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子供にとってより良い教育とは? 寄宿塾「はじめ塾」を通して考える - 池上眞平

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ルールは必要最低限のみ

ふうた:多すぎるルールは子供達が自主性と主体性を発揮する機会を奪うので、はじめ塾では必要最低限のルールしかありません。自宅ではパソコンを好きなだけ使用していた僕はパソコンの使用にルールを設けることを条件に、塾へパソコンを持ち込みました。「パソコンに溺れない」かつ「他の塾生に迷惑を掛けない」ためのルールの必要性を理解しましたが、最初は窮屈に感じました。そのうち、制限された環境でいかにパソコンを上手く利用するかを工夫するようになりました。おかげで既存の発想に頼らない視点が磨かれました(笑)。

 またはじめ塾では、食事の良いバランスを維持するために甘いお菓子を控えるようにしています。しかし、家では何の気なしに食べていたお菓子をはじめ塾では少し食べられると、とてつもなく嬉しいのです。世の中の風潮と距離を保つことを修得した寄宿生は、世間の中高生が手を染めるような「悪いこと」には手を出しません。これはこれからの人生を力強く生き抜くために必要な知恵だと思います。

あかり:当時自分を含めて寄宿生の女子は3人だけで、私は15人近い寄宿生の男子に負けまいと必死でした。力仕事や台所仕事、テスト勉強でも「追い抜けるものなら追い抜きたい」という気持ちが強くて毎日がむしゃらでした。しかも2年生になって参加した中学校の生徒会活動が忙しくて、夕食づくりや作業の時間に間に合わないことが増えてくると、技術的なことや知識がみんなより遅れるのではないかと心配していました。そうした自分の姿を周囲が常に見て評価してくれるのが、安心でもありプレッシャーでもありました。自分のプライドもあり、自分を律した2年間を過ごせました。不自由さやジレンマをどう乗り越えるか、どう耐えるかといった精神面もしっかり鍛えられたと思っています。

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夏期合宿にて、なたで薪を準備しつつ、釜でご飯を炊く子供達

周りが頑張る姿に刺激受けて育った自主性

 多くの人と共に生活するので、相手の気持ちや周囲の状況を読み取る力も相当養われたと思います。家庭にいたら親がやってくれるのは当たり前で何とも思いませんが、はじめ塾では同年代や後輩が頑張っている姿に刺激を受けて動くので自発性が育っていくと思います。

うらら:確かにそうですね。自主性が育ったお蔭で、学校のように様々なスタンスの人がいる場面でも、顔色変えずに自分から率先して動けるようになりました。

ふうた:僕は中学卒業と同時に家庭に戻って東京の進学校に通いましたが、同級生の思考のスケールが小さく見えました。そんななか、高校2年生の夏に、ハーバード大やイェール大の学生と日本の高校生約30人が一緒に過ごす「GAKKO」というサマーキャンプに参加しました。大半が帰国子女でいわゆるエリート教育を受けている高校生達でしたが、はじめ塾の塾生は彼らと比べて人間性の成熟度合いがなんら遜色ないレベルだと感じました。学校教育とは違うアプローチで、はじめ塾はエリート教育をしているのだと思います。いうなれば、サマーキャンプを共にした友人達は高級な餌で育った「養殖魚」で、はじめ塾の塾生は荒波に揉まれて育った「天然魚」って感じですかね(笑)。

 高校時代に政治系NPOを立ち上げるなど大人と遜色ない活動をしていたと自負しているのですが、何をしても「高校生にしては」という枕詞が付くことに耐えられず、高校卒業後は大学進学の道を選びませんでした。インターネットのニュースメディアで記事の取材・編集、映像の制作などをする仕事を経て、昨年4月に博報堂出身の人と一緒に広告代理店のような会社を立ち上げ、今はクライアント企業の大きなイメージ変化をコンサルティングから制作まで一貫してお手伝いするような仕事をしています。法律をいかに変えるか戦略を練ったり、全く新しい組織を生み出すためのキャンペーンを打ったりなど、既存の価値観に囚われない仕事を展開していく上で、はじめ塾での経験が役立っていると思います。

あかり:自分の努力が認められたという喜びを実感したのは、中学1年生の時に寄宿生のお弁当づくりを任されたことや、2年生の夏期日課(1カ月間の夏合宿)で「食当(食事づくりの責任者)」を経験したことです。平均して50人から60人、多い時には100人以上参加する合宿の食事づくりに責任をもつ役割で、寄宿生にとっては憧れの役割です。今思えば中学2年生なのでまったく力不足でしたが、後輩にだけでなく先輩や大人にも指示を出すのは貴重な経験でした。今、卒業生の立場で食当の姿を眺めていると、当時はたくさんの人に支えられていたのだとあらためて気づかされます。

 先生や大人の方が塾生の頑張りを褒めてくれるので、遣り甲斐が増します。

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夏期合宿にてかまどで風呂沸かし

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