記事

熊本地震で被災地支援説明会

復興過程で企業に求められる役割とは
日本財団、個別相談や特設サイト開設

熊本地震は発生から1カ月半経過していますが、ボランティアの数が減少傾向にあるなど、復興に向けてさまざまな問題が起きているのが実情です。こうした中、多くの民間企業から日本財団に対し、支援に関する問い合わせが増えています。このため、企業側が求める被災・復興状況や被災者のニーズに関する説明会が6月3日、東京・赤坂の日本財団ビル1階のイベントスペース「バウルーム」で開催されました。参加した企業の担当者約50人は、支援方法などについて熱心にメモをとっていました。

画像を見る

開会の挨拶をする日本財団の青柳光昌上席チームリーダー

説明会では、最初に熊本地震の緊急支援対策に取り組んでいる日本財団ソーシャルイノベーション推進チームの青柳上席チームリーダーが「企業のみなさんへの情報提供の場を作りましたので、これを参考に今後の支援の方法などを検討して頂きたい」と挨拶しました。画像を見る

被災地への支援を要請した小牧・熊本県地域振興課長

続いて被災地から駆けつけた小牧裕明・熊本県企画振興部地域振興課長(兼県央広域本部振興部長)が熊本地震の被害状況と県の対応について画面を使って説明しました。この中で、一連の地震で震度6弱以上の地震が7回も発生するという観測史上初めての事態が起きているうえ、余震が1500回以上も発生しているため、住宅の被害件数はさらに増加することが見込まれると述べました。また、熊本県だけでなく、九州全体に観光へのダメージが広がっていると指摘し、「熊本の元気を取り戻すため、ぜひご支援をいただきたい」と協力を求めました。

続いて、現地で支援活動に当たっている民間団体の代表が支援の実態と今後の動きについて説明しました。まず、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)準備会の栗田暢之代表が登壇し、NPO法人全体の動きに言及しました。なかでも減少が心配されるボランティアについて「これまでに7万人以上のボランティアが活動している。5月の連休がボランティアの現地入りの大きなきっかけになったが、次は学生が夏休みになるまで待たなければいけないとなると、ボランティア不足になりかねない」と、先行きに懸念を示しました。

また、NPO法人同士の協力関係が進み、現在代表約30人が毎晩「火の国会議」を開き、情報を交換していると語りました。栗田代表は今後の課題として、ガレキや災害廃棄物の処理が遅れ、収容能力を超えている問題を指摘し、企業の協力を求めました。

また、ピースボート災害ボランティアセンターの上島安裕事務局長は車中泊やテント生活を続けている人たちが多く、今後熱中症になる心配があるとして、避難所に移れるよう対策を立てるべきだと主張しました。さらに、「現地が必要としているのは人です」と述べ、長期的な支援を要請していました。

画像を見る

栗田代表=左=と上島事務局長

この後、現地を視察した企業の担当者2人がその結果をもとに報告しました。日本IBMの小川愛・社会貢献部長は「企業側が出せるのは、まず人だと思う。ガレキの撤去など、家屋のお手伝いをするため、体育会系の人たちをどれだけ出せるか探っています」と話しました。また、被災地の障害者や外国人、子どもなどのケアも重要だと指摘し、少しでも長く支援できる仕組みを作りたいと述べました。

 一方、フランスを本拠とする製薬企業・サノフィ株式会社の本山聡平コーディネーターは「熊本地震に関する報道量が減っている中で、どうやって人を送り出すか検討しています。避難所に残る人が夏場をどう過ごすのかが勝負だと思います」と話していました。 

画像を見る

小川IBM部長=左=と本山コーディネーター

説明会のまとめとして、青柳上席チームリーダーがこれからの復興プロセス、企業に期待される役割について講演しました。まず、日本財団が4月19日に発表した総額93億円に上る緊急支援対策を説明。このうち10億円をNPO、ボランティアへの活動支援に充てるが、すでに151団体に対し、計1億3900万円の支援金支給を決定したと明らかにしました。

青柳チームリーダーは、災害の復興段階を(1)緊急期(2)生活再建期(3)復興期の3つに分け、「現在は人命救助や衣食住の確保が必要な緊急期だが、仮設住宅に引っ越す準備が始まると生活再建期に移っていく」と述べました。青柳氏は「第二段階に移るにつれ、ガレキ撤去などのマンパワーから、コミュニティー支援などへニーズが移行する」と語り、避難者の心と身体のケアや、倒壊家屋の整備が重要になっていくと指摘しました。さらに、復興公営住宅に移る段階になると、復興期に入り、新たなコミュニティーの形成や、自立に向けた事業の再建が課題になるとの見通しを述べました。ただし、被災地域によって移行期が異なると説明し、状況に応じた支援が必要だと強調しました。

画像を見る

個別相談会で日本財団職員に事情を聞く企業担当者

また、3つの期間の長さについての質問に対し青柳氏は「仮設住宅は法律で2年間までと定められているが、東日本大震災からすでに5年たっているが、まだ仮設のところがある。生活再建期は少なくとも2年間は続くだろう」との見通しを述べました。

この後、バウルームで個別相談会が開かれ、企業の担当者が日本財団職員に企業の支援の具体的な方法などを尋ねていました。

あわせて読みたい

「熊本地震」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    昭恵氏だって…外出する人の心情

    田中龍作

  2. 2

    NT誌東京支局長の日本非難に苦言

    木走正水(きばしりまさみず)

  3. 3

    現金給付の所得制限が生むリスク

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  4. 4

    小池知事は検査数少なさ説明せよ

    大串博志

  5. 5

    知られざる「個人撮影AV」の実態

    文春オンライン

  6. 6

    自粛要請も休業判断は店任せの謎

    内藤忍

  7. 7

    緊急事態宣言は拍子抜けする内容

    青山まさゆき

  8. 8

    岩田医師 東京都は血清検査せよ

    岩田健太郎

  9. 9

    コロナ対策 国会は現場止めるな

    千正康裕

  10. 10

    韓国がコロナ詳報を公開する背景

    WEDGE Infinity

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。