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歴史問題をごまかして政治決着を繰り返す安倍首相の大罪

これから書くことは、とても重要な視点であると自画自賛するが、はたして読者はどう判断するだろう。

オバマ大統領の広島訪問がほぼ確実視されるなかで、それを手放しで歓迎できないとする意見が見られるようになった。

たとえば4月28日の毎日新聞「記者の目」で、広島支局の竹内麻子記者が書いている。オバマ大統領には被爆者に会ってその声に耳を傾けてほしいと。原爆投下の事実と向き合って核兵器がもたらす悲惨さを米国や世界に発して欲しいと。

たとえば4月29日の朝日新聞「余滴」で、社会部の加戸靖史記者が書いている。オバマ大統領の広島訪問が実現しても、割り切れない気持ちが残ると。オバマ大統領は「核兵器のない世界」の理想を語るだろう。しかし、その前にぜひ被爆者の言葉に耳を傾けてほしいと。

いずれも比較的若い記者だ。なぜ、若い記者からこのような意見が出てくるのか。 

それは、若い世代に語り継がれていく歴史が、曖昧な形でやり過ごされてはいけないと言う思いがあるからに違いない。

もしオバマ大統領の広島実現が、報道されている通りの形で行われるなら、日米双方の思惑の違いが残ったまま、米国大統領の歴史的広島訪問という「偉業」だけが残り、それ以降、この問題は終わってしまう。

米国大統領のはじめての被爆地訪問は「偉業」である事に間違いないから、誰もそれを正面から批判できない、しない。 

「偉業」を成し遂げたオバマ大統領と安倍首相の功績だけが喧伝され、歴史に刻まれる。原爆を人類に投下した唯一の国である米国と、投下された唯一の国である日本との真の和解は、うやむやのまま歴史の彼方に追いやられることになる。二度とこの話が持ち出されることはないだろう。

そういえば、つい最近、同じような事を我々は目撃したような気がする。

その通りだ。

昨年12月の慰安婦問題についての日韓合意であり、その半年ほど前の8月の安倍談話である。いずれも表面的には歴史問題に決着をつけた形となった。

しかし、一番重要な歴史認識のところがまったく曖昧にされたままだ。 和解どころか対立したままだ。 

それにもかかわらず、歴史問題の決着という「偉業」だけが語り継がれていく事になる。それを目撃した我々が生きているうちはまだいい。

しかし、若い世代がすべての時代になれば、すべてが忘れ去られ、「偉業」だけが残ることになる。みずからの手柄のために、歴史問題を曖昧決着し続ける安倍首相は、はかりしれないほど罪深いと思う(了)

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