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北朝鮮「新兵器」開発資金のびっくりな出所

北朝鮮の新型ミサイルの標的となり炎上する戦車

北朝鮮が、韓国と対峙する軍事境界線の北側に新型の多連装ロケット砲約300基を新たに配備している。金正恩第1書記は、米韓が自分をターゲットにした「斬首作戦」に動くのを強く警戒しており、多連装ロケットの増強は、それに対するけん制であるとも考えられる。

(参考記事:米軍が「金正恩斬首」部隊を韓国に送り込んだ

新型のロケットは122ミリ口径で、射程は約40キロ。1基あたり30~40個の発射管を備えており、北朝鮮の開城(ケソン)市付近から300基が一斉射撃を行えば、9000発以上のロケット砲弾がソウル市をもとらえることになる。

美人ウェイトレス脱北が影響?

北朝鮮はまた、射程が200キロに及ぶ口径300ミリの新型多連装ロケットも、近いうちに実戦配備すると見られる。これが軍事境界線付近で発射された場合、韓国の首都圏全域と中部の米軍基地、陸海空軍本部がある忠清南道(チュンチョンナムド)鶏竜台(ケリョンデ)にまで到達する。音速の5倍のスピードで低空を飛行するため、今ある韓国軍の迎撃システムは用をなさない。

朝鮮半島が第1次核危機の最中にあった1994年3月、板門店での南北協議で北側の朴英洙(パク・ヨンス)首席代表が、韓国側の宋栄大(ソン・ヨンデ)首席代表にこう言い放ったのは有名だ。

「ソウルはここからそれほど遠くはない。もし戦争が勃発すればソウルは火の海になるだろう。宋さん、あなたはまず生き残れないだろう」

北朝鮮は当時から、ソウルを射程に収める長距離砲部隊の整備に力を入れてきた。「火の海」発言は単なる脅しではなく、韓国にとって現実的な脅威なのだ。

しかし、このような重要な兵器システムであるにも関わらず、北朝鮮の生産現場は資金難に苦しんでいるらしい。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮の人民保安局(警察)は最近、大々的に交通違反の取り締まりを始めた。朝鮮労働党第7回大会(5月6日開催)に向けた綱紀粛正が目的かと思いきや、その思惑は別のところにあった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、道の保安局は最近、清津(チョンジン)市内の主要道路に、500メートルごとに検問所を設けた。そのうえで、かたっぱしから車を呼び止め、「車が汚れている」など言いがかりをつけながら、ドライバーから罰金をむしり取っている。

罰金自体は、5000北朝鮮ウォン(約75円、コメ1キロ分)と大した額ではないが、度重なると、けっこうな額だ。ドライバーたちは口々に「どうせいつもの資金集め」と保安局をなじっているという。

しかし、保安局も苦しい立場にあるようだ。

北朝鮮当局は、道内の各機関に「対象建設」と呼ばれる施設の建設工事を、資金調達を含めて丸投げ。その成果は、党大会で「わが党の成し遂げた輝かしき成果」として示される。

未来院(図書館)、育児院(保育園)、愛育院(孤児院)の工事はほぼ完成しているが、軍の放射砲(多連装ロケット)を製造する5月10日採炭機械工場(羅南炭鉱機械連合企業所)の再建工事は、資金不足で進んでいない。

その資金調達のために、保安局は、交通違反の取り締まりをネタに、ドライバーからカネを絞り取っているというわけだ。

北朝鮮の各機関は独立採算制で、それぞれが外貨稼ぎ部門も持っており、海外でのレストラン経営や貿易を行ってきた。しかしそれも、美人ウェイトレスらの集団脱北の影響などで、徐々に苦しくなってきた。もしかしたら多連装ロケット工場の資金不足も、そこに原因があるのかもしれない。

(参考記事:北朝鮮レストラン「美貌のウェイトレス」が暴く金正恩体制の脆さ

※デイリーNKジャパンからの転載

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