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裁判員への働きかけ

裁判員に対する働きかけについての報道が続いています。

まず先月、福岡地裁小倉支部で開かれていた裁判で、被告人(暴力団幹部)の知人とみられる男性2人が、閉廷後に複数の裁判員に「顔覚えとるけんね、よろしく」などと声を掛け、判決期日が取り消されたと報じられました(この件に関しては、6人の裁判員のうち4人が辞退を申し出て、それが認められたそうです)。

その後、東京地裁でも、昨年9月にあった裁判で、傍聴していた男が裁判員に法廷外で「被告人がかわいそうだ」などと声を掛けていたことが分かったそうです(こちらは、「審理に影響はない」と判断され、裁判員の解任もなく、判決は予定通りの期日に言い渡されたそうです)。

前者については、福岡地裁小倉支部が裁判員法の疑いで刑事告発しており、今後捜査が進められる見込みです(後者については厳重注意にとどまったとのこと)。

いずれのケースも裁判の公正を害するおそれがあるものであり、さらに続くようなことがあれば裁判員制度の根幹が揺らいでしまいます。再発を阻止するため、早急に、具体的な策を打たなくてはなりません(裁判員裁判から除外する事件についての基準の見直しや、裁判員への接触禁止の周知徹底等)。

また、裁判員法の罰則には、裁判員等に対する請託罪(106条)、同威迫等罪(107条)という規定がありますが、これらは司法への信頼を維持するために不可欠なものですので厳格に適用される必要があります(東京地裁の件も、構成要件該当性の有無はどうだったのか、告発見送りの判断は正しかったのか、しっかりと検証すべきです)。

「事実認定」が外部からの圧力等によって左右されてはならないことは当然ですし、「量刑判断」も、被害の大きさや示談の有無、被害者の処罰感情、犯行の動機・方法、年齢、前科の有無、反省の程度等をしっかりと考慮して行われなくてはなりません(報復が怖いとか何となくかわいそうだとの理由で決めていいものではありません)。

これらを歪める行為である「裁判員への働きかけ」は裁判の公正を害する行為です。皆さんもいつか傍聴する機会や、裁判員になることがあるかもしれませんが、基本中の基本として知っておいて頂ければと思います。

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