- 2016年05月19日 07:30
「育児・家事・介護」、3つのことを社会にシェアすれば、もっと豊かになれる──カラーズ経沢香保子×サイボウズ青野 慶久
3/3出産・育児を経験したことがない人がママの気持ちを理解できなくても、それはそれで良い
画像を見る「ベビーシッターは本当に日本に根付くのか」とよく聞かれますが、私たちはしつこく根付かせます! 母親にとって心理的なハードルが高いという意見もある今がチャンスだと思っています。
画像を見るなぜチャンスだと思うのですか?
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困っている人が多くいるからです。例えば、保育園とベビーシッターを比較したとき、保育園だと深夜預けることができない、担当の保育士を選べないなど、制限がありますよね。もちろん素晴らしい側面も多いです。
ベビーシッターは一人一人のオーダーに合わせることができて、シッターさんも選べるので、経済的にも合理的にも、使い方によっては、ベビーシッターのメリットもあると思うんですね。だからお互いのメリットを活かし合いたいです。
なるほど。
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ただ、さまざまな理由でベビーシッターの利用が遠ざけられています。
一番大きいのは、「そもそもベビーシッター自体を知らないこと」。「周りに使っている人がまだいないこと」や「不安感」といった3つの理由が主に挙げられます。
確かにベビーシッターの認知度は、日本ではまだまだ低そうですよね。
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ひとつずつ課題を解決していくしかありません。とにかく今は信用の積み上げの時期です。だから、何よりも安心感を大切にしています。
お客さまから電話があったらすぐに対応して、信頼を第一に考える。良いシッターを採用してきちんと教育し、信頼関係を築くということをやっています。
まずは安心感を植え付けようということですね。
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30代などはい。年齢層が若いお母さんほど、ベビーシッターに抵抗がない傾向があります。一度使って便利だと思った方はまた使うというリピーターが多いところに、私は希望を感じています。
現在、利用者の8割の方がリピートしてくださっていて、一回使うと便利で使わずにはいられない、と繰り返し使ってくださるんです。文化にしていくにはまだ時間がかかりますし、根付くには10年ビジョンが必要かと思っています。
「育児・家事・介護」という今まで女性に多くの負担がかかってきたけれど、本来はシェアしたい3つのことを気軽に頼める世の中にしていきたいんです。女性がこの3つの部分をどうするか、選択肢を持つことでもっと自由になれるかなと思っています。
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文化の入れ替えはしていかなきゃいけない。例えば、「今期の売り上げ目標を達成しなければいけませんが、子どもが熱を出してしまいました。さて、どっちを優先しますか?」となったとき、僕は自分の社内のグループウェアに「商売より育児が大事です」と書くんです。
なぜかというと、育児をできる余裕のある人たちが増えると、多くの人が育児に専念できる。その子どもたちが大人になったとき、僕たちのサービスを買ってくれて、次の市場を作ることにつながるので。社会のインフラとして育児をしないと、将来のお客さんがいなくなって、そもそも商売できないんだから。
それは共感してくれる社員もいるし、「そんなキレイごとを言って……」と思う社員もいると思うけど、繰り返し言っていると、徐々に「なるほど」と思う人は増えていく。
うちの会社にもイクメン社員も一人います。 出産や育児を経験していない人も、経験がある人もお互いが理解し合えれば、会社の運営もうまくいきそうですよね。
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そうですね。でも、出産や育児を経験したことがない人も理解しなさいと強制するのは良くないし、全員が理解するのは無理だと思っています。
多様性を広めれば広めるほど、じゃあ自分はどのパターンの人を理解できるのかって考えると、膨大ですよね。
会社がグローバルになってベトナムで働く人の気持ちが分かるかとなったら、よく分からないわけで。それはそれで良くて、少なくとも、いろんな人がいていい組織にしようね、というのは共感しておこうと。
サイボウズさんがすばらしいのは、それでもちゃんと結果にコミットしようねというところですよね。
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いろんな人がいた方が楽しくていいよね、おもしろいよね、と。
社会的意義を持っている会社は、社員に給料以上のものを与えている
画像を見る会社で社員が働き続ける理由に、「経済的な基盤が欲しい」という理由もあると思いますが、「成長したい、社会に貢献したい」といったものの比重が大きいなと思っていて。
そのためには、一人では実現することはできないので、チームが重要になりますよね。昔はもっと、個人プレーに重きを置く時代もあったと思うのですが、今はチームの重要性を多くの人が認識しています。
そうですね。
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特にうちのように社会性を持つ会社は、社員のモチベーションも比較的高い気がします。会社がモチベーションをコントロールしなくてもすみますよね。社会に何かを残したい、人に役に立ちたいという目的があるので、自分の人間的成長も自ずと感じられるのだと思います。
画像を見る新しい文化を作って根付かせるカラーズさんのような社会的意義を持っている会社は、社員に給料以上のものを与えていると思うんですよね。
大企業で働いていても、社会的意義がいまいち感じられない人はいます。その人たちは感動をするためにわざわざお金を出して、社会貢献している人の映画を見に行ったりするんです。
自分が人間的に成長でき、社会に貢献できる会社で働いていれば、わざわざ映画を見に行かなくても毎日感動できるし、楽しく過ごせるんですよね。そういう意味でも社会的意義のある会社は存在価値が高いです。
ありがとうございます。これからも頑張ります!
完
文:姫野ケイ/写真:谷川真紀子/編集:小原弓佳


