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「公約違反」に「文句があるなら選挙で示せ」と安倍首相は居直った

 いよいよ「政治決戦」の始まりです。昨日、通常国会が幕を閉じ、日本の命運をかけた参院選に向けてのスタートが切られました。

 通常国会の閉幕に当たって安倍首相は記者会見を開き、解散・総選挙は実施しないこと、2017年4月に行うとしていた消費税の10%への引き上げを2019年10月まで先延ばしにすることを正式に表明しました。これで衆参同日選挙はなくなりました。
 参院選は「関ケ原の合戦」で、解散・総選挙は「大阪の陣」だ、熊本地震で大変な時に解散・総選挙はやるべきではないが、やれるものならやってみろ、両方いっぺんにやるのであれば手間が省ける、と言っていた私からすれば、「大阪の陣」は先に延びたことになります。
 総選挙になれば、参院1人区で実現した野党共闘が一挙に衆院小選挙区にも波及する可能性がありました。この野党共闘の勢いを加速させて衆参両院での与野党逆転を実現し、戦争法廃止のための新しい政府を樹立するという課題の達成にはしばらく時間がかかりそうです。

 これまで首相は消費税の引き上げについて「リーマン・ショックや大震災など、よほどのことがない限り確実に実施する」と言っていました。しかし、記者会見では「リーマン・ショック級の事態は発生していないのが事実だ。熊本地震を大震災級だとして再延期の理由にするつもりもない」と述べています。
 先進国首脳会議で「リーマン・ショック前のような経済危機」という認識で一致できず、政府見解とは異なる資料を配布するなどの姑息な工作を行い、それが暴露されてサミットの政治利用ではないかとの批判が高まったため、リーマン・ショックを消費税先送りの口実として使うことができなくなりました。その代わりに持ち出してきたのが、「新たな判断」です。
 首相は現状の景気認識について、「新興国や途上国が落ち込み、世界経済は大きなリスクに直面している」「熊本地震など新たな下振れリスクもあり、再びデフレの長いトンネルに逆戻りするリスクがある」「直面する危機はリーマン・ショックのような金融危機とは異なる。世界経済の将来は悲観していないが、リスクには備える必要がある」と「リスク」を強調し、サミットでの合意も踏まえ、あらゆる政策を総動員するという考えを示しました。消費増税の先送りはこのような「新たな判断」に基づくもので、「公約違反との批判も真摯に受け止めている」としつつ、6月22日公示、7月10日投開票の参院選を通して「国民の信を問いたい。与党で改選議席の過半数の獲得を目指したい」と表明しています。

 アベノミクスは上手くいっているが、経済の先行きには「リスク」がある、それを避けるために消費増税を先送りするというわけです。この「新たな判断」は「公約違反」になるが、それに文句があるなら参院選で示してほしいと、安倍首相は居直ったことになります。
 こうして「ボール」は有権者の方に投げられました。それをどう打ち返すかが私たちに問われています。
 安倍首相が居直って叩き付けた挑戦状を、堂々と受けて立たなければなりません。「国民の信を問いたい」というのであれば、そのような「信」はなく、とっとと退場するべきだという国民の意思を選挙結果としてはっきりと示そうではありませんか。

 安倍首相は参院選での獲得目標として「与党で改選議席の過半数」を掲げました。これは参院総議席の過半数という目標よりも高いハードルになります。
 このハードルをクリアできなければ責任を取って首相の座から去るというのが、「信を問う」ということの意味にほかなりません。9年前の参院選で安倍首相は手痛い敗北を喫して2か月後に健康問題を理由に辞任し、その9年前の1998年の参院選でも自民党敗北・橋本龍太郎首相退陣、さらに9年前の1989年の参院選でも自民党は結党以来の最低議席となって宇野宗佑首相が政権を退いています。
 この自民党大敗・首相退陣という「9年目のジンクス」を、今度の参院選でも再現させなければなりません。戦争法廃止を求める粘り強い闘いの継続、「野党は共闘」という声に押されての全1人区での共闘の実現、安倍首相の驕りと独善的で独裁的な政権運営に対する強い批判、自民党議員・閣僚の不祥事や「政治とカネ」の問題の噴出、アベノミクスの失敗と政策の行き詰まりなど、その可能性は十分にあります。

 安倍首相の政治責任を問い、その退陣を実現できるかどうかが問われています。戦争法廃止と改憲阻止のために「アベ政治を許さない」という国民の意思をキッパリと表明する機会として参院選を有効に活用したいものです。

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