欧州ですが、どうやら、解決の糸口が見えてきたようです。
これは、どういうことかといいますと、ギリシャ国債の保有者に借款債を買わせるのです。
といっても、良く分かりませんよね。
出来るだけ簡単に説明します。
ギリシャが自ら債務再編を行えば、これは、デフォルトになります。
もちろん、ECBやEUのような公的機関が強制力を持って、債務再編を行っても同じことです。
しかし、債券保有者が自らの意思で、債務の延長に応じたり、元本を減免したりすれば、これは、デフォルトと認定されません。
なぜか。
身近な例で考えればすぐ分かります。
銀行が(このブログに何回か登場してもらっている)酒好きの友人にお金を貸しているとします。
その友人は、酒ばかりにお金を使って、お金が貯まりません。
そうこうしているうちに銀行にお金を返す日がやってきました。
友人が、「申し訳ないけど、返せません」と銀行に言ったら、デフォルトです。
さらに、裁判所などの公的機関が、友人を破産宣告しても、デフォルトです。
しかし、銀行が、「じゃあ、もう1年待ちましょう」とか「じゃ、半分だけでも今後返してくださいね」と言えば、これはデフォルトではありません。
上記例で言えば、ギリシャは酒飲みの友人となります。
つまり、銀行などのギリシャ国債保有者が、何の圧力も強制も受けずに、自発的に、債務再編を行うことが、デフォルトと認定されない唯一の方法です。
今、この「ウィーン・イニシアティブ」という方法が現実味を帯びてきています。
この手法は2009年ハンガリーでも採用されています。
一方、そんなことしたら、多くの銀行は、大損するのではという危惧もありますが、ほとんどの銀行は、多分、何の問題もなく、逆にヘアカットによっては歓迎されるかもしれません。
というのは、ギリシャ国債を保有している銀行などは、ギリシャ国債の帳簿上の値段(簿価)を55とか50に変えているはずです。
従来は100だと思いますが、時価にあわせるように、決算期ごとに、帳簿上の値段(簿価)を下げていたはずです。つまり、損失を計上していたはずです。
仮に帳簿上の値段(簿価)が50であれば、ヘアカットが40%ですと、債券価格は60になりますから、ギリシャ国債で、10の利益が出ることになります。
しかも、既存のギリシャ国債はなくなり、新しい借款債に変わりますから、不良債権処理も終了となります。
この借款債は、過去のブレディ債と同様、ユーロ債かドイツ国債などの担保が付くと思われます。
こういうことで、貸し手の銀行も(自主的に)受け入れやすいので、このウィーン・イニシアティブは、解決策として、有力な候補となっています。
もちろん、ギリシャは、貸し手の銀行から厳しいリストラ策を言い渡されるはずです。
追い貸しをしているよりは、数倍、いい方法であることは間違いないと思います。
不良債権は、さっさと損出しすることが重要であるということは、日本人が一番よく知っていると思います。
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- 2011年05月27日 23:35