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- 2016年05月11日 07:30
お堅いPTAもフラットで柔軟な組織に変えられる!──委員会制を廃止し、手上げ方式を実現した父親たち
2/2言葉だけより効果的、笑顔いっぱいのムービーが心を動かす
画像を見るそれからすぐ「具体的に何をしよう」という話を始めたんです。「まずは最初が肝心だから、臨時総会でメッセージムービーを流そう」と言ったら山本さんが共感してくれて、一緒に作ったんだよね。画像を見るそうそう。一番最初のムービーは、酒も飲まずに夜中のガストで作りました(笑)。今までの活動を、写真のスライドショーで「こんなことやってます」というふうに、音楽にのせて見せるものなんですけれど。
画像を見るその時に初めて、「そうだ、学校に行こう。子どもたちに笑顔を、大人たちに感動を」という、いまも使っているPTOのキャッチフレーズを入れたんです。その発想も、すごく斬新だった。
画像を見る完成したムービーは、僕が2年目(2013年)の4月の総会で流しました。あのときはまだ委員会があって、総会の後に委員長を決めることになっていたから、委員さんがみんな集まっていたんです。
画像を見る動画は、とにかく楽しい雰囲気にしたんですね。シャレをきかせて。「PTAでは、こんなに楽しいことができるよ」というメッセージを伝えたかった。
画像を見るそのムービーを流したら、みんなの表情が変わったんです。そのあと委員長を決めるのも早くて、くじ引きにまでならなかった記憶があります。だからやっぱり、雰囲気づくりみたいなことってすごく大事だなと思いました。
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重要ですね、PTAはとにかくイメージが悪すぎるので。
画像を見る今はそれを入学式でやるんです。式が終わったあと、以前は口頭でPTAの説明をしていたんですけれど、代わりに大画面でムービーを流して、PTOがどういうものかということを見せている。
そうすると「それを見て心が動いたから、PTOに参加してみようと思った」という人が、ボラセンに入ってきたりして。やっぱり言葉よりも、映像はすごく効果的ですよね。
画像を見るよく、入学式の後、体育館に保護者がそのまま残されて、「委員が決まらないとお子さんの教室に行けませんよ」と言われる学校がありますよね(苦笑)。そういうやり方よりも、「PTAでは、こんなことができる」というのを、スライドショーと音楽で伝えるほうがいいです。
画像を見るそのムービーには、子どもたちの笑顔がいっぱい出てくるわけですよ。そうすると何というか、みんな感覚的に落ちるんですよね。「あぁ、こういうものか」と伝わる。
「やらされる場」ではなく「やりたいことを実現できる場」
画像を見る僕が1年目に一番苦労したのは、コミニュケーションの取り方だったんです。PTA活動を長く経験しているお母さんたちの中に飛び込んで「これは何なんですか? おかしくないですか?」とただ言っても、話が進まなかったので。画像を見るだから翌年、僕が入ったときは、スタートの段階でチームビルディングをやることに、すごくこだわっていたんですよね。ビジョンに共感してもらうこととか。
画像を見るそれで最初にやったのが「ポストイットセッション」です。2013年の3月、次年度の役員が初回顔合わせをしたときに、「PTA活動の中でこんなことをしてみたい、あんなことをしてみたい」という夢をポストイットに書きだしてもらったんです。それについて、玉川さんが司会をやりながら、みんなでいろいろ話したんですよね。
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嶺町小学校PTOではポストイットを使ってアイディア出しをしている
画像を見るそうすると「この人はこういう人なんだ」とか「この人はこれが得意なんだ」といったことが、短時間でよくわかってくる。画像を見るあとは当時、PTAって「委員会が、毎年決まっていることをただやる」場だったんです。でも本当はPTAって「子どもたちに対して何かやりたいという思いを実現できる場」じゃないですか。そういう場として認識してもらうために、みんなで夢を出したというのもあります。「やらされる場」ではなくなるように。
「手上げ方式」での“6割”参加をどう捉えるか?
