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オバマ大統領の広島訪問:今後の本気度が重要

今回のオバマ大統領の広島・平和記念公園訪問やその際の演説(※英語の原文はこちら)は、様々な点で大変意義深いものだと思います。これまで訪れることがなかった現職のアメリカ大統領が初めて訪問したのですから、それだけでも歴史的な1ページを刻んだことは間違いないと思います。

 また、わずか10分間とはいえ原爆資料館を訪れたこと、そして、被爆者の方と広島で直接会って話をしたということも、オバマ大統領自身に原爆の悲惨さを少なからず印象付けることにつながったことと思います(※オバマ大統領は核兵器保有国の最高責任者であり、オバマ大統領の広島訪問の際にも、いつでも核攻撃の指令を出せるように「核のフットボール」と呼ばれる黒い鞄を持った軍人が同行しています)。私も学生時代に3度、平和記念式典に参加し資料館にも伺いましたが、やはり、現地で見て聞くことで、原爆の悲惨さを何倍も強く感じた記憶があります。

 ただ、今回広島訪問が実現したのには、様々な環境、条件が重なったことが大きいことも忘れてはいけません。例えば、

2009年にプラハで核廃絶に向けた決意を表明し、ノーベル平和賞を受賞したにもかかわらずこれまでのところ核兵器廃絶においては大きな成果を上げることができなかったことから、そのことに関して自責の念がオバマ大統領自身に恐らくあったこと

残りわずかな任期の中でオバマ大統領としては何らかの歴史的な功績を出来る限り残したいと考え、一方、訪問慎重派にとっては、任期わずかの大統領が訪問したとしても今後の核政策や歴史認識においての影響はさほど大きくないと恐らく考えたこと

広島訪問は、日本の核武装も認めるかのような発言をしている共和党のトランプ候補への牽制になること

サミットが今年日本で開催されたこと

岸田外務大臣が広島市選出の国会議員であり、岸田大臣自らが安倍総理や米国側に積極的に働きかけたこと

参院選を間近に控え、安保法制反対派・慎重派そして国内世論に対して平和にもしっかり取り組むというメッセージを送ることが出来る(そして、支持率を上げることが出来る)と安倍総理が恐らく考えたこと

等々です。

 つまり、核軍縮・廃絶に向けた具体的な道筋について述べたわけではないことからも明らかなように、歴史的な意義は小さくないとは言え、今回の訪問は、核軍縮・廃絶を更に進める為に実現させたというよりは、残り任期わずかのオバマ大統領と、参院選を間近に控えた安倍総理双方の政治的な思惑が一致した結果と言えるのではないでしょうか。

 ですから、肝心なのは、今後、オバマ氏が残りの任期中だけでなく辞任後に、そして日米政府が、どれだけ本気に核軍縮に取り組むかです。当然ながら、我々国民も声を挙げていかなければいけません。その意味でも今夏の参院選(もしくは衆参W選)は大変重要です。

 お読み下さり、ありがとうございます。

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