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スポーツ選手の賭博問題の陰で「スポーツ賭博」利権が拡大

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本改正は文部科学大臣が指定する国際的なスポーツ大会の開催を特定業務として定め、totoくじの売上の最大5%を「天引き」する形でその業務予算にあてることを認めるものでした。この天引きされる5%は、totoくじ収益として収益認知が行われる「前」にその売上の中から拠出されるものであり、上記、スポーツ振興投票の実施等に関する法律施行規則第十一条の二の定める審査委員会は、その内容に対して審査を行う権限がありません。

即ち、文科大臣が国際的なスポーツ大会として指定さえすれば、totoくじ売上のうちの5%、金額にして年間55億円が毎年フリーハンドで流れてくるわけで、そこに最初に群がったのがラグビー議連を中心に活動していた文教議員の面々。具体的に名前を挙げるのならば「森喜朗(ラグビー議連・最高顧問)と愉快な仲間達」であります。

というよりは、実はこのtotoくじ売上から5%を天引きする特定事業勘定は、もともと森喜朗氏が会長(当時)を務める日本ラグビー協会が誘致した2019年のラグビーW杯の為に作られたもの。2009年に日本、南アフリカ、イタリアの3加国で争われたラグビーW杯の誘致レースは、ラグビー先進国である南アフリカ、イタリアを振り切って日本が勝利したわけですが、その時に唯一ワールドラグビー側が懸念したのが会場の問題でありました。

南アやイタリアと比べてラグビーがそれほど人気なわけではない日本においては、ラグビーW杯を開催するのに適した規模を持つラグビー施設がほとんどありません。特に大会の目玉となる決勝戦は何としても首都、東京で開催すべきだとの主張が為された結果、当時、耐震補強か建替えかで論議が紛糾していた旧・国立競技場が一気に「規模を拡大して建て替え」の方向に向かって動き出すこととなります。実は、2013年4月に成立した独立行政法人日本スポーツ振興センター法は、ラグビーW杯の決勝戦会場として目されていた国立競技場の建て替え予算を捻出する為に整備されたものであったわけです。(その後、2013年9月に東京オリンピックの誘致が決定した)

また先述の通り、この法改正によって認められた特定業務勘定は、本来、審査委員会による事前チェックが法令によって定められているtoto売上の利用を完全にフリーハンドにしてしまうものでもあります。そこで発生したのが「国際的スポーツ競技大会の誘致」を名目にしたダボハゼ的なtoto収益金の流用であり、文教利権者達が大集合してありとあらゆる機能を詰め込んだ果てに、当初予算を大幅に上回ることになって破綻した旧・国立競技場の建て替え計画でありました。その辺りに関しては、以前、関連する記事を書いています。
【参照】毎年55億円の流用で「焼け太る」国立競技場計画
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8908869.html
そして今回決定した法改正は2013年の法改正で認められた5%のtoto収益金流用枠を最大10%にまで引き上げるもの。繰り返しになりますが、この特定業務勘定は文部科学大臣の指定と「国際的スポーツ大会の誘致」という名目さえ立てば凡そ自由に利用が可能なものでありますから、時々の文部科学大臣に対して影響力を行使できる立場にいる方々にとっては、非常に使い勝手のよい「打ち出の小槌」となります。

すなわち第二、第三の国立競技場問題は必ず起こる。しかも、次にやる人達はより周到に水面下でコッソリ準備を行い、それを実行に移すことでしょう。私は立場上、日本の合法ギャンブル業界を応援する立場でありますが、今後、二度とtotoくじは応援しないことをここに誓いたいと思います。

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