- 2016年06月07日 13:22
スマホの次は音声認識の据え置き型ネット端末か
毎年、この時期恒例の”インターネットの女王”こと、Mary Meeker女史による長大な(今年もスライド213枚!)「Interenet Trend2016」が公表されました。
半日かけてざっと目を通しましたが、個人的に一番興味深かったのはVoice:音声認識の項目でした。iPhoneのSiriやGoogle Chromeの音声検索は私も使いますが、Meeker女史は、Amazonのマイク・スピーカー付き据え置き型ネット端末Echo(日本では未発売)の爆発的人気を捉えて、人とコンピューターの新たなインターフェースの登場であり、パラダイムシフトが起きる、と断じているのが刺激的でした。
音声認識の項目だけに22枚ものスライドを費やしていますが、その3枚目がこれ。人とコンピューターのインターフェスの変遷を1832年のパンチカードまで遡って説明します。(別タブで開いて拡大画面をご覧ください)
そしてその最新のものがSiriでありEchoだと。そういう時代に入ったのだというのです。
何故、今、Voiceなのか。Meeker女史の主張は「最も効率的に入力できるからだ」。利用者にとっての利便は①速い:キーボードで打ち込める単語は1分間に40だが、人間は150語も話せる②ハンズフリーだから他のことをしながらでもOK③以前の質問を元にコンテキストで理解できるーーとします。
また、Voiceの場合は、階層的なGUIではなく思いつきの質問で即、回答が得られるとし、これはかってのYahooディレクトリーとグーグルサーチとの違いのようなものだと説明し、さらに安く(180ドル程度)、場所をとらないのもメリットに上げます。(最近はさらに小型で廉価のTapやBotなども出ました)
そして、Voiceインターフェイスの基本である音声認識の正確性が95%から99%にまで上がったことが重要だとし、<99% is a game changer>と記しています。つまり相当うるさい環境でも使えるようになったのが重要だ、と。
一方で、人もだんだんVoiceに慣れてきた数字もあります。スマホユーザーでVoiceアシスタントを使う人は2013年には30%だったものが昨年は65%まで増えました。グーグルのVoice searchはスタートした2008年の35倍にまでになりました。数字で言うと、Siriは1年前の数字で、週10億もの質問を処理し、先月、アンドロイド・モバイルの検索の5件に1件がVoiceだったとか。
EchoをコントロールしているのはAlexaというソフトですが、アマゾンはこれを<skill kit>として外部に公開し、Echoに直結するサービスの開発を促しています。その数は前月で940種類。たとえば、配車サービスのUber、Dominoピザ、音楽配信のSpotifyなども参加していますので、利用するときは、「何時に車お願い」とか「ピザのLサイズ1枚」「ビートルズの曲をかけて」などと短く言うだけで、即、相手に伝わるそうです。パソコンを開いて、キーボードで入力したり、モバイルアプリでメニューを辿っていかなくていいのですから、確かに早くて楽です。
もちろん、小売の王者アマゾン自身にもメリットがあるでしょう。たとえば、洗剤を切らした消費者が「いつもの洗剤」と言えば購入履歴を参照して、ちゃんと注文できる便利さを武器にさらに顧客と売り上げ増につながるかもしれません。
Echoは2014年11月に売り出してから合計400万台売れたそうですが、今年の第1四半期だけで100万台と言いますから、急速に人気が高まっていると言えそうです。その一方で、iPhoneの売り上げは頭打ちで、Meeker女史は、2015年がピークだったかも、と見ているようです。それを示すグラフを二つ並べて、こう書いています。
Computer Industry Inflection Points(コンピュータ産業 変曲点)
もちろん、こうしたEchoの快進撃にAppleやGoogleが指をくわえて見てるわけがありません。
このNewsWeekの記事などによると、Appleは昨年のデベロッパーカンファレンスでアマゾンのskill kitに対抗するhome kitを公開しましたし、Googleも同様に先月のカンファレンスで追随し、年内にもGoogle Homeを発売するとのことです。
それを活用していかにマネタイズするかの熾烈な競争も始まることでしょう。
ポストスマホの有力製品・ビジネスに育つかもしれない分野にインターネット関連企業御三家が揃い踏みとなりそうですが、ここでもニッポンは出遅れでしょうか。



