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- 2016年05月12日 07:30
保育園だけではないひとりひとりにあった育児の選択肢も──カラーズ経沢香保子×サイボウズ青野慶久
2/2社員がやめるのは失恋したような気分
画像を見る 青野さんの著書『チームのことだけ、考えた。』を読ませていただいたのですが、同じ経営者としての目線で読んでしまうので、超泣きました!画像を見る
ありがとうございます。
画像を見る 特に、サイボウズの離職率が高くて毎週のように社員が辞めていったころのお話とか。社員が辞めるのって、失恋したような気分になるじゃないですか。
その会社のことが嫌で人が去って行くのは、自分の存在価値やアイディアを全て否定されたように思ってしまう。私は創業した会社を去る側でしたが、青野さんのように、会社のメンバーが去る中、自分は経営者として続けるという、残された側だって大変だろうなとすごく思いました。
一番共感したのは、実は問題に立ち向かうことの方が、生きていることより辛いという時期があったという点です。私にもありました。私はあまり苦労した話って人にしたくないなって。青野さんはなぜそれをあえてお書きになったのかが気になります。
画像を見る 書いたのは、実は半分以上はサイボウズの社員に向けての気持ちがあるんです。サイボウズの中で現在使っている言葉や、その考えに至った背景などをまとめて社員にきちんと説明したくて。
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理念や制度がどこから生まれたかということですか?
画像を見る そうですね。社員も増えてきて、研修で伝えていくことには限界があるので。一度、本にまとめていれば手軽に読めて筋が分かるし、繰り返し確認できますから。
そして、なぜ苦労話も書いたかというと、多分それが僕のスタイルなんです。あまり「僕、すごいだろ」って口では言えないタイプでして。それが似合う人ならいいのですが、僕はそういうキャラではないので……。
画像を見る 確かに、自分のよさをアピールするのが上手で、そうやって人を引っ張っていくタイプの人もいますよね。
2回目の起業は、1回目にできなかったことを全部盛り込める
画像を見る 経沢さんにお聞きしたかったのは、起業された会社を辞め、なぜもう一度起業をチャレンジし、カラーズを作ったんですか?画像を見る私にとっての目標は、上場して「女性が輝く社会の実現」をすることだったのですが、以前の会社の各役員はそれぞれやりたいことが頭の中にあったのかもしれません。
上場をまず目指して、実現してからさらに次のステージに向かおうと考えていたのかもしれず、それは未熟だったと反省しています。
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そうだったんですね。
画像を見る 前の会社でもベビーシッター事業はやりたかったのですが、社内のリソースを社長の権限で集めることに遠慮している自分もいました。
会社を辞めてしばらくは表舞台ではなく育児に徹しようと思っていたときに、作家のはあちゅうさんとオンラインサロンを始めたら、予想以上にたくさん人が集まったんです。
社長業を辞めたらテレビの依頼ももうなくなると思っていたのに、減らなかったことにびっくりして。「社長」という立場を失っても、実は私は何も変わらないんだなと思いました。
だんだん個人の仕事が忙しくなってきたので、サポートしてもらう秘書を募集し、それから会社にすることにしました。もともとやりたかったベビーシッタービジネスを会社としてスタートさせたという流れです。
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すごい!
画像を見る 本当に運が良かったと思います。私の中では神様から「もう一度やってみてごらん」とチャンスをいただけたのかな、と思っているくらい。やり残したことがあるから、もう1回やれということなのかなと思って、2回目の起業をしました。
画像を見る そうだったんですね。起業した会社を辞め、その後すぐに2社目の会社を起業されたんですね。
休み続けなかった理由はなんでしょう?
画像を見る結局、私は最初に起業した会社を辞めることになり、納得のいく形で最後までまっとうすることができませんでした。でも、社員のことは大事でした。
私としては本当にやりたいベビーシッターという事業があり、それを成功させることができれば、前の会社の社員も「やっぱり経沢さんはビジョンの実現にこだわっていたんだな」と納得してくれるし、責任を果たすことになるかなと思っているんです。
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前の会社でできなかったことを実現させて、納得し喜んでもらうと。
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画像を見る そうですね。あと、日本の育児支援に対する危機感がすごく大きいです。インターネットの力を使って、格安でベビーシッターを雇うというビジネスは、私がやらなかったらほかの人はきっとやらないなと。こんなに大変なことだし(苦笑)
誰もやっていないことなので、最初はお客様にていねいに説明していくことがすごく大切だし必要なんですよね。 0から会社を作り上げる大変さは変わらないですが、起業は2回目なので、1回目にできなかったことを全部盛り込めるというメリットもあります。
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なるほど。
画像を見る 私は、前回の起業の反省を踏まえて新しく会社を立ち上げましたが、青野さんは一度停滞した後に再び成長を遂げたのがすごいって思うんですよ。再生するよりも、0からやった方が実は最短距離で実現できるかもしれないと思って。
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起業も何回もやっているとコツがつかめてくるとか?
画像を見る 1回目の起業の時は26歳とまだ若かったこともあり、大変だよ、うまくいかないよなど、厳しいアドバイスをいただくことも多かったです。
手探り状態でうまくいくか不安だし、若いし、実績もないという。まるで、「見えない・聞こえない・話せない」の三重苦に苦しんでいたヘレンケラーになったような気分で取り組まないといけなかった。
今は、1度経験しているのでコツのようなものは分かります。でも、それに甘えないようにしようと思っています。
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なるほど。
画像を見る 前回はITの世界で事業をして、BtoBが中心でしたが、今回は「ママ」という人たちと「育児」という、人の感情とも深くかかわる部分の事業です。 自分が経営者として学んできたことを常識として持ちすぎてしまうと、ママたちが求めているサービスから離れてしまうので、気をつけています。
起業という経験を通じて、人より少しはビジネスの世界のことも分かっていると思いますし、私自身子どもがいてママでもあるので、「ビジネス」と「ママ」の2つをつなげられるのは自分だけだと自負もあります。
女性が女性のための事業をやると、自分たちの視界で大きく広げにくかったりするので、自分の強みをいかせばそこを突破できるかなと思っています。
後編につづく(5月18日公開予定)
文:姫野ケイ/写真:谷川真紀子/編集:小原弓佳



