておらずまだまだこれからだとか(それはそれで事実ではあるが)、与党で3分の2を確保するのは無理だとかいった煙幕も用いつつ憲法改正を争点から隠そうとしている。

 過去の安倍政権のやり口からすれば、憲法改正など心にもないと見せかけて争点をずらした上で、参院選で議席を積み増し、秋の臨時国会で本年度予算の2次補正を経て、一気に憲法改正へと駒を進めたいという腹積りが透けて見える。(それを見込んで、政権に擦り寄ろうとするニッチ野党の動きはなんともおぞましい。)

 争点隠し、争点ずらしをするということは、集団的自衛権の容認や憲法改正が国民の大きな反発を受けることを重々認識している、つまり国民的な合意が得られないことを承知しているということの左証ではないのだろうか。

 国民的な合意が得られないと承知しているものを国民の目から隠しておいて、突然目くらましを狙うかのように持ち出し、騙し討ちのように強行採決する、それに当たって海外での危機を過剰に演出する。

 それが安倍政権の常套手段を通り越して真骨頂になってしまっているようだが、ことが安倍政権に限った話であれば政権が替わることで常道に戻りうるが、繰り返し用いられることによって、国民がそれに慣れてしまい「争点隠しと騙し討ち」が当たり前のことになるようなことになれば、我が国と我が国の民主主義にとっての大きな危機である。

 筆者は憲法改正に反対の立場ではないし、我が国を取り巻く国際環境の変化に対応した安全保障体制(無論、アメリカ様のための集団的自衛権には反対であり、自主防衛力の強化を軸とした自国を自国で守る体制)を構築することにも賛成であるが、安倍政権のこうしたやり口には大いなる反感と危機感を覚える。

 憲法改正が必要ということであれば、正々堂々と争点に据えればいい。個別の論点まで示して、国民的な議論を巻き起こせばいい。憲法改正は一朝一夕の議論で終わるものではないし、軽々に終わらせるべきものもないのだから、時間をかけて一つ一つ論点をつぶしていけばいいだけの話ではないか。

 賛否両論はあって当たり前。侃々諤々の議論を経るからこそ、国民的な合意も生まれるというものである。憲法というものは、この国の在り方を規定したものであるから、国民的な議論と国民的な合意の下に成り立っていなければならない。

 それにも関わらず、憲法改正という国民的重要事項、関心事項を国民の目から隠し、正々堂々と国民的な議論を求めないということは、それだけ安倍政権は民主主義や国民的な議論というものに対して臆病ということなのだろうか?

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