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- 2016年05月08日 07:58
「UFOがありえるかどうかはアンタが決めなよ」〜矢追純一氏が伝えたいこと
2/2■「UFOがありえるかどうかはアンタが決めなよ」

僕の頃もあったね。そういう意味では、今は"ひ弱"だね。作り手たちに芯が通っていない。番組が終わったら電話かかってきて、間違って取ると、「あんな、根も葉もない事を公共の電波で流しやがって」と言ってくる。
「ありえるかどうかはアンタが決めなよ、俺のところに怒鳴ってきてもしょうがないでしょ」
「てめえこの野郎、社長出せ!」
「お前が社長に直接電話すればいいじゃねえか、おれはお前の小間使いじゃねえよ!」
「今から行くからな、ただじゃおかねえからな!」
「早く来いよ!待っててやるから!」
なんて会話がよくあったね。
あとは、「子どもが怖がって、トイレに行けなくなった」とかね。「お前、親だろ。親なんだったちゃんと自分でやれ、こっちに持ってくるな」と言い返したこともありますよ。
■見てるからこそ「あんな番組くだらねえ」と言える

受け手というのは、テレビであれ、そのほかのメディアであれ、基本的に"参加"したいんだよ。学校がつまんないのは、先生が一方的に情報よこして暗記しろという世界だから。
番組でも本でも、全部提示してしまうと、送り側の一方的な考え方になっちゃうわけだよ。そこにお笑いを入れてごまかしてもだめ。だから、見てる方は、一応笑ったりするけど面白くはない。参加する要素が必要だと思う。
だから、矢追純一スペシャルなんて、毎回、決着ついてないでしょう?
ー確かに、最初から最後まで予告編みたいな…(笑)
気づいたら終わってた、でしょ?あれは、"自分が参加してたから"なんですよ。
アメリカに取材に行くときも、スタッフは自分入れて5人いないくらいだった。それ以上になると車が2台になって、必ず迷子になる。通訳もタレントも一切連れて行かない。間に入れると面白くなくなるからね。いきなり行って、ホテル探して、レンタカー借りて俺が運転していく。取材先の場所もよくわからないから、探しながら行く。その過程も全部カメラを回す。ドアをノックして、家に入っていくところも撮っている。座って話し始めて初めてから照明が当たる。
あれは、全部カメラ1台で撮っていたんですよ。つまり、僕の視点。見てる方もカメラに同調して、一緒に取材に行っている気になるんだね。カメラを2台も3台も使うと客観描写になるからダメ。
そういう風に作っていくと、俺のワクワク感、新鮮さが伝わるんだよね。だからみんなが面白かったんだと思う。
ー視聴者も取材する側になっているわけですね。
取材した結果をみせてもらってるのではなくて、自分が取材者になっている。他にも番組はいくらでもあるのに、あれから何年経っても「あれ面白かった」と言ってくれる。最後まで次どうなるんだろうって。翌日みんなで「あれはどうだった」「なんだ、見てないの?」と議論する。そういう番組を、一番目標としなければならない。
見ている側が参加している気持ちになって、さらに他の人と意見戦わせるくらいじゃないと面白くない。「あれはおかしい」とか「あんな番組くだらねえ」でも良い。そんなことは、見てないと言えないんだから。「こんなくだらない番組」ってクレーム言って来た奴にも、「お前最後まで観ただろ。観るなよ」って言い返してた。
ーあえて「作りこまない」という方法を取っていたというのが意外でした。
僕自身は、前もって番組の構成を立てたり、予測を立てたりことが苦手だし、予定調和を嫌っていたから、何にも考えていない。事前の研究も調査もしなかった。それをやっちゃうと、固定観念でものをみてしまうようになるし、新鮮さが無くなっちゃうんです。10年も付き合った女と会うようなもんだよね。だから番組構成なんてない。最初に行く一箇所だけ決めていく。ひらめきでね。そこから、色んなことが起きてくる。
インタビューもそうなんだけど、いろいろ調べて行っちゃダメ。相手が総理であれ、何も知らないでい行った方が、「こういうおじさん・おばさんだったんだ」という驚きがある。質問も、前もって決めた質問ではなく、その場で思いついた質問をぶつけて行ったほうが、答える方も意外なことを言ってくれちゃう。もう一つは、聞く側が喋っちゃダメ。
ー…はい。今日は事前に質問を用意してしまいました。
予め調べちゃうと、質問が限定されちゃう。それ、ネットで引けば出てくる、ということになってしまう。黙って聞いていればいい。そうすれば思いがけないことがいろいろ出てくるわけね。
■「私はこういう風にやりたい」というものがあればそれでいい

