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アパート空室率上昇 ~ 税制改正と異次元の金融緩和が生んだあだ花?

「アパートなど土地も相続税の対象なので節税のために、アパートを建てる人が急激に増えました。その結果アパートの建設ラッシュが起きて、需要を大きく上回る供給過多となり、空室率を上げているのです」(3日付WBS「アパート空き室率 急上昇のワケ」)
金融政策だけでなく、税制や会計制度の変更もお金の流れ(経済)に大きな影響を及ぼす。

相続税基礎控除の引き下げと、異次元の金融緩和がもたらすアパートの建設ラッシュによって、アパートの空室率が急上昇していることが報じられている。
「全国の高層マンションや商業施設の集積地を中心に99地点の4月1日時点の地価を調べた。1月1日と比べて89地点で地価が上昇した。横ばいは10地点、下落はゼロだった」(4日付日本経済新聞「地価、9割が上昇 下落地点なし」)
アパートの空室率が急上昇していることが報じられる一方、公示地価などの先行指標とされる地価動向報告では、堅調なオフィス需要や訪日外国人の増加に対応したホテル用地の取得などを背景に「主要都市の地価が緩やかな上昇を続けている」ことも報じられている。

基本的に地価はその土地が生み出すキャッシュフローに基づくもの。「全国の高層マンションや商業施設の集積地」の地価が上昇しているのは、4月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率が4.23%と低い水準で推移していることからも明らかなように、その土地が将来的にキャッシュフローを生み出す可能性が高いからである。

これに対して、相続対象となる土地は、キャッシュフローを生み出すところに存在しているという保証はない。キャッシュフローを生み出す可能性が高くない土地にアパートを建設し、その空室率が高くなるということは、所有する土地の将来価値を引き下げることにもなる。

土地が生み出す将来のキャッシュフローではなく、相続税を圧縮したいという所有者側の都合と、貸出を伸ばしたいという金融機関側の都合、請負件数を増やしたい業者側の意向の合致による経済合理性からかけ離れた投資は、収益を生まないだけでなく、将来の資産価値も引下げるものだという認識も必要だ。

金融は「今と将来の交換」である。そして「交換」が行われるための原則は「等価」である。

相続税基礎控除の引下げによって、金融機関や住宅会社は負債によるアパート建設を勧めることが多くなっているようだが、今節約できる相続税と、将来発生するであろうリスク(空室リスク、負債返済リスク等)とが本当に「等価」であるか、「金融の基本」に立ち返って考えないと、結果的に無駄な投資になりかねない。

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