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覚せい剤密輸、日本南方の海上が何やら騒がしい

沖縄の那覇港に停泊していた外国籍のヨットから、約600キロという大量の覚せい剤が見つかり、台湾人の乗組員が逮捕されました。このヨットは、台湾から石垣島を経由して那覇港に入港、その後は鹿児島に向かう予定だったといいます。

<ニュースから>*****
●ヨットに覚醒剤600キロ 県内最大、末端420億円
第11管区海上保安本部と沖縄地区税関が、那覇市通堂町の那覇港那覇ふ頭に停泊中のマレーシア船籍のヨットから、覚醒剤約600キロを押収していたことが18日までに分かった。末端価格約420億円に相当する。捜査関係者によると一度に600キロの覚醒剤が摘発されるのは県内で過去最大とみられる。11管などは県内外で覚醒剤を販売しようとしていた可能性もあるとみて捜査している。
ヨットの台湾人乗組員6人は11日、麻薬ケタミンを共同所持していたとして麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されていた。11管は覚醒剤の鑑定などを終え次第、覚せい剤取締法違反(営利目的所持)の疑いで再逮捕する方針(以下省略)。
2016年5月19日 10:09琉球新報
*****

今年2月には、鹿児島県の徳之島に、約100キロの覚せい剤が陸揚げされた事件が摘発されました。密輸グループは、複数の漁船を使って、東シナ海の公海上で外国から来た船と落合い、覚せい剤約100キロを受け取り、国内に輸入したとみられています。

近年はすっかり影をひそめていた、東シナ海を舞台にした、海上ルートでの大型覚せい剤密輸が、このところ動き始めているような気配です。密輸用に船舶を動かし、運搬人員を雇い、1回で数百キロの覚せい剤を運ぶという手口からして、このように組織的な大規模密輸を取り仕切るのは、香港系の密輸グループなどの組織でしょうか。
でも、こうした大型密輸では、日本側で覚せい剤を受け取り、運搬し、買受人の手に届ける人物やグループがいるはずです。上記の徳之島に約100キロが陸揚げされた事件では、神戸山口組系の暴力団幹部らが逮捕されています。今回の事件では、運搬グループが日本側の荷受役と接触する前に、船内の捜索で覚せい剤が発見されているので、捜査は手間取るかもしれませんが、荷受役をあぶりだす努力が続けられていることでしょう。

1990年代末から2000年代初頭にかけて、日本の港や周辺海域で、大型覚せい剤密輸の摘発が相次いだことがありました。この時期にもっぱら世間の耳目を集めていたのは、北朝鮮からの組織的な大量密輸事案の数々ですが、実はその陰で、中国系密輸グループが主導する、海上ルートによる日本への覚せい剤密輸も連綿と続いていたのです。

たとえば、2008年に北九州市の門司港に入港したシエラレオネ船籍の貨物船によって、約300キロの覚せい剤が密輸された事件の場合は、香港系の密輸組織による、大規模な密輸計画だったといいます。密輸組織の幹部は、国籍不明の外国人とシンガポール人、インドネシア人などで、 配下に東南アジアでの密造役、日本への運搬役、受け取り役などがいました。
逮捕されたインドネシア人の乗組員12人は、密輸船の乗組員として中国の密輸組織に雇われていました。密輸に使われたUNIVERSAL号は、西アフリカのシエラレオネ船籍の貨物船ですが、船主は香港の会社だといいます。
密輸のために雇われた船員たちは、リン鉱石を積み込んだ貨物船に乗り込んで、中国南部の港を出港。船員らは、密輸組織の指示役の指示を受けながら、香港沖の海上で別の船と落ち合って覚せい剤を受け取り、貨物船を日本まで航行させて、覚せい剤を運搬しました。

この組織は、同様の手口で日本への覚せい剤密輸を繰り返していたとみられています。日本側で覚せい剤を受け取り運送する実行責任者として逮捕された男性は、①2007年苅田港に陸揚げした覚せい剤約500キロの輸入、②2008年門司港に陸揚げした覚せい剤約298キロの輸入について有罪とされ、無期懲役及び罰金800万円を言い渡されました(福岡地方裁判所平成22年5月18日判決、覚せい剤取締法違反等被告事件)。

東シナ海を舞台にした大型覚せい剤密輸事件が、すっかり鳴りを潜めて10年近くたった今、この海域で何やら不穏な動きが目につき始めました。そういえば、最近の日本では、国内にかなり大量の覚せい剤が流通している模様で、末端での密売価格も、かつての大量供給時代に近づいています。
大量密輸の復活に、警戒しなければなりません。

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