全然。みんな、勝手に生きていきゃいいと思ってるから。「正しい」と思うことは、ひとりひとり違うからね。
多くの人が陥りやすい錯覚は、自分が正義だと思うこと。だから喧嘩になる。自分の考えなんて、所詮は自分の中だけのことなんだから。他の人の考える正義はそうじゃない可能性の方が高い。それで批判するのは間違い。それぞれの人が思う正義だったり、行くべき道だったりするわけで、こうしたほうがいいってことを提示するってことは無理。
ー今、テレビ局はみな苦戦していると言います。
みんな問題点を分析するでしょう。組織の問題、予算の問題…全部言い訳なんだよね。男は言い訳するなと。
「なんでそうなった?」と聞かれたときに、「実はこうで…」と言うけれど、じゃあマスコミとして、視聴者ひとりひとりにそれが説明できるかと。そんなこと無理なんだから、それぞれが自分のベストを尽くすしか無いんだよね。でも、すぐ人のせいにしたがる。
結局、「今どうしてテレビがつまんないんですか」っていうと、「いや~組織的に」とか「カネがないと上司が言うから」とか、そういう言い訳じゃなくて、その制約の中で自分なりにジャーナリストとしてベストを尽くすだけなのであって。
僕も、ただのジャーナリストでしかないんですよ。ジャーナリストとして伝えるべきことを伝える。けれど、それは常識に囚われるのではなく、その間口を広げるっていうことなんです。
だから、こういう風にすると面白いとか、こういう風にしたらいいんじゃないか、なんてことも言えない。そこに携わっている人それぞれが決めること。
「私はこういう風にやりたい」というものがあればそれでいい。「ウケよう」とか、「視聴率取れそう」とか考えるからおかしくなる。そうではなく、自分は何をしたいのか考える。それが無いから人のせいにする。みんな、生きることすら責任を負いたがらないからね。
それで、参考にしないくせに人に教えてくださいとか、そういうこと言うんだよな。本当に参考にするくらい信用しているのか?と。信用してないんですよ、どいつもこいつも。そのくせ知りたがる。自分に思いが無いなら、聞いたって意味が無いんだよ。
自分の人生は自分が決めるものなのに、決められないんでしょ。日本という、環境がいい国に生まれてしまったものだから、ついなんとなく来ちゃった。自分の生き方はどうあるべきか、自分で築いていくんだということすらも考えたことがないんだよね。
ーありがとうございます。とても刺さりました。
■プロフィール

中央大学法学部法律学科卒業。同年4月日本テレビ放送網(株)入社。日本テレビ時代は「11PM」「木曜スペシャル」などを担当し、UFO及び超能力番組のディレクターとして活躍する。日本テレビ退職。「宇宙塾」主宰、宇宙科学博物館コスモアイル、名誉館長、(有)スペース・ラブ取締役。
現在、「{宇宙塾}を中心に、地球環境問題、UFO問題等、フリーのディレクター、 プロデューサーとして、テレビ、ビデオやラジオの番組制作、 及び出演で活躍中。さらに、著述、講演、レクチャー、そして取材などで世界中を奔走。
・矢追純一オフィシャルサイト