画像を見る僕たちは、委員会の代わりに全部「手上げ方式」にするという改革をしてきたんですが、よく言われたのは、「本当にそれで人が集まるのか?」ということと、「もし集まったとしても、やる人が同じ人になるんじゃないか?」ということでした。でも実際、何とか回ってきました。ラクラク集まらず、ギリギリまで苦労したものも、なかにはありますけれど。
先日(12月)また、PTO活動に関するアンケートを取ったんですよ。そうしたら、そのうち「約6割」が、PTO関係の何らかの活動に参加している、と答えたんです(回収率81%)。
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うちのホームページを見てもらうと、結果も載っています。
画像を見るこの「6割」という数字をどう捉えるか、ということなんですけれど。僕としては「6割も参加してくれた」という感覚なんですね。半分以上の人が参加しているので、同じ人ばかりとは言えないですよね。
でも、ボラセンのみんなのなかでは、「残りが4割もいる」という方向に、なんとなくいったわけです。
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ふ~ん。それは、「4割もやらない人がいるのは、ズルい」ということですか?
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画像を見るというよりも、「残りの4割に対して、参加するきっかけを奪っているんじゃないか」という考えです。今までの委員会制なら、ある意味背中を強制的に押して参加していたところ、その機会を奪ってしまったため、参加しづらくなった人がいるんじゃないか、という見方です。
そこから「1人1ボランティアがいいんじゃないか」という話も出てきました。今のボラセンの悩みは、やっぱり活動内容によっては人が集まらないというところなんですが、「1人1ボランティア」の形にすれば、人がゆうゆう集まって、悩みが解消されるよね、ということで。
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「人が集まらない活動はやめる」という選択肢がないのであれば、そうなりますね……。
画像を見るだけど、それってボランティアの意図とは全く変わってきちゃうんですよね。ボランティアって「主体性」が一番の要件なので。だからやっぱり「1人1ボランティア」はやめよう、という方向になったんですけれど。
ネガティブな声に引きずられすぎないコツ
画像を見る僕の受け止め方はまた違っていて。この6割には、いやいや参加している人がいないんですよ。自ら参加したいと思って参加した人が6割いる、これはすごいこと。画像を見る
一般にPTAは、いやいややるのが定番ですからね……。それを思うと、すごい数です。
画像を見るでもなぜかみんな、ネガティブな意見に引っ張られやすいんですね。「参加する機会を奪っている」というけれど、冷静に考えると、機会は用意しているんですよ。みんなにちゃんとお知らせもして、「参加する・しないの判断を委ねた」というだけなので。
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強制を止めただけですよね(笑)。
画像を見るそれにね、委員会制をやめたことについては、圧倒的に感謝の声のほうが多いんですよ。だけど、日本人だからなのかわからないけれど、どうしてもそのネガティブな声のほうを、みんな見ちゃう。だからそこは、良い意味で鈍感になっていかないといけないところもあるよね(笑)。
画像を見るわかります……。わたしも取材でさんざんそういう話を聞いてきたのに、いざ自分がPTAでその立場になると、やっぱり一部の批判的な声ばかり気になってしまって(笑)。これは、どう乗り越えたらいいんですかね?
画像を見るやっぱり、「ポジティブな仲間と一緒にいる」ということがすごく大事ですよ。同じ考え方に賛同して、一緒に活動してくれている仲間の存在は支えだよね。
アンケートをとると、必ず一定の割合でネガティブな声もあるわけじゃないですか。なかには結構きつい意見もあるけれど、冗談を言いながらみんなで読むんだよね。それを、1人で自分のことのように読んだらものすごく辛い(笑)。
画像を見るネガティブな意見も、それはそれとして受け止めつつ、「でも自分たちは、こういうことをやりたいんだよね」というふうに、みんなで話をもっていくんです。それをしないで、ただそのまま受け止めちゃダメ(笑)。
画像を見るボラセンに入るとどうしても、いろんな立場の人の声が聞こえてくるんですよ。保護者のなかの賛成の声、反対の声、学校側の声、地域の声。だから視野が非常に広くなるんですけれど、そこには当然ネガティブな声も含まれている。そこをどう咀嚼していくか、いうのがポイントですよね。
後編に続く
文:大塚玲子 / 撮影:内田昭人 / 編集:渡辺清美



