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中露軍艦の接続水域侵入など

 石破 茂 です。

 私の時間の遣り繰りが下手なせいか、テレビや週刊誌を見たり読んだりする時間がほとんど無いのですが、週刊誌の見出しや早朝の番組を見る限り、世の中は舛添東京都知事の問題一色のように思われます。一時期、有力な次期総理・総裁候補としてもて囃されていたのがまるで嘘のようです。

 勿論私は擁護する立場にありませんし、都知事本人が認めているように、都民の信頼を失った責任も、都政の停滞を招いている責任も極めて重大です。

 私が幹事長時代に知事選で支持を訴えた責任を回避するつもりもありませんが、ふと新約聖書の中のイエスの言葉である「汝(なんじ)らの中、罪なき者まず石を擲(なげう)て」(ヨハネによる福音書第8章第7節。口語訳は「あなた方の中で罪のない者が、まずこの女に石をなげつけるがよい」)を思い出します。

 勿論、選挙によって選ばれる権力者・公人と一般私人が全く異なることもよくよく承知しておりますが、自分は政治家として(あくまで「自分は政治家として」であって一般市民の方や報道機関のことを申し上げているのでは全くありません)他人を批判出来るほど立派な者ではないと、己の至らなさを恥じるばかりです。

 九日のBSフジでの民進党・前原元外相との討論は、民進党保守系の方々の苦衷がありありと感じられて、何とも言いようのない気持ちで出演しておりました。

 よもやそのようなことは起こらないでしょうし、起らないように最大限努力も致しますが、将来万が一にでも「民・共勢力」が政権を獲るようなことにでもなれば、政策の調整は到底不可能となり国政が恐ろしい大混乱に陥ることは必定で、日本国にとって悪夢以外の何物でもありません。

 今回の参院選では、自民党から共産党に至るまで、すべての政党が消費税率引き上げ延期を唱えているため、有権者には他の選択肢が無くなってしまいました。

 野党自民党が民主党より先に「消費税率10%への引き上げ」を打ち出し、菅直人政権がそれに追随した六年前の参議院選挙とは全く対称的な構図になっており、野党当時自民党政調会長であった私としてはとても複雑な気分です。

 それでも「社会保障の充実に不足する分は赤字国債によって賄う」などという無責任極まりない主張を唱える民進党に比べれば、自民党・公明党の与党の主張の方が遥かに責任を自覚しているというべきでしょう。消費税率の引き上げなくして社会保障の充実を図ることが出来ればこんなに素晴らしいことはありませんが、道筋を示すことの困難性を痛感しています。

 消費税率引き上げまでの期間は、「あらゆる産業、就中サービス業の生産性をいかに引き上げ、国民の所得を向上させるか」「低欲望社会、将来に対する不安、耐久消費財の高寿命化の中、どのようにして労働者と下請け企業の負担で企業の維持を図ってきた構造から脱し、細分化されたニーズに適合する商品を開発し、付加価値を増して個人消費を拡大するか」「リスクに保険で対応する本来の社会保障の姿をいかに取り戻すか」という諸課題に答えを出す最後の機会と位置付けるべきなのだと思います。

 今度こそもう後が無い、との危機感が有権者の皆様に伝わるよう、心していかねばなりません。

 9日未明、ロシア艦に続き中国人民解放軍の軍艦が日本の接続水域に入ったことが、もう一度我が国の安全保障法制を考える機会になることを願います。

 内閣の一員として政府の立場を採ることは当然ですが、国家主権と警察権的対応との関係は党などにおいて再度突き詰めた議論があるべきではないかと考えます。

 接続水域は原則的に公海であって沿岸国による強制措置は出来ません。しかし仮に、公船たる軍艦が領海内に入った時、あくまで警察権の行使である海上警備行動でどこまで有効に対処できるのか。国連海洋法条約との整合も含めて精緻に詰めた議論が必要です。

 領空侵犯対処措置も同様ですが、侵害されている法益が国家主権であり、侵害している主体が主権国家である場合、警察権で対応することが適当なのか、未だに私にはすっきりと理解できておりません。

 そもそも日本の自衛隊の行動を律する自衛隊法自体、その前身である警察予備隊の警察法的法制を踏襲しているため、その書き方は「~をすることができる」というポジティブ・リスト形式になっており、してはならないことのみが書かれている諸外国のネガティブ・リスト形式とは大きく異なっています。

 国内の治安維持を目的として創設された警察予備隊においては当然のことだったでしょうが、国家の独立維持を目的として保安隊が創設された時、なぜこれを見直さなかったのか、いささか不可解です。

 恐らく日本国憲法第9条との整合性の議論を回避したかったがためではないかと推測されますが、これで本当に抑止力が発揮されるものなのかどうか。これもかねてよりずっと訴え続けていることなのですが、あまり世の中の関心を呼ばないのは私の理解が不十分なせいなのか、言い方が不味いせいなのか、これまた己を恥じるばかりです。

 週末は11日土曜日が「地方創生に挑む」と題する高知県知事・県議・市町村長・議長との懇談会で講演(午前8時30分・サンピアセリーズ・高知市内)、自由民主党街頭演説会(9時45分・おおとよ製材前・高知県長岡郡大豊町、10時30分・天下味駐車場・南国市大そね)、「地方創生湖東の集い」で講演(午後3時・滋賀県立大学・彦根市八坂町)。

 12日日曜日は参議院選挙鳥取県東部選挙区・比例区選挙対策会議(午後1時30分・白兎会館)、という日程です。

 一度帰京した後、13日月曜日は関芳弘衆議院議員の政経セミナーで講演の予定です(18時・クラウンプラザ神戸)。

 東京→大阪→高知→彦根→鳥取→東京→神戸、という移動距離の多い週末になります。なかなか効率的な日程は組みにくいものですね。

 関東地方も梅雨入りし、すっきりしない天候が続いた一週間でした。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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