- 2016年05月17日 10:00
「女性活躍推進法」施行で女性の活躍は進むか
女性活躍の状況に数値目標を設定
4月1日から女性活躍推進法が施行されて、従業員数が301人以上の企業に4つの義務が課されることになった(300人以下の企業は努力義務)。
まず1つは、自社の女性の活躍状況を把握して、課題を分析すること。最低限把握しなくてはいけない項目は法律で決まっている。「採用者に占める女性比率」「勤続年数の男女差」「労働時間の状況」「管理職に占める女性比率」だ。
2つ目は、浮かび上がった課題を踏まえて目標を設定して、目標達成に向けた行動計画を策定し、社内に周知、社外に公表すること。同法は10年間の時限立法なので、行動計画も今年から10年間(平成28年度~37年度)で、2~5年に区切って策定する。
目標はいくつ掲げてもいいが、最低1つは数値で示す必要がある。たとえば女性の管理職が少ないことが課題なら、「管理職の女性比率を40%以上にする」というように、具体的な数値目標が必要だ。
気をつけたいのは、女性の活躍を後押ししたいばかりに、逆差別をすること。たとえば「女性を優先的に昇進させる」というのは男女雇用機会均等法に抵触するのでアウトだ。
3つ目として、策定した行動計画を都道府県の労働局に届ける義務がある。
さらに4つ目として、法律で定められた項目について情報公開する義務がある。公表先は、自社のホームページや厚労省が運営する「女性の活躍・両立支援総合サイト」でもいい。労務問題に詳しい千葉博弁護士は、「肝は情報公開」と指摘する。
「行動計画や女性の活躍に関する情報の公開を義務づけることによって、女性の活躍にどれだけ真摯に取り組んでいるのかが可視化されます。それを見て積極的に取り組んでいる企業に女性の求職者が集まれば、企業は競って取り組みを強化するかもしれない。そのような理想的な流れをつくることが政府の狙いです」
北風か太陽かなら「太陽政策」
心配なのは、女性活躍推進法の実効性だ。行動計画の数値目標に決まった基準はなく、自社で自由に設定していい。また公表すべき情報項目は1つでかまわない。たとえば女性の退職が多い会社は、それに関連する数値を隠し、他の見栄えのいい数値だけを公表してお茶を濁すことも可能だ。
さらにいうと、女性活躍推進法には罰則規定がない。これで女性の活躍が進むのか。千葉弁護士の見解はこうだ。
「企業に厳しくしすぎると、誰も守らない法律になるおそれがあります。今回の法律には、女性の活躍推進に取り組む優良企業に厚労大臣のお墨つきを与える認定制度が盛り込まれました。このことからもわかるように、厳しくするより応援することで女性の活躍を進めようというのが、女性活躍推進法の趣旨なのです」
童話「北風と太陽」でいえば、太陽にあたるのが今回の法律。本当に目論み通りに進むのか、引き続き注目だ。
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