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政府各会議の諸プラン、期待度は 〜出生率向上へ思い切った政策を〜

 実にさまざまな会議、具体的には「産業競争力会議」「経済財政諮問会議」「規制改革会議」「1億総活躍国民会議」などが政府に乱立し、かつて政府内にいた私から見ても、相互の関係がよく分からなくなっている。

 各会議が計画案などを先週発表。今月末には、政権の今後、日本の今後を考える上で、非常に重要な諸プランが閣議決定される。「ニッポン1億総活躍プラン」「新たな成長戦略」「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などだ。同タイミングで、先進7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催されるが、改革の本気度が問われる重要な時期であるのは間違いない。

 しかし、読者諸賢は既にお感じの通り、決定前から勝負ありというか、正直、これらプランへの期待度はさほど高くない。少なくとも、颯爽(さっそう)とアベノミクスが登場したときの国民的な高揚感は、まるで感じられない。

 結局、注目されるのは、アベノミクス3本目の矢の「成長戦略」ではなく、既に息切れしつつある1本目や2本目の矢、すなわち、6月の日銀の金融政策決定会合以降の新たな金融緩和の有無や、何より、消費税増税がまた先送りになるか否かなど、短期的なカンフル剤ばかりだ。

 裏返して言えば、アベノミクス「新三本の矢」として唱えられた、国内総生産(GDP)600兆円を目指す「成長戦略」や、鳴り物入りで登場した「1億総活躍」(働き方改革を通じた合計特殊出生率1.8や介護離職ゼロの実現)について、さほど経済社会変革へのインパクトのある案はないと思われているということだ。

このことは、政権中枢や官僚たちが何もやっていないことを意味しない。むしろ、毎年繰り返される「再生戦略」とか「再興戦略」などの“成長戦略狂騒曲”の中で、ネーミングのセンスはともかく、サービス産業の生産性や働き方改革に注目して「1億総活躍」をひねり出すなど、何とか新味を出して期待をつなげようと、相当頑張っている。涙ぐましい努力に頭が下がる。

 しかし、経済産業省が4月末に中間整理を発表した今後の成長戦略の下敷きとなる「新産業構造ビジョン」を見ても「第4次産業革命」をリードする戦略的取り組みとしてIoTやビッグデータ、ロボット、AIなどの動向をよく調べて整理してはいるが、このプランで日本の着実な経済成長が担保されるとも思えない。

 1億総活躍の目玉である少子化対策についても、「保育園落ちた日本死ね」論議などが契機となった保育士の賃金改善などが話題になっているが、これで出生率が劇的に向上するとは思えない。「ニッポン1億総活躍プラン」では「結婚奨励策」→「出産奨励策」→「子育て環境充実策」→「婚外子やシングルマザー支援策」など、切れ目のない形で、優等生的な出生率向上策がずらっと並んだ。

 だが、本気で少子化を食い止めるためには、過去の諸施策とは非連続的な思い切った策が必要ではないか。

 例えば出産祝い金を第何子かに応じて1人当たり100万~300万円配るとか、妊娠・出産・子育て費用を限りなく、ただに近くするとか…。ここは、かつてない思い切りの良い政策を打たねば効果は小さいと思う。財源には、永久に償還しない代わりに固定金利で利子を払い続けることで後年度負担を明確にできる「コンソル債」の発行や、金融資産のうち現預金に限った資産課税(例えば1%でも単純計算で8兆~9兆円の財源ができる)なども視野に入れてはどうか。

 また、おざなりの政府広報ではなく、数千万円をかけての本格的なPR動画で、子を持つ喜びを訴えるのも検討に値するだろう。映画監督を活用した民間企業のキャンペーン動画が世界的にかなりの視聴数を得ている実例もある。

 より根源的には、移民や、結婚を前提としない出産(事実婚の扱いなど)をどうするかなど、妾(めかけ)の廃止などの歴史的経緯も踏まえた検討が必要になる。だが、それらはさすがに、国会議員の構成を見るに、まだ現実的ではないだろう。従って、ある程度の非連続性とともに、ある程度の現実味を兼ね備えた大胆な改革案が、今こそ必要だと思う。

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