- 2016年05月18日 08:34
ヒット番組の方程式、鍵握るのはテスト視聴者
テレビ作家のジェラルド・クエスタ氏は、あるグラフを信じられない思いで見つめていた。そのグラフに描かれた線は下降し続けていたのだ。
クエスタ氏が見守っていたのは、2014-2015年シーズンにNBCでの放送枠を獲得しようとしていたドラマ番組「バビロン・フィールズ」のテスト視聴者の反応だ。
生き返った死人についての一風変わった同ドラマは、フォーカスグループでの当初の反応はまずまずだった。ところが、人食いのシーンになると、その評価は「地下室にまで落ち込んだ」とクエスタ氏は振り返る。「その瞬間、その作品が放送されることはないとわかった」
予感は的中した。NBCエンターテイメントのジェニファー・ソルク社長が「バビロン・フィールズ」のファンであったにもかかわらず、そのドラマが生き返ることはなかった。
クエスタ氏はテスト視聴者たちを恨んではいない。「単純にプロセスの一環だと考えている。テレビ番組を制作すると、大抵の場合、これを通過することになるのだから」と語る。
来シーズンのゴールデンタイムの編成を決めるために各テレビ局が慌ただしくなった過去1カ月間、多くのテレビ作家やプロデューサーらがクエスタ氏と同じ苦しみを知るところとなった。各テレビ局は今週、ニューヨークで開かれる派手なプレゼンテーションやパーティーでそのラインナップを広告主たちにお披露目することになっている。
すでに放送枠を獲得した番組には映画「リーサル・ウェポン」のテレビ版(フォックス)、クリスティン・ベルとテッド・ダンソンが共演するコメディー「ザ・グッド・プレイス」(NBC)、キーファー・サザーランドがワシントンへの攻撃後に大統領に就任させられる閣僚を演じるドラマ「デジグネイティッド・サバイバー」(ABC)などがある。
パイロット版として知られる新番組のテストは、放送される番組と制作中止となる番組を決める過程で非常に重要な役割を担っている。断片化された視聴者層、デジタルメディアとの競争などに苦しむこの業界では、新たなヒット番組創出へのプレッシャーが高まっている。
半世紀以上にわたりテレビ・映画業界で「判事と陪審員」の役目を果たしてきた会社がスクリーン・エンジン/ASIだ。同社は年間250本ものパイロット番組をテストしている。同社のテストで評価が高かった番組にはNBCの「ER緊急救命室」、ABCの「モダン・ファミリー」、FXの「アメリカン・ホラー・ストーリー」などがある。
典型的なパイロット版テストでは、男女半々の50人ほどがで試写室に集められる。視聴者は年齢、性別、人種、テレビ局の中心的視聴者層などに基づいて選ばれている。スクリーン・エンジン/ASIのケビン・ゲーツ最高経営責任者(CEO)は「テストは毎回、結婚式を開くようなものだ」と話す。
テストに参加する視聴者は作品を見ながら携帯機器で評価する。その携帯機器には視聴者が見ているシーンが好きか嫌いかで左右に動かすつまみが付いている。
その一方で、いくつかの新たなメディア企業は、こうした従来のやり方の欠点とされている部分を改善しようとしている。
米アマゾン・ドット・コムは同社のストリーミングサービスに新しい番組のパイロット版を流しており、膨大な数のユーザー評価を見てから本格的に放送するかどうかを決めている。米ケーブルテレビ(CATV)最大手のコムキャストが出資しているバズフィードやボックスも、テレビ番組になるかもしれない作品を見極める試験場として、オンライン動画の利用に可能性を見出している。
By JOE FLINT
- ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
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