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「立法府の長」発言に垣間見える安倍総理の潜在意識ー我が国政治の劣化の兆候か?

 5月16日、衆議院予算委員会では熊本地震の被害への対策のため緊急に編成された、総額約7800億円の平成28年度補正予算案の審議が行われた。「被災対策、被災地対策に与党も野党もない」という、いつの間にか出来上がった共通認識の下、共産党を含む野党側も当初から賛成する姿勢を示しており、質疑は補正予算の中身の確認や対策の更なる充実を求めるものが中心となった。

 その中で、被災地対策に引っ掛けて保育士等の給与引上げについて、民進党の山尾志桜里衆議院議員が質問を行った。基本的に政府の対策不足とそれに関する民進党からの提案に一向に耳を傾けようとしないこと等を非難する内容であったが、それに対して安倍総理は、「議会の運営というものについて少し勉強していただいた方がいい」と切り出し、それに続いて、なんと「私は立法府の長であります。」と臆面もなく発言した。(ちなみに、閣僚席で「えっ⁈」という表情で反応したのは、中継映像から見える範囲においては、石破茂大臣だけだった。)更に、「どのように議論していくかは委員会において決めること」と発言、完全に支離滅裂の答弁となっていた。

 おそらく安倍総理は、自分は行政府の長であるから立法府のやることに口を出すのは筋違いということを言いたかったのだろうが、訂正もせず、うやむやのまま答弁を続けた。

 単なる言い間違いだろう?という解釈も成り立ちうるが、なんといっても一国の総理である。三権分立が制度的に担保されているところ、言い間違いとしても、あまりにもお粗末であろう。(それとも、「三権分立」という言葉、概念は、安倍総理の頭からどこかに飛んで行ってしまったということなのだろうか?)

 しかし、臆面もなく、堂々と発言し、訂正もしないという態度からは、自分は国家権力の頂点に立っているという驕りや、一強多弱と言われる政治状況の中で、国会を無意識のうちに軽視する慢心が垣間見えるように思う。

 一国の総理がそうした態度や意識を持っているとすれば、それは国家・国民にとってよろしくないのは勿論のこと、自民党にとっても驕りや油断、それに真摯に議論しないという態度の蔓延につながり、党の質の低下につながるのではないかと思われてならない。

 そして、与党の質の低下は野党の質の低下にもつながり、全体として我が国の政治の質の低下につながりかねないのではないか、と大いに危惧される。

(安倍総理の「立法府の長」発言を目の前にして、それについて何も指摘しない民進党、こちらについては「コメントに値しない」という言葉しか浮かんでこない。)

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