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【読書感想】組織の掟

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組織の掟 (新潮新書)


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組織の掟(新潮新書)

内容紹介

あらゆる組織には「掟」がある。暗黙の内に共有され、時に法より重んじられ、破れば代償を払わされる。組織で生き抜く極意とは、この掟を熟知して利用することにある。「組織は上司に味方する」「ヤバい話は聞かないでおく」「外部の助言で評価を動かせ」「問題人物は断固拒否せよ」「斜め上の応援団を作れ」「後輩のために仕事をサボれ」……“最恐”の組織、外務省にいた著者が全ビジネスパーソンに贈る「超実践的処世訓」。


「外務省のラスプーチン」と呼ばれ、鈴木宗男事件で世間からのバッシングを受け、外務省を退職し、作家として独立した佐藤優さんって、「組織で生きる」ということに対しては、否定的なんじゃないか、と僕は思っていました。

 佐藤さんのキャリアは、「組織の枠をこえて、目立った活動をしすぎたために、組織によって排除された」ように僕には見えていたので。

 ところが、この新書のなかで、佐藤さんは「組織の一員として生きること」を否定していません。

 むしろ、「組織には力があるのだから、組織に貢献しながらうまく利用して生き延びろ」というようなことを書かれているのです。

 「起業しろ!」という人も増えている世の中ではありますが、僕にはこの佐藤さんのスタンスのほうが、共感できるんですよね。

 どちらが正しいのかはわからないけれど、人にはやっぱり、向き不向きってものがあるし。


 この新書のなかで、佐藤さんは、外務省という大きな組織で学んだ様々なことを紹介しています。

 大部分の人にとって、いずれは独立を考えるとしても、最初は組織のなかで学んだほうが、より速く、より広く知識や経験を得ることができるのは間違いありません。

 外交官としての経験というのは、どんなに才能があっても、独学で積めるものではありませんし。


 佐藤さんは、共産党の吉岡吉典参議院議員とのこんな対話を紹介しています。

 ある国会議員が、ロシア人女性とトラブルを起こし、その処理で、私がくたくたになっていると、吉岡氏が声をかけてくれた。

「大変だね、あなたはロシアのことがよくわかっていて、能力もあるんだから、短気を起こして外務省を辞めたらだめだよ。組織は、いろいろな無理難題を押しつけてくることもあるが、人を引き上げてくれるところがある」

「組織が人を引き上げる? それは出世のことですか」と私が尋ねた。

「いや出世じゃない。人間は怠惰だ。その気になって努力しても長続きしない。組織に入っていると、知らず知らずのうちに鍛えられて、力がついてくる。僕は共産党の人間だけれども、組織の厳しさは外務省も共産党以上だと思う。短気を起こして組織を離れると、結局、自分の力がつかない。

 どの組織でも10年くらいそこで一生懸命に仕事をすると、一人前になる。それまでは、どんなに嫌なことがあっても歯を食いしばって頑張ったほうがいいと思う」


 でも、その組織が「ブラック企業」とかだったらどうするんだ?って、思いますよね。

 思うのだけれど、原則的には、僕もこの吉岡さんの考えに頷いてしまうのです。

 というか、大部分の人は、自分ひとりで頑張り続けられるほど強くはないし、独立してうまく遣って行ける人というのは、組織のなかで人とうまくやる才能にも長けているのです。

 そもそも、独立してしまえば、組織に属しているよりも、他者からみた「立場」は弱くなってしまうわけで、そんななかでもうまくやっていくのは、組織の一員としてよりも、はるかに難しい。


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