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コンピュータ相手に、羽生善治さんの指が震える時

これまで、人工知能との対決を避けてこられた羽生善治さんが、ついに、コンピュータ将棋と対決されるかもしれない。いよいよ、決戦の時が近づいてきたなと、強い興味を持つ。

羽生さんとは、コンピュータと打つ将棋について、いろいろお話した。印象にの残っているのは、羽生さんは、コンピュータと打つのは比較的お嫌いで、なぜかと言えば、相手の「人格」がヘンだからと言うのである。

一方で、現代の将棋が、すでにコンピュータを駆使した情報戦になっているともおっしゃった。ある手筋をめぐる戦略の枝分かれが、いわば「データベース」となっていて、それを知らないことには、そもそもスタートに立てない、という状況だというのである。

データベース化されているところは、(もしそれを十分に研究し、覚えるのならば)誰でも行けて、その先が渋滞している、というのが羽生善治さんのいわゆる「高速道路」論で、その先の紙一重が、勝負を分ける状況になっているのだという。

先日のイ・セドルさんとAlphaGoの対決では、第2局の37手目のような、従来の常識をくつがえすような人工知能側の手が話題になったが、もともと、羽生善治さんは固定観念にこだわらない、柔軟な指し手で知られる。

コンピュータ、人工知能というものの特性、そして現代将棋における意味を理解尽くしていらっしゃる羽生善治さんと、コンピュータ将棋との対決は、たいへん興味深く、今回の電王戦から目が離せない。

ところで、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で羽生善治さんをインタビューしたとき、強烈な印象に残ったのが、羽生善治さんの感情力だった。羽生さんは、緊迫した局面で勝利を確信すると、駒を指す手が、震えるのである。

羽生さんと対局していて、駒を指す羽生さんの手が震えると、相手は、「ああ、負けたな」と悟る。そう言ってもいいくらい、羽生さんの感情は烈しい。そして、その激しさは、羽生善治さんという人の強さの、大いなる秘密だと思う。

羽生さんが電王戦でコンピュータとの対局に至るか、また、その相手のプログラムが何になるかはまだわからないが、羽生さんが、コンピュータ相手に、「しとめた」と勝利を確信して指が震える、その瞬間を見ることを楽しみにしている。

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