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ルールは破るためにある?実体のないルールを決めると自分たちの首を絞めることになるのではないか? - 岡崎よしひろ (中小企業診断士)

就職活動。就活生さんにとっても、企業側にとっても大きなイベントであるためか、毎年この時期になると話題になる言葉です。

昨年は学生さんが学業を優先することができるようにと、就活の時期が後ろ倒しになったことが大きな話題になったのですが、ルール変更が定着しなかったためか混乱を招いたようでした。

それを踏まえて今年は広報活動開始を3月1日以降、選考開始を6月1日以降に設定したとのことですが、ちょっとびっくりするような報道がありました。

来年3月卒業予定の大学生・大学院生の就職活動は、企業の面接・選考が6月1日に解禁される。経団連の採用指針では解禁日が昨年の8月1日から2カ月早くなった。日程変更は2年連続。解禁日が前年までの4月1日から4カ月遅くなった昨年は人材争奪戦が激化し、内定を出す代わりに他社への就活を終わらせるよう強要する「オワハラ」が問題となったが、今年は沈静化しているという。ただ内定を前倒しで出す企業はむしろ増えており、選考解禁前夜には半分の学生が事実上の内定を得ているとの見方もある。 2016年5月29日 産経新聞


この報道の通りだと、内定が既に前倒しで出されていて、その数はおおよそ半分になるとのことです。

■そもそもどういった指針が出ているの?

さて、報道内容を多少割り引いて考えたとしても、私のような就活とは無縁の人間には、ルール違反が横行していると感じられるような状況になっています。

でも、ルールといいますが、実際にどのようなルールがあるのでしょうか?そもそも経団連の採用指針とはどのようなことが書いてあるのでしょうか?

現行の経団連の採用指針は2015年12月7日に改定されたものです。その内容は、公平・公正な採用の徹底など当然の内容を改めて示したものになっています。

そして、問題の採用選考活動の開始時期についても同指針で謳っていて、広報活動は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、選考活動は卒業・修了年度の6月1日以降にそれぞれ開始すること。また、その開始時期よりも早期に行うことは厳に慎むことと明記されています。

つまり、本報道があった5月末時点ではまだ経団連に加盟している企業では採用活動が行われていないはずなのです。

■抜け駆けしたら得をする?

しかし、報道によるとすでに半数の学生が何らかの形で内定を得ているといわれています。

この経団連の採用指針は経団連に加盟していない企業は原則としてこの指針には拘束されません。そのため、経団連に加盟していない企業がどんどん内定を出していて、既に半数が内定という数値が出ているのでしょうか?そして、これから経団連に加盟している企業は採用活動を開始するのでしょうか?

確かに、我が国の企業の99.7%は中小企業であるため、中小企業や経団連に加入していない外資系企業が先に採用活動を進めていれば5割程度の内定率は出るかもしれません。

しかし、大企業で働く人は働く人全体の31%になるなど、大企業で働く人の数は極めて多いのが実際のところです。

そのため、現時点で半数の学生が何らかの形で内定を受けているのならば、経団連に加盟しているような大企業でも一定数の抜け駆けがあると考えられるのです。

■守れないルールならば決めないほうがいいのでは

さて、定義上この就活のルールを守らない主体は経団連に加盟している企業しかありえません。

なぜならば、このルール自体は経団連の指針であるため、経団連に加入していない中小企業やその他の企業はこのルールに従う必要はないからです。また、就活生さんも当然このルールには拘束されません。

そのため、就活生さんは抜け駆けをして就職活動をしているなどといった罪悪感を持つ必要はないと考えられます。

また、経団連に加盟していない中小企業や外資系企業などから内定をもらっている場合も、何ら後ろめたいことはありません。

しかし、経団連に加盟している企業からすでに内定や内々定をもらっているのならば注意が必要です。というのは、あなたに内定を出した企業はルール違反を犯しているからです。

言い換えれば、この時期に経団連に加盟している企業から内定が出ている方は、そのようなルール違反を組織として容認した企業から内定をもらっていることになります。

もちろん人材の確保は極めて重要な活動であるため、企業側も綺麗ごとだけではないのでしょう。しかし、今はコンプライアンス違反が致命傷を招きかねない時代です。そして、指針にすぎないといってもルール違反を犯すことを、組織として決定したという事実が、将来のリスクにつながるのかどうかは個人の責任において判断する必要があるのです。


【参考記事】
■子育て世代、事業者といった社会を支える人を狙い撃つ軽減税率に大義はあるのか(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://okazakikeiei.com/2016/04/24/keigen/
■キングジムの型破り開発術を中小企業が単純にマネしてはいけない理由(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/44623331-20150507.html
■もう起業貧乏にはならない!専門家のアドバイスを『タダ』で利用し起業する方法(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/42751168-20150106.html
■自動運転技術が確立されたとき、中小企業にとってチャンスが訪れます(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/48236024-20160331.html
■当事者が誰も得をしないオワハラ行為を今すぐ止めるべき理由(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://okazakikeiei.com/2016/05/30/owa/

岡崎よしひろ 中小企業診断士

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