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インタビュー:代替投資開始、国債投資に慎重=ゆうちょ銀副社長

[東京 10日 ロイター] - ゆうちょ銀行<7182.T>の佐護勝紀副社長は10日、ロイターとのインタビューに応じ、運用の多様化・高度化を図るため、先月からオルタナティブ(代替)資産であるプライベートエクイティ(PE)への投資を開始したことを明らかにした。

総額200兆円超の運用資産を持つゆうちょ銀行は、超低金利環境が続くなか、1年前にゴールドマンサックス証券から迎え入れた最高投資責任者(CIO)の佐護氏の指揮で、投資収益の向上を目指して従来の国債中心の運用からリスク性資産の積み増しを積極的に進めている。

主な一問一答は以下の通り。

――昨年3月時点で48兆円だった収益追求(サテライト)ポートフォリオの拡大について、進捗は。

「(中期経営計画で)2018年3月末に60兆円との方針を示していたが、前倒しして積み上げた結果、その目標額は既に達成した」

「オルタナティブ投資は運用の高度化の大事なメニューの1つだが、PE投資を開始した。具体的には、先月、私募投信の形態でのPE投資を開始した」

「来月以降には組合への直接投資も承認される見通しで、PEをはじめとした全般的なオルタナ投資が可能となる予定。GP(無限責任組合員)ではなく、LP(有限責任組合員)としての投資を考えている」

「規模は、オルタナティブ全部で、今年度中に数千億円というイメージ」

「オルタナの中でどこに投資するかをランク付けすれば、インフラを含むPE、不動産、ヘッジファンド(HF)の順。リスク・リターンを考えるとHFは最後だが、分散効果があり、優先順位が低くても投資する」

「何でもインハウスでやりたいが、中には費用対効果の観点からも委託に留めた方がいいものもある。フィンテックを活用した超最先端の運用で収益を上げるHFなども一例だろう」

「オルタナではこのほか、プライベートクレジットもメニューの1つとして重要視している。これにはディストレスト(債)が含まれる。こちらも委託運用となる。まだどの枠でやるかは決めていないが、準備中だ」

――株式の自家(インハウス)運用の開始めどは。

「今まで金銭信託だけでやってきたが、個別株の取引ができるようにとか、ETF(上場投資信託)を扱えるようにとか、ヘッジツールとしてのベア型ファンドやデリバティブ(金融派生商品)全般も使えるように、といった社内の体制整備を進めており、本格スタートは今年後半になる」

「ただし、残高は相場の水準と見通しによる。株式市場の見通しは、残念ながら為替次第としか言いようがない。ドル建てでものを見ている外国人投資家主導で動かされるマーケットであるが故に、為替レートが動けばフェアバリューも変わる。また、企業業績も為替連動の様子が強く、ファンダメンタルズの面でも需給の面でも為替連動にならざるを得ない状況だ」

――為替(ドル円)については。  

「今は日銀が動かせる範囲は少なく、FRB(米連邦準備理事会)次第だろう。今の水準は決して円高とは言えず、購買力平価などから見ればまだ円安だ。日銀の金融政策が緩和方向である一方、FRBが引き締め方向であるという方向性の違いを反映して、現在108円台となっている。この水準はかなりのフェア・バリューとみている」

「為替がどこに行くかといえば、円安トレンドは想定しづらい。トレンドが出るとすれば方向としては円高だろう。少なくとも、米大統領選挙が終わるまで円安トレンドは出ないのではないか」  

「今のレベルは、リスクを取る水準でも、落とす水準でもない。基本的に為替リスクはヘッジするという従来方針に変わりはない」

――日銀のマイナス金利政策に関しては、ゆうちょ銀行が最大の犠牲者ともされるが。

「痛みの度合いはどこも一緒。融資をやっていればマイナス金利の影響を受けないわけではなく、変動金利で融資していれば影響はさらに大きい」

「マイナス金利を気にして投資判断することは絶対に避けるべき。今国内で起きていることは、マイナス金利が感情的に影響し、投資判断がすごく影響を受けている。現在の何十億円のために、将来の何百億、あるいは何千億円の損失を生みかねない投資を粛々とやっている気がする。非常に危険だと思う」

「円金利の動向を見ていると、(日銀の政策金利が)プラス10ベーシス(bp)もマイナス10bpも20bpしか変わらないのに、30年金利が何十bpも下がるというのはやり過ぎ。あのへん(超長期債)は買ってはいけないと思う」

「明らかなのは、金利に投資してはいけないということ。でも、クレジット、株、オルタナとアセットは他にいくらもある。残念ながら日本では金利のマーケットが大きく、それを諦めなくてはならないのは大変だが、世界中を見渡せば、金利以外の市場もかなり大きい。その残高を着実に積み上げていけばよい」

「運用の高度化を進めるにあたっては、何をやるか、いつやるか、誰がやるかの3つが大事。誰がやるか、つまり採用については100点満点だと大変満足している。次にいつやるかだが、リスク性資産を増やすという面では決して悪いタイミングではない。ただ、今年1年間は投資の年であり、収穫の年ではないだろう」

(インタビュアー:植竹知子、佐野日出之)

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