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【読書感想】キリスト教と戦争

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リンク先を見る キリスト教と戦争 (中公新書)

内容(「BOOK」データベースより)

世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか?殺人や暴力は禁止されているのではなかったか?本書では、聖書の記述や、アウグスティヌス、ルターなど著名な神学者たちの言葉を紹介しながら、キリスト教徒がどのように武力行使を正当化するのかについて見ていく。平和を祈る宗教と戦争との奇妙な関係は、人間が普遍的に抱える痛切な矛盾を私たちに突きつけるであろう。

 著者は、この新書の冒頭で、こう問いかけています。

「なぜ、キリスト教徒は、「愛」と「平和」を口にするのに、戦争をするのだろうか」

 キリスト教徒ではない僕にとっては、まさに「ツッコミどころ満載」ではあるんですよね。

 結婚の誓いで「病める時も、苦しき時も、助け合い」なんて言っているけど現実は……などと考えると、それは「教え」そのものの問題ではなくて、それを守れない人間の至らなさ、なのかもしれませんけど。

 著者は、この問いへの答えの例をいくつか挙げています。

 例えば、あるキリスト教入門書の著者は、「キリスト教徒がこれまで多くの戦争をしてきたのは事実ですが、それはその時のキリスト教徒の過ちであって、キリスト教そのものが好戦的なのではありません」と言う。

 また別の本の著者は、「私たちが信じているのは、戦争をしてきたキリスト教徒ではなく、愛を説くイエス・キリストなのです」「戦争を繰り返してきたこと自体、罪深い渡し私たちが神を必要とする何よりの証拠ではないでしょうか」などと答える。

 このような返答では、ほとんどの非キリスト教徒の方々は、納得できないだろう。

 いやまあ、それはそうですよね。

 というか、キリスト教徒というのは、そういう返答で、納得できているの?と疑問になるくらいです。

 著者は、キリスト教における「赦し」について、アメリカで起こったある事件を紹介しています。

 2006年の秋、アメリカの小さな村にある学校に、銃を持った男が押し入った。拳銃、ショットガン、ライフル、そして大量の弾丸を持った彼は、少女らを監禁し、五人を射殺、五人に重傷を負わせ、自らもその場で自殺した。

 静かな田舎町の学校で起きたこの惨事は、衝撃的な事件として報道された。しかし、事件そのものよりも、さらに人々を驚かせたものがある。それは、その被害者遺族や近隣住民たちの反応であった。殺された少女の家族らは、事件後すぐに「私たちは、犯人を赦します」と言ったからである。それだけでなく、彼らは自殺した犯人の家族たちをも気遣い、ともに悲しみと苦悩を分かち合って、金銭的な援助までしたのであった。

 このニュースは、アメリカのみならず世界各国に報道された。悲しみと怒りのなかにいるはずの被害者遺族たちが、犯人を赦し、犯人の家族をも思いやったこということは、キリスト教的な愛の実践として、国内外の多くの人々を感動させたのである。

 この事件が起きたのは、ペンシルバニア州のニッケルマインズという場所である。そこは「アーミッシュ」と呼ばれるプロテスタントのキリスト教徒たちが住んでいる地域で、被害者を含め、近隣住民のほとんどはアーミッシュであった。

 僕がキリスト教徒ではなく、特定の信仰を持たない人間だから、なのかもしれませんが、これを読んで僕が感じたのは「なんともいえない、居心地の悪さ」でした。

 そんなことまでされて、大事な人を失っても、「赦す」のは「正しい」のかもしれない。

 でも、そんなことができる人間が「正気」だとも思えないのです。

 アーミッシュの人たちに対しては、失礼な言い方になってしまうのですが……

 キリスト教で説かれている「愛」を現実世界で究極的に実践すれば、たぶん、こういうことになると思うのです。

 しかし、実際にそういう光景を目の当たりにしてみると、心がざわめかずにはいられない僕のような人間も少なからずいたようです。

 ところが、こうしたアーミッシュの感動的な「赦し」に対しては、批判や疑問の声もないわけではなかったのである。

 あるコラムニストは、アーミッシュが悪に対し善によって報いようとした姿勢は、確かに感動的であったという。しかし、憎しみは常に悪いわけではないし、赦しが常に適切とも限らない、と論じた。彼は「われわれのなかに、子供が虐殺されたのに誰も怒らないような社会に本気で住みたいと思っている者が、どれだけいるだろうか」と問いかけたのである。

 ごもっとも!

 これはこれで、「では、どこまでが適切な憎しみや赦しなのか?」という問題も生じてきて、それはものすごくデリケートなものなんですけどね(というか、それが「普通の人」にとっての日々直面している問題なわけです)。

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