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再送-インタビュー:世界的な低金利、エンダウメント型投資に勝機=UBSウェルス

[東京 10日 ロイター] - UBSウェルス・マネジメントのグローバルCIO(最高投資責任者)、マーク・ハフェル氏はロイターとのインタビューで、世界的な低金利・マイナス金利環境においては、プライベートエクイティ(非公開株、PE)などの流動性の低い資産への投資比率を高めた「エンダウメント(endowment、米国の大学財団)型」アプローチが有効との考えを示した。

また、金融政策の行方や政治イベントにからむ不確実性を背景に、投資家が強い確信を持って行動できない状況は当面続くという。ただ、ドル高の一服と原油市況の反発が追い風となり、米国企業の業績は年後半に改善するとの見通しを示したうえで、米国株式に強気スタンスであるとした。米国の金融政策については、連邦準備理事会(FRB)が年内に2回の利上げをする論拠があるとみている。

UBSウェルス・マネジメントは、スイスの金融大手UBSグループ<UBSG.S> <UBS.N>の富裕層向け資産運用部門。UBSウェルス・マネジメントとUBSウェルス・マネジメント・アメリカズの3月末の運用資産残高(AUM)は1兆9340億スイスフラン(約2兆ドル、約215兆円)。

同氏の来日インタビュー(8日実施)の概要は以下の通り。

──マイナス金利を含む超低金利環境が続き、投資家の利回り追求姿勢が鮮明だ。

「現在、世界各地を回って顧客とミーティングを行っているが、投資家が抱える懸念のレベルが非常に高いことに驚かされる。中銀の金融政策の行方や世界的な政治イベントなど懸念すべき事項はもちろんあるが、それにしても投資家の懸念が過度に強まっている印象だ」

──先週発表の5月米雇用統計は予想外に弱く、市場では早期の追加利上げ期待が後退した。

「われわれは、米国の利上げは年内に2回、おそらく9月と12月にあると予想している」

「FRBが利上げをしたがっているのは明らかだ。また、米国では賃金上昇圧力が高まっている。それは経済統計にも表れているが、世界のビリオネア(超富裕層セグメント)の約半数を顧客に抱える当行独自の顧客ネットワーク、すなわち経営者やオーナーである大勢の顧客からの情報でも、米国内の賃金上昇圧力の高まりを確認している」

──9月については、米大統領選に近過ぎるとの指摘もあるが。

「確かに政治的な動きだとみなされる可能性は多分にある。しかし過去を振り返れば、バーナンキ議長時代にはFRBが大統領選を控えた同様の時期に動いたことはあった」

「私は、FRBは忠実に『経済データ次第』であろうとするだろうとみる」

「大統領選に関しては、多くの顧客が結果をめぐる不透明感を理由に様子見をしているが、個人的には、投資家は米国大統領の権限を買いかぶり過ぎだと感じる。実際には、多くの手続きに議会の賛成が必要だ」

──具体的な投資戦略は。

「米国株を選好する。米企業の第1・四半期決算は前年同期比6%の減益となったが、その理由はドル高と原油安という2つの逆風だった。だが今その2つが解消しつつあり、逆風が追い風となることで2016年は3%増益になると予想している」

「バリュエーション的には確かに(過去最高値圏にある)米国株は割安とは言えないが、あくまでも過去平均並みの水準だ。世界にはよりパフォーマンスの良い株式市場もあるが、リスク調整後リターンで見ればわれわれは米国株を最も選好する」

「欧州の社債、特にハイイールド債(ジャンク債)に強気スタンスだ。企業業績と経済成長率が安定している上、ECB(欧州中央銀行)による需給面でのサポートもある。欧州企業の原油・エネルギー関連のエクスポージャーは米国企業と比べて非常に低いため、ボラタイルな原油価格の影響も受けにくく、デフォルト(債務不履行)リスクが低いこともポジティブ」

──世界的な低利回り環境、日本の投資家はどう対処すべきか。

「マイナス金利の世界で運用利回りが低下するなか、投資家はまず、リターンに対する期待を下げる必要がある。安全資産であるはずのキャッシュのリターンがゼロやマイナスという状況においては、株式で5%のリターンを得られれば十分、と考えるべきだ」

「自身のポートフォリオ上の制約がないのであれば、流動性のより低い資産へのエクスポージャー(配分)を高めることで、非流動性プレミアム(流動性が劣る分だけ上乗せされるリターン)を獲得できる」

「当行では今月から、イェールやハーバードといった米国の大学財団の投資アプローチをモデルに、プライベートエクイティやプライベートデット(融資)などのオルタナティブ(代替)資産への配分をかなり高めた『エンダウメント型ポートフォリオ』というソリューションの提供をスイスで始めた。アジア地域(香港とシンガポール)でも、年内のローンチを目指している」

*本文を一部修正しました。

(インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記)

